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町の電気が消え始め、街は暗くなっていきます。もう外を歩いている人はほとんどいません。あのお店の電気が消えたら帰ろう、そう思いながら中年は、電気が消えるのを待つあいだにと、もう一度ちんちんをいじりはじめました。
再び暖かい光が中年を包みました。「シュッ、シュッ」手を動かすたびに身体が熱くなるのを感じます。壁の向こうから「ピッ、ピッ」という笛の音と一緒に「イッチニ、サンシ」と号令が聞こえてきました。どうやら向こうではプールの授業が行われているようなのです。そしてどうやら此処は、あの夏の日に忍び込んだ女子更衣室らしいのです。
中年は懐かしい気持ちになって、ロッカーのひとつひとつを眺めました。すると、好きだったあの子の名札が付いた制服、さらにその下からは、あの子の肌着がちらりと見えているではありませんか。中年はむちゅうに手を伸ばして下着を掴み、顔をうずめてあの子の匂いを胸いっぱいに吸い込みました。その瞬間、やはり光は消えてしまい、暗く冷たい路地裏に戻ってしまうのです。
中年が手についた体液をみると、不思議とほの白く光っていました。その光の中に、今までの人生で出会った女の子たちの優しい笑顔が浮かんでは消えていくのが見えました。今となっては決して交わることのない彼女たち、きっと誰ひとりとして中年のことなど覚えていないでしょう。消えていく女の子たち一人ひとりに別れを告げながら、中年は空を見上げます。あの頃に戻りたい。辛いことも苦しいことも知らなかったあの頃へ。みんなの笑顔に包まれてへらへら笑っていたあの頃へ。
やがて光は消え、死んだように冷たくなった体液には雪の結晶がひらひらと降り注ぎます。その雪の上に、ぽたりと中年の涙と鼻水が落ちました。
ちんちん売りの中年 我孫子営業所 @MeMeKuRaGe_Ka
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