第9話 ぱちぱち

 袋入りの綿雲をもらった。口に含むと、ぱちぱちと雷がはじける。

 以前にも似た菓子を食べたことがあるが、それより甘さがなく、かすかな煙くささがある。

 これで充電するのだと友達は言っていた。空に帰れない雷兎が、地上にある専用の工場で働いて生産しているらしい。

 ぱちぱち、口の中で鳴らすうちに、何となく元気が出てくる。

 雷兎は工場で働いた賃金で、専用の機材を使い、数ヶ月以内に空へ帰れるから、綿雲の生産は不安定。

 雷の季節が主な生産時期だ。

 これで一仕事、ちょうどいい加減の雨でも降らせてこようと、尻尾で雲を一つ打って、小さな龍は出発した。

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