第12話 二人目のヒロイン
「ここからどれくらいで伯爵邸に着くだろうか?」
「おそらく……数時間は掛かると思います」
俺たちは迷いの森を出て、馬車で伯爵邸に向かっているが、日は落ち辺りは真っ暗だ。
夜は魔物が活発になる。
ここで魔物と出会えば非常にまずい事になるな。
「怖いです……師匠」
クレハは震えながらそう呟く。
俺はそんなクレハの手を握り、落ち着かせる。
するとクレハは少し安心したのか、震えが収まった。
「大丈夫か? クレハ」
俺がそう聞くと、クレハは少し顔を赤くしながら答える。
「は、はい、師匠」
もう暗くてあまり分からないが、少し息が荒い気がする。
もしかすると昼間の戦闘で魔力を消費したからかもしれないな。
早く伯爵邸に行って休ませてあげたい所だが。
「一旦ここで野営をしよう、体力を少しでも回復した方がいい」
「分かりました」
俺がそう言うとクレハは頷き、馬車を止める。
俺はクレハの魔力の残量も心配だったので、ここで野営をする事にした。
★
俺は野営の準備を終えて、一息つく。
「よし、あとは結界を張ってっと……」
俺は野営の結界を張る。
この結界は魔物が入れないようにする為のものだ。
これがあるだけで野営も安全になる。
俺は結界を張り終えると、クレハの方へ向かう。
するとクレハは馬車の中で眠っていた。
やはり疲れていたのだろう。
俺はそんな可愛い弟子に毛布を掛けてやる。
「やっぱり魔力の消費に慣れてないと疲れるよな」
今の俺は魔力の消費に慣れているが、やはり最初はきつかった記憶がある。
俺は昔の思い出に耽りながらクレハの寝顔を眺めていた。
(可愛いな)
俺は少し笑いながら、そう思ってしまった。
★
朝、俺とクレハは早めに起きて、野営の後片付けを終わらせる。
そして馬車に乗り、再び伯爵邸に向けて走り出す。
そして数時間後、俺達は伯爵邸に到着するのだった。
「やっと着きました……」
「ああ」
俺達は馬車を降りて伯爵邸に入る。
するとメイドの人が出迎えてくれた。
「お待ちしておりました、ブライロン様は執務室にてお待ちです」
メイドの案内で俺達は執務室に向かう。
そして扉をノックしてから、部屋に入る。
するとそこにはブライロン伯爵が椅子に座っていた。
「おお! 無事に戻ったか!」
「はい、無事依頼は完了しました」
俺がそう言うとブライロン伯爵は直ぐに立ち上がり、こちらに走ってくる。
「本当ですか!? あのトレントを討伐していただいたなんて!!」
ブライロン伯爵は目をキラキラさせながら俺の手をブンブンと振ってくる。
そして後ろに控えているメイドも飛びっきりの笑顔だ、こんなに喜ぶとは思わなかったな。
「はい、それと迷いの森の異変も解決しました」
俺がそう言うとブライロン伯爵は驚いた表情をする。
「あ、あの迷いの森の異変を解決したのですか!?」
ブライロン伯爵は驚いた表情でそう聞いてくる。
するとクレハが一歩前に出て、口を開く。
「はい、異変の原因は変異したトレントでした。 その変異トレントを師匠が倒し、迷いの森の異変を解決しました」
「流石はクレハさんの師匠、本当にありがとうございます!!」
ブライロン伯爵はもう一度俺の手を取り、そのまま腕を上下させる。
これは感謝の意かな?
少し力が強いが、悪い気はしない。
「それじゃあ、俺らはこれぐらいで帰ります」
「報酬金はギルドにてお受け取りください、本当にありがとうございました!」
俺とクレハはブライロン伯爵に再度頭を下げて、執務室を出ていく。
そして屋敷を出る途中、外が騒がしい事に気が付く。
「なんだか騒がしくないですか?」
「ああ、近くにいるメイドさんに聞いてみよう」
俺とクレハは近くにいるメイドさんに話しかける。
「何かあったんですか?」
俺がそう聞くと、メイドさんは慌てた様子で答える。
「じ、実は、近衛騎士団隊隊長セシル・バーミリオン様が伯爵邸にいらっしゃっているのですが……」
セシル……何処かで聞いた様な。
確かこのゲームのヒロインであり、主人公の騎士になるキャラだ。
だけど何でここに?
そんな事を考えながら、俺らは外へ向かうのだった。
―――
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