第38話 正月の挨拶

ねぇ、誠。

夜、ゆっくりしたいから、

うちの、実家早めに行かない?


そうだね。

幸恵、連絡出来る?


彼女が、電話すると、

何時でも良いと、言われた。


俺は、適当にみかんを、

袋から取り分けると、

幸恵を、誘って、そのまま、

家を出た。。



自宅前に、車を停めると、

玄関の、呼び鈴を押す。

ピンポーン。

その音で、お母さんが、

迎えてくれた。


茶の間に案内されると、

お父さんが、

椅子に座っていた。


二人で、明けまして、

おめでとうございます。

と挨拶する。


これ、貰い物ですが。

おやじから、貰ったみかんを、

手渡す。


あらあら、悪いわね。

お母さんが、そう言って、

受け取り、

お父さん、お母さんからも、

挨拶され、椅子に座る。


お母さんが、誠さん、お飲み物

何がいいかしら。と尋ねる。


あれば、珈琲で。と答える。

幸恵を、ちらりと見ると、

ゆきちゃんは、紅茶ね。

と言い、すっと、テーブルに、

飲み物が、出された。


珈琲を、一口飲んだタイミング

で、お父さんが、切り出した。

誠君、今後の事なんだが、

籍は、いつ頃いれるのかね?


入籍は、今、二人で調整中です

と答える。

最初に、幸恵とした約束。

誰でもない、彼女の納得した形

それは、時間が掛かっても、

守りたいと思ってる。


お父さんが言う。

二人の事だから、

ちゃんと、

二人で考えているなら、

安心だよ。と、

俺と幸恵を見ながら

そう言った。

それに、僕はね、

誠君の事を、買っているんだよ

ゆきちゃんから、聞いているが

15歳で、働いて、今じゃ、

現場を任されるまでに、

なってるそうじゃないか。


いや、俺の場合、選択肢が、

無かったと言うか、

只、それしか、無かったから。

と、正直に答える。


只、それしかなかったか。。

お父さんは、続ける、

そうだとしてもね、

僕はね、思うよ。

15歳の子が、

周りは、大人の中、そう言う

環境の中でね、

誠君が、今、そうして、

やるしか無かったと、

言いきったとしても、

周りの大人に、

認められる努力があったから、

今の立ち位置なんじゃないのかなと、思うんだよ。

俺は、ははっ。と頭を搔く。


お父さんは、続ける。

ゆきちゃん、

誠君を、大切にするんだよ。

そう、言った。


分かってるよ。お父さん。

誠、すぐ、無理するから、

ちゃんと、私が見てないと。

と言って、微笑む。


その話しが、一区切り付くと


お母さんが、

ゆきちゃん、沢山おせち、

作ったから、お腹は、空いて

無いと思うけど、誠君、

何か食べるかしら。


そうですね、今は、

お腹いっぱいです。

すみません。


誠。2日分のおせち、一食で、

半分以上食べたもんね。

幸恵が、嬉しそうに言う。


あらあら、男の人は、

食べるのねぇ。お母さんが、

微笑む。よっぽど、ゆきちゃんのお料理、

美味しかったのね。


はい。何でも、美味しいです。

俺が、そう答える。


ふふっ。と、

隣で、幸恵が照れる。


暖かい時間の中、少し緊張して

両親への挨拶は、終わった。。









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