第2話 次の日

朝、6時。。仕事かぁ。。

一人呟きながら、目覚ましを止める。

昨日の事が、あってか、

すぐに、目が覚めた。


ここ最近、

親友と以外、誰かと約束なんて、

してこなかった俺は、

それだけで、今日は、

何と無く、不思議な気分だった。


俺は、建設現場で働く、

給排水から、空調、消火。

いわゆる、

設備関係の仕事をしている。


高校に進学せず。

働いて6年目、若いかも、

知れないが、

職長をまかされているし、

仕事だけは、周りから、

信頼をうけて、

やっているし、自信もある。

少し、眠気の残る頭を、

寝起きの、珈琲で、整え仕事に出る。


「さぁて、行くか。。」


いつもの様に、

仲間と合流して、車を出す。

そんな毎日を、

ずっと繰り返して来た。


現場に、着いて。朝から、

搬入やら、ちょっとした、

もめ事、打ち合わせ。

職人の、毎日は、慌ただしい。。

夕方になり、この日は、

何故か、何事もなく、定時で帰れた。。

良かった。と思った。

進捗状況次第では、

残業が、当たり前の世界だからだ。。


家に帰り、汗だくの、体を、

シャワーで流し、いつもの、

ジーパンに、シャツと、

ジャケットに着替え、

行く支度をする。。。


帰ってきたのが、7時だから、

そろそろか。。。と思っていたら、

後15分しか、無かった。

急いで、車に乗ると、俺は、

家から、10分の所にある、

ファミレスまで、移動した。


ファミレスに着くと、彼女は、駐車場で、車から降りて、

待っていた。

彼女は、白いシャツに、

ジーンズの組み合わせで、

カジュアルな、服装だった。


「誠さん、こんばんは。」


緊張したような、笑顔で、

そう言った。


「こんばんは」、と、俺も返した。


二人でファミレスに入ると、

「涼しぃ。」


と、彼女が言う。それもそうだ、

夏の終わりといっても、

夜でもまだ暑い最初に。

「店で待ってれば、良かったのに。

暑かっただろ。」


と声を掛けて、


「今日は、暇人を、

誘ってくれてありがとう。」


感謝の言葉を、俺は言った。


「ふふっ」と笑って。


「面白いよね。誠さん。」


そう言った。


席に着き、向かいに座る。

彼女は、何か、緊張するように

こっちを見ていた。


「あのさ、どうした?」


あんまり、見ているから、

気まずくもなり。。そう言った。


「誠さん。カッコいいよね。」


「は?」


そう返した。


「いや、昨日思ったんだけど、

あんな、夜中に、困ってる、私、助けてくれたじゃない。

珈琲も、缶珈琲で、良いって言うし。

長くならないように、帰らせるし。

私、結構、モテるからさ。

なんか、

下心ない、男の人の優しさみたいな。。

所が。。と言うより。

色々喋ってごめんなさい。」


俺は、言った。


「ありがとう。褒めてくれてさ、

正直、ちょっと照れるし。

モテるのわかるよ。

可愛いもんな。確かに。」


心なしか、少し赤くなる彼女。


一瞬、間が空き。。


「あの、彼女さんとか、

いるんですか?」


「ん、いないよ。いたら、

少なくとも、来てないよ。」


と答えた。とりあえず、


「喉かわかない?

俺は珈琲で、

幸恵、なんか、飲む?飯は?」


そう言った。

彼女は、少し間を開けて。。

真剣な表情で、真っ直ぐに、

俺を見ると、


「あの、

私と、付き合ってもらえますか?」


一瞬、時間が止まった。


告白なんて、中学の時以来、

されたことがない。


もしくは、声をかけて、

少しの、

時間付き合った人ならいたが。

しかし、彼女の、この瞳。

冗談で、

言ってる訳じゃないと、

はっきりとわかる。。


俺も、思ったことを、

俺なりに伝える。。


「俺は、いいけど。俺のどこに、

会って、次の日に、

そう言う話しが、出るの?

俺のどこに、そう言う要素ある?」


と聞いてみた。


「うーん。今は、常識有る所。

あと、見た目。雰囲気。」

と微笑み、


「私は答えたよ。

あの、一応、いいよって。

言ったんだから、私は?」


「え、俺?うーん。見た目。

雰囲気。。かなぁ。」


「えー。私の真似じゃん。」


と、クスクス笑う。


俺は、ちょっと照れて。


「そう言うけど、まだ、名前しか、

知らないんだよ。」


と、苦笑い。


「そっか。そうだね。見た目が、気に入ってくれたのなら、

まぁ良いです。」


と、笑うと。


「じゃ、

付き合ってくれるって、事で。」


割りと、

押しの強い彼女に、

押しきられた感じだか。

そう言う事になった。


幸恵は、とても、嬉しそうに、メニューを、取ると、

二人で眺め。。注文を決めた。


その待ち時間で。

俺は気になっていた事を聞く。


「車、どうだった?」


「あれ、たまたま、

お父さんの借りたの。

友達と、遊びに行くために。」


「マニュアルだしなぁ。

それに少し古い形だから、

そうかもと思った。」


「そうなんだよ。マニュアルの車

たまに乗るには、難しくて。。」


と、苦笑いする。


「まぁ、何でも、馴れだよな。。」


ご飯を食べながら、

お互いの、年齢。仕事の話し。

どの辺に住んでるとか、

趣味の話をした。


「えー。そうなんだ。21なんだ。

それで、もう、

6年働いてるんだぁ。」


「幸恵こそ、

19とは、思わなかったよ。」


「いやいや、誠さんは、25くらいだと、思った。」


「なんだ?フケてるって事。」


少し困った顔で幸恵は、


「違うよ、

落ち着いて見えるんだよ。」


「ま、物は言いようだな。」


笑って返した。


お互い、話しも、楽しく、

時間は、流れた。


「明日も、会える?」


「うーん。最初に、謝っておくけど、

毎日8時だと、

ちょっときついかも。

現場仕事で、職長とかやってると、

ちょっと時間に自信ない。」


「じゃあ、メールして。」


すっと、メモ書きをして、

俺に渡す。


メールと、番号を交換して

別れた。


幸恵と過ごした時間は、

三時間くらいだったが、

俺はとても、楽しく過ごせた。

何故か?幸恵の雰囲気か?

知ってる人の様な感覚で、

自然に話せた。。


「彼女かぁ。」


疲れていた俺は、

そう呟くと、布団に入り、

知らないうちに、また、

朝になっていた。


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