第49話 思い出と現実

仕事先でも、俺の結婚話しが

浸透した頃。。。

おやじ(社長)に、

至急来るように、呼ばれた。

現場を早く、

切り上げ、事務所に行くと、

明らかに、いつもと雰囲気が

違う。。

おやじが、

誠、

言いにくいんだが。。

お前の、お袋さんなんだけど

と、詰まらせる。。。


おやじが、

ふぅと、一息ついて、

今回な、病院から、電話が、

あったんだ。。

空気が重く感じる。。


どういう事ですか?

何か有ったんですか?


それな、電話貰ってよ、

そんでな。。

口ごもる。。


亡くなっていた。。

え。

頭の中が、

軽くパニックになった。

それでも、

気持ちを落ち着かせて、

理由は?

と、おやじに、聞いた。

死因は、脳梗塞らしい。

今回、あの、

お前の書き置きが、

バッグに入ってて、

身内と、言うことで、

事務所に電話があったって、

流れでよ。。だから、

お前の、気持ちが、どうであれ

最後だから、行ってやれ。

俺も、付き合うから。。


はい。すみません。迷惑、

かけます。


取り敢えず、幸恵には、電話

して、俺は、おやじの車で、

病院に行った。。



霊安室。

そんな、所での再開。

漠然と、生きていれば会える。

そんな、感覚だった。

それが、ここで。。


動けない俺の肩を、

おやじが、ぽんと、優しく

叩く。

確かに、母さんだった。

思ったより、安らかな顔で、

眠っているようだった。

触れた記憶も薄い、

その人の頭と、顔を、撫でる。

微かに残る、母さんの、

優しかった時の記憶。

あれ。

涙が、目に溜まる。

おやじは、無言で、俺の

頭を撫でる。まるで、子供の

様に。


霊安室を出ると、病院の関係者を探し、説明を受ける。

道路に倒れていて、

緊急搬送され、すでに手遅れの

状態だったらしい。


カバンを受けとり、中を見ると

どこかの、クラブの名刺。

ブランド物の、財布。それと、

。。。俺の写真。。。


それを、見て。

忘れられたと、思っていた俺は

崩れて、泣いた。

暫く、泣いていると。

おやじが横に来て、言う。

よっぽどのよ、

理由が、あったんじゃねぇか?

おめぇもよ、理由は、

ともあれ、この辺で、許して、

やんな。と、背中を叩く。

少し間を置いて。。


別に、俺は、多分、

最初から、恨んでなんか、

いません。いないと思います。


胸の中が、息苦しい感覚。。


そうか。とおやじが呟く。


暫くして、幸恵が、病院に、

来てくれて。

暫く、寄り添ってくれた。


その間に、おやじは、その後の

手続きをしてくれて。。


おやじが、

家まで送ってくれて、

幸恵に、頼むよ。と言って

帰って行った。


家に着いて、少し、ぼーっと

していた。幸恵は、

ただそっと、

寄り添ってくれていた。


暫くして、

うん。もう、大丈夫。

そう言って、立ち上がる。


幸恵に、ご飯食べたいな。

と言うと、

彼女は、優しく、

何食べる?リクエストは?

と聞く。


ふと、急に思い出して、

オムライスが、食べたいな。

そう答えた。


わかった。待ってて。


そう言って、作ってくれた、

オムライスは、昔、

母さんが、作ってくれた、

パサパサの、

オムライスと違い。

ふっくらしていて、

凄く、美味しかった。。


その後。。。

俺と、幸恵、彼女の両親、

それと、おやじの、五人で、

母さんを、見送った。


母さんは、どう俺の事を、

思っていたのだろうか。

今は、確認の仕様がない。。














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