第8話 彼女とファミレス

彼女の誕生日が、今度の日曜日だと、知ったのは、少し前だ。

大好きになった、彼女に、何か

してあげたい。。

そう思った。


車を、ファミレスに停めると、先に、中で待っていた幸恵が、変な男に、声を掛けられてる所だった。


俺は、どうしたの?と、聞いてあげると、ナンパらしい。


ごめんね。俺は、彼女の、

旦那だから。

嫁にちょっかい出さないでね。と。やんわり、言ってやった。


なんだよ。所帯持ちかよ。と、不機嫌そうに、去って行った。


嫁かぁ。。


幸恵が、そう呟いた。


まぁ。。将来のな。


嘘は言ってないよ。


と、少し笑って答えた。


それでさ。。幸恵が続ける。

あのさ、土曜日と、日曜日なんだけど。。。さ。


お母さんに、出かけるって、言ってあるの。。


え。嘘。

俺は、凄く嬉しくなって、何処行く?え。海とか、寒いし。温泉とか?


うーん。誠さん、疲れてるでしょ。もっと近くで。泊まれる所で、いいよ。


そう言われたけど。

実は、連れて行きたい所は、

もう決めてあった。

日曜日の誕生日の為に。。


本当は、誕生日のサプライズで、朝から行こうと、

思ってたけど。。

俺は、ポケットから、

チケットを出すと、

幸恵に見せた。


ん。何。何処それ?


みんな知ってる、

デズニーのチケット。


わぁ。私、

行った事ないんだぁ。。

パァッと顔が、明るくなり、

凄く嬉しいのが、分かる。


そんなに喜ばれたら、

俺も嬉しいよ。


彼女が、口ごもる。


少し間を開けて。。

幸恵は、ちょっと涙目で、

ずっと、残業とか、

あちこち怪我したり、

大変なのに。。

こんなの、準備してたの。。


ちょい。ちょい。待て。待て。


ここは、素直に、喜ぶ所。泣く所じゃない。行こうよ。

デズニー。チケットを、

彼女の前に置いた。


うん。わかった。ありがと。

彼女の、笑顔を見て。とても、幸せな気分に、なった。多分、この、笑顔は、一生忘れない。


1日だから、全部乗れないから乗りたいものだけ、

考えてておいて。


ご飯を食べながら、そんな会話を楽しんだ。


ファミレスを出ると、さっきのナンパ男を、ふと思いだし、家の側まで、歩いて彼女を送って帰った。。


じゃあね。


じゃあな。


そうそう、誠さんって、呼ぶの次から、誠でいいよ。なんかさ、くすぐったいんだよな。。


えー。そうなの?


うん。


じゃあ、まこと?


おう。


お休みな、幸恵。


うん。お休み、誠。


近場でしか、過ごしたことのない、俺達には、初めての、

プチ旅行な、感じがして。

その日は、遠足前の子供のように、寝付けなかった。。

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