第8話 雷雨
雷雨の夜に、雷兎が落ちてきた。
体は真っ白でふわふわで、真っ黒でつやつやな目をしている。
毛の周りには静電気。きらきらと蛍みたいに光っている。
家電製品は瞬時に使用不可になるので、遭遇したら電子機器での記録はできない。
目で見て、素早くスケッチする。
画家見習い達によって、こうしてまた新たな雷兎の姿が記録される。
体長も、毛並みも、顔つきもばらばらのそれらは、もしかしたら本当は実在しなくて、落雷の衝撃で脳内に何かの残像が刻まれるだけなのかもしれないけれど。
かわいい個体を見てみたいと思う人は、カバンにそっと紙とペンを忍ばせるのだ。
今日もまた、どこかで、落雷と共に雷兎は降ってくる。がらがらどーん、ごろごろどん。
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