第4話 アクアリウム

 小瓶に小さなアクアリウムを作る。きれいな水苔、小さなエビ、尻尾の長い、水棲龍。

 きれいな月明かりを食べて育つらしいのに、この水棲龍はエビと一緒に太陽にあたるのが好きだ。エビは龍を気にせず、ひたすら瓶の内側を磨いている。

 やがて龍は景色に飽きたらしく、アクアリウムの中に、あれこれと見たことのない植物を生やし始めた。

 寿命で朽ちたエビから生まれたのは、水棲龍にそっくりな何か。

 仲睦まじい姿だ。

 ある日、掃除のはずみで瓶を落として割ってしまった。

 エビから生まれた龍は、泡になって消えてしまった。水棲龍は一声鳴くと、か細い悲鳴を残しながら窓を破って外へ飛んでいった。

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