君の幸せを、僕だけが知らない
gonnaru
第1話 はじまりの日
車が好きだ。
だから、仕事を終えて、
深夜意味もなく
ドライブをする事も、
趣味の一つだった。
そんな時、
踏み切りで立ち往生してる、
赤いクーペを見つけ、
声を掛ける。
「どうしたの?故障?」
乗っていたのは、20代か、
それより少し若いか、
そのくらいの女性だった。
でも、俺にはそこは、
どうでもいい。
これが、ジジ、ババでも、
同じ事をするからだ。
俺の見た目は、
正直おとなしい
見た目じゃない。
背はそんなに高くないが、
がっちりで、髪は、ロン毛。
太ってはなく、筋肉質だ。
目つきも、悪い。
そんな、俺が、声を掛けてる。しかも、今は、夜中だ。
俺の問いに、彼女は、
「エンジンが、掛からなくて。」
と答えた。
夜中と言っても、
貨物列車とか、
電車に詳しく無い俺は。
「電車来たら、ヤバイだろ」
と呟く。
そのまま、彼女に、
「押してやるから、
ハンドル握っとけ。」
そう言って、
彼女のクーペを、
後ろから、ぐっと押し出し、
踏み切りから、出してやった。
ほっとしたのか、車から、
降りてきた彼女は、
暗がりでもわかる、
わりとスタイルの良い、
長い髪の女性だった。
「あの、ありがとうございます。」
彼女は、そう言った。
「良かったね。何で、あんな所で、
エンジン止まったの?」
俺は、そう聞いた。
そう聴きながら、
同時に、まぁ、女に聞いても、車の事なんて知らねぇだろ。
と、思う自分がいた。
ぽかーんとして、
「なんでだろ。」
彼女が、そう言うと思わず、
俺も、可笑しくなって、
少し笑ってしまった。
仕方無いな、少し見てやるよ。
「治せるんですか?」
ちょっと不安混じりに、
そう聞かれたが、俺は、
「さぁ?」と答え、続けた。
「ここまで、
走って来れたんだから、
そんなに深刻な事じゃない、
と思うよ。」
「そうなんだ。」と、
ほっとした顔で言う彼女は、
わりと、
かわいい顔をしていた。
運転席に座り、
ギアを、ニユートラルにして、エンジンを掛けてみる。。
普通に、掛かった。。
なるほど、
ただ、テンパっただけか。。。
「故障じゃないじゃん。。」
そう呟き、彼女に言った。
「エンジン止まったからって、
焦んなよ。」
と笑い。
「落ち着いて帰れよ。」
と続け、
「夜も遅いからな。」
と、付け加えた。
彼女は、明るく、
「はい。」と答えた。
立ち去り際に、
「じゃあな、気を付けてな。」
と、小さく手を振る。
そう言って、行こうとすると、
「あの。。
ありがとうございます。
私、幸恵って、言います。
すぐそこに、
ファミレスがあるので、
コーヒーだけでも、
お礼させて下さい。」
そう言った。
俺はすかさず、
目の前の自販機を見て、
「だったら、缶コーヒーで
いいよ。と伝えた。」
と言うか、車押してやった
だけなのに、ファミレスで、
奢られるのがなんだか、
むず痒くて、
我慢できなかったのだ。
彼女は、そんなので良いの?
見たいな顔をして、
「あの、これで、良いんですか?」
と、言って指を指した。
「良いよ。」
彼女が、
100円を入れてくれると、
すっと、俺がボタンを押す。
ガコッと音がして、出てきた
コーヒーを、受け取ると、
その場で、一気に飲み干した。
「早っ。」
彼女が、その光景を見て、
呟くものだから、俺は、
なんか、楽しくなった。
「ありがとな。コーヒー、
ごちそうさん。」
そう言って、
立ち去ろうとすると。
「あの、名前、教えて貰っても
良いですか?」
一呼吸おいて、頭を掻く。
「なんだ?逆ナンか?」
笑いながら、そう答え、
続けざまに、
「誠だよ。俺の名前。」
そう言うと、彼女は、
「逆ナンか、
どうかは分からないけど、
明日、すぐそこのファミレスで、
会ってもらえますか?」
と言ってきた。
夜の時間を持て余してる俺は、
「そうだな。夜は、俺も暇だし。
だけど、今日は、夜も遅い。
明日、仕事終わったらだから、8時で、良いなら、行くよ。」
そう答えると、納得したように、頷くと、彼女は、笑った。
「じゃあ、明日の、8時。」
こうして、俺と、幸恵は、
夏と秋の狭間に、
偶然出逢った。。。
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