第2話 喫茶店
喫茶店に猫がいた。立派な迷い猫だ。腹を見せて寝転がっている。
猫探しの張り紙を見せると、間違いないと認めた。喫茶店で働いているという。飼い主に贈り物をしたくて、日銭を稼いでいるそうだ。
ネズミや虫を取っても喜ばないから、と猫は拗ねたふうだ。
一度飼い主を安心させてあげなさいと説得して、猫を連れ、集合住宅に豪華なケーキを持って帰る。
猫はまだしばらく、喫茶店で働くという。猫の手を借りるのが好きな店主らしい。
飼い主が、お前はうちの猫だよと囁くと、分かってる、と目を光らせた。
分かってるよ、あの店は飼い主の思い出。手放した古いお店。跡を継いだ人に励ましもおくれずに、でもずっと気にしているから。
飼い主に似た空気、おいしい食べ物が出る店だよと、猫は優しく囁き返した。
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