第26話 深夜二時

 深夜二時、こぼれた思いを拾いに、星形の何かがやってくる。

 こうすればよかった、いや、あのようにすれば。こうだった、ああだった。さまざまな日々の呟きが、部屋の隅に転がっているのを、一つずつ拾って、背負ったカゴに放り込んでいく。

 深夜二時の床には、多少は夢も落ちている。明日の朝こそはしたい何か。悲しみも落ちている。明日には持ち越したくなかった何か。

 それらを全部拾い上げる。

 夜明け前、星形の何かは、ちょっとだけため息をつく。

 誰かがそっと置いてくれた飲み物を飲んで、心を落ち着けてから、よいしょと空へ登っていく。

 こぼれた思いは、空から降れば思い出になる。大気圏で燃え尽きて、誰かのいい夢に変わる。

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