第37話 お正月とおやじ

帰宅して、取り敢えず、

シャワーを済ませると、

俺も、幸恵も、すぐに寝むりについた。。


二人で、昼まで、寝ていて、

起きたら、12時半だった。


幸恵は、まだ、すやすやと、

寝ている。


今朝の事を思い出して、彼女の

頭をそっと、撫でる。

俺の事、見てくれてるんだな。

そう、改めて実感した。


布団から、静かに抜けて、

ファンヒーターを着ける。


冷蔵庫から、

冷たい珈琲を出して、一口。

その音で、

彼女を、起こしてしまった。


あ、起こしちゃった?

ごめんね。俺が言うと。


おはよ。いいんだよ。ってか、

誠、起きた時、起こして。

寝ぼけた、感じで、彼女が、

言う。


布団から、もそもそと、

起きてきて、俺の横に、

ちょこんと座り。凄く眠そう。

俺の、珈琲を、取り上げて、

一口。苦いね。と、ポツリ。

珈琲を、俺に返すと、

思い立ったように、

スッと立ち上がり、洗面所で、顔を洗ってから、

台所から、タッパを、運び、

テーブルに並べ出す。


彼女の、おせちが、並ぶと、

誠も、顔洗って。ご飯にしよ。

そう、ニッコリと言う。


ああ。と、俺も返す。


魚介類が、苦手な俺たち。

その代わりに、煮豚や、

黒豆の煮物。栗きんとん。

筑前煮。全部、彼女の手作り。


テーブルに、着いて、

頂きますと言うと。

まず、筑前煮を、取り皿に載せまず、一口。

美味しい。自然に、言葉が、

こぼれる。。

それを、見てる彼女は、

とても、幸せそう。

豆や、栗きんとんも、

しつこく無い、絶妙な甘さ。

煮豚は、冷えているのに、

柔らかい。美味しいから、

ただ、黙々と、食べる。


どう、美味しいでしょ。


うん。全部美味しい。


こう言う時、好き、嫌いが、

似てると、本当にいい。

作ってくれた物に、躊躇なく、

箸を、伸ばせるから。


ああ。お腹いっぱい。

お腹を擦る。


それを見て、幸恵が、

食べ過ぎ。と言って、クスクス

笑う。

2日分は、作ったはずなのに、一食で、半分以上食べちゃう

んだもん。


いや、美味しくて、つい。

頭を、ポリポリと搔く。


まぁ、作った、私としては、

沢山食べてくれると、

嬉しいけどね。と笑った。


今日は夕方に、彼女の実家に、

新年の挨拶に行く予定。


それまで、ゆっくり出来ると、思っていると、携帯が鳴る。


社長。(おやじ)からだ。

おう。明けましておめでとう。

あ、こちらこそ、明けまして

おめでとうございます。

そんでよ、

ちょっと、来れるか?

電話を押さえ、彼女のに説明

する。

おやじ、夕方用事あるんで、

今からなら、時間ありますけど

そう、言うと、

おお、来てくれれば、すぐ済む


すぐ、行きます。


おう。まってるよ。


おやじとのやり取りも終わり、誠、私も、行っていい?


ん。別に構わないよ。


誠の、お世話になってる人、

会ってみたいんだ。


そう?見た目、ゴリラ見たいな人だよ。と笑う。


そうなんだ。と笑う。


あ、でも、ゴリラとか、言わないでよ。俺は苦笑い。


身支度を整えて、家を出る。

おやじの家は、ここから、車で20分くらいの距離だ。


倉庫と、家が、合体したような

おやじの家に着くと。

倉庫の前に、

おやじが立っていた。

手に、袋を持って。


おう。早いな。

お、その子か?

おやじがニッコリと言う。


幸恵と言います。

彼女が、一礼する。


明けまして

おめでとうございます。

誠さんが、お世話になってると聞いて、挨拶だけでもと、

思って来ました。



いやぁ、びっくりした。

どんな、子かと思ったら、

凄いべっぴんさんじゃねぇか。

丁寧な、挨拶、ありがとな。

こちらこそ、宜しく。

そう言うと、


俺をちらっと、見ると、

肩を、バンバン叩き、

いい子、見つけたな。

と、言ってくれた。

ワリィな、二人の邪魔して。

これな、

袋いっぱいの、みかんを、

俺に手渡す。


幸恵ちゃん、と、呼ぶと、

おやじは、ポチ袋を、渡す。

せっかく来てくれたんだ、

手ぶらじゃ、な。

俺からも、こいつの事、

宜しく頼むと言うと、

ニカッと笑う。


すぐさま、遠慮しそうな、

幸恵の、手を握り、

貰ってあげてと、促す。


幸恵は、ありがとうございます

と言って、ニッコリ微笑んだ。


おやじの家を出ると、

良かったの?と俺に聞く。

いいんだよ。

それに、多分、一度出したら、

おやじは、引っ込めないから。

その方が、雰囲気悪くない?

そう言った。


そっか。そうだね。

じゃあ、ありがたく貰う。

彼女は、笑った。

そう言えば、おやじさんって

身長いくつなの?


185とか、言ってたよ前に。

で、筋肉質で、少しお腹出てる

だから、みんな、影で、

ゴリラって言ってる。


あー。なるほど。


でも、本当に、良い人だよ、

他人だけど。

俺にとっては、親みたいな、

感じかな。


ちょっと、間を空けて、

彼女が、良かったね。と、

笑った。


家に戻ると、幸恵が、うわぁ、

これ、10万円も入ってる。と、声を上げた。


それを聞いて、

俺は、多分、おやじなりの、

引っ越しか、付き合うことの、

祝いか、そう言う意味が、

あるのだろうと、思った。

多分、彼女がいても、

いなくても、俺に渡そうと、

準備してたのだと思う。


どうしよぅ。と彼女が言う。


貰っておきなよ。多分、それ、

わざわざ、準備してくれてたんだと、思うよ。普通に、子供に

渡す、金額じゃないし。

みかんで釣って、

何も言わないで渡す。

おやじなりの、サプライズだよ

お礼は、仕事に、行った時、

ちゃんと、しておくからさ。。



貰ったみかんは、とっても

甘かった。


































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