第31話 ダンジョン攻略開始
馬車に揺られて数十分、俺たちは馬車でダンジョンに向かっていた。
馬車の窓から外を見ると、そこには大きな洞窟のような場所が見える。
おそらくあれがダンジョンだろう。
すると俺の横に座っていたクレハが口を開く。
「ダンジョンって、どんな感じなんですかね」
「まあ、トラップがあったりするから厄介だろうな」
魔物もそうだが、ダンジョン内にはトラップがある。
それに階段なんかも存在するから、最深部にたどり着くまでには時間が掛かるだろう。
俺は原作を思い出す。
確かゲームでもこのダンジョンはかなり難易度が高かった気がする。
「でもロランお兄様がいるので大丈夫です!」
リアはそんな俺に安心感を感じるのか、笑顔でそう言ってくる。
(やめてくれ妹よ! 俺はダンジョンが苦手なんだ!)
俺は内心そんなことを思いながら、苦笑をしてしまう。
「そういえばロラン、私たちのポジションはどうなっているんだ?」
セレスがそう俺に質問してくる。
ポジションとは、それぞれのパーティー人一人の役割の事だ。
「そうだな、クレハとセレスは前衛を。そして俺とリアが魔法でサポートする形だ」
このパーティーはバランスがいい。
前衛にクレハとセレスを置き、その後ろに俺とリアを配置すれば、かなり安定した戦いが出来るだろう。
それにセレスとクレハという剣士トップクラスの2人がいれば、大抵の魔物には対処できるはずだ。
そんな事を考えていると、馬車が止まり教師の声が聞こえてくる。
「ダンジョンに到着しました。馬車から降りる際、足元には気をつけてください」
その言葉の後、馬車から俺たちは降りると、目の前には大きな洞窟がそびえ立っている。
その中は暗く、不気味な雰囲気が漂っている。
すると一人の教師が前に出て話し始める。
「それでは皆さん、これからダンジョン攻略についての注意事項を説明いたします。まず身の危険と判断すれば、すぐにダンジョンから出て下さい。もしくは先ほどリーダーに渡した転移石を使ってもらっても構いません」
転移石、それはとても高価な魔道具で、一度行った事のある場所ならすぐに転移できるという物だ。
だがこの転移石はかなり貴重であり、そう簡単に使う事は出来ないだろう。
だが今回のダンジョン攻略で何か危険が及んだらこの転移石を使って、すぐここに戻るという手もある。
俺はそんな事を考えながら、教師の話に耳を傾ける。
「そして時間を厳守してください。攻略時間は7時間です。もしその時間を過ぎれば、転移石を使いここに戻ってきてもらいます。時間内に戻ってきていなかった場合、攻略失敗となりますので、気をつけください」
教師がそう説明し終わると、俺は少し考える。
(7時間で攻略か……かなり厳しいな)
普通ならば、もっと時間が掛かる。
だがこのメンバーならあまり時間をかけずに攻略はできるだろう。
「最後に、8時間以上経った場合。私たち教師が救助に向かいます」
「分かりました」
「では1グループずつダンジョンに入ってもらいます」
俺らを含めてグループは3個ある為、1グループづつ入るようだ。
「次はリア殿下のグループです。準備はいいですか」
そう教師が言うとリアは頷き、俺たちはダンジョンの中へと入っていく。
遠くからアデルが俺を睨めつけていたが、俺は気にする事なく進んでいくのだった。
―――
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