第30話 大晦日

朝、いい匂いで、目が覚めた。

時計を見ると、朝の7時。

一緒に暮らして、初めて、隣に

幸恵がいない。


ご飯の匂いに、釣られて、

起き上がる。既に、テーブルに

ご飯が、並んでいる。

味噌汁と、玉子焼き、それと、サラダ。


昨日は、二人して、夜遅くまで、おせち料理を作っていて、

料理が終わり、そのまま、寝てしまったのだった。


起き上がった、俺に、幸恵が、気付く。

おはよ。誠。顔洗ったら?

そうする。と答えた。


昨日遅かったのに、ごめん。

朝から。そう言うと、


苦笑いして、

普段は、誠が、早く起きて、

私が、面倒かけてるから、

ごめんなんて、言わないで。

幸恵が、そう言った。


顔を洗って、テーブルに着く。


このくらい?と、茶碗によそった、ご飯を見せる。


うん。そのくらい。

俺が答える。


テーブルに、二人が、揃う。


頂きます。茶碗を持つと、

一口すする、暖かい、味噌汁が、優しく目を覚まさせてくれる。


暖まるなぁ。そう呟く。


幸恵が、ふふっと、笑う。

何か、今の言い方、面白い。


そう? 俺も笑う。

本当、上手いなぁ。味噌汁だけでも、俺が作るのと、全然、

違うよ。

玉子焼きも、絶妙な、感じだし


幸恵が、クスクス笑い。

誠が、評論家なった。

と、笑っている。


いや、本当美味しいから。


まぁ。私。料理得意だから。

即答で答えた。


そうこうしてる内に、

朝ごはんを食べ終わり、

普段着に着替えて、支度をする


今日は、幸恵に、近くの公園に

散歩しようと、誘われたのだ。

何でも、子供の時、良く遊んだらしく、大人になってから、行ってないって事で。


準備いいかい?


うん。いいよ。


二人で、家を出て、ゆっくりと

公園に向かう。幸恵の足取りは軽く。楽しそうに、歩いてる。


冬の空は澄んでいて、寒いけど

心地よい。木々は、寂しそうな枯れ葉が、付いてるだけだが、

それでも、俺の気持ちは、暖かい。子供の様に歩く、彼女を、後ろから見ている俺には。


あー。ここだよ。幸恵が指差す

所を見ると、滑り台と、鉄棒しかない、小さな公園だった。


小さな、公園だね。

私ね、ここの、滑り台好きだったんだぁ。お母さんに、毎日連れてきて貰ってた。


そうなんだ。何かいいなぁ。

そう言うの。俺は、そう言う、思い出ないなぁ。

と苦笑いすると


幸恵が。じゃあ。私が、一緒に

いっぱい、色んな所行ってあげないとね。と言って、笑った。


そうだな。頭いいな、幸恵。

俺も、ニッコリ笑った。


公園で、少し思い出にふけり、

公園のもっと先まで、二人で

歩いた。。。












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