第二話 ランキング花畑

 二〇〇八年、彼女のためにYOTUBASAでオレンジ色のカワセミとして生まれ変わってから二日後、僕は良孝から『ウィング』と命名された。

 YOTUBASAとは僕が命名したもので本当は『前田プロジェクト』という名前であり、僕にとってはちょっと苦手な名前であった。前田プロジェクトは演劇や音楽で有名な大阪の芸能事務所である。名付け親である前田良孝は芸能事務所の社長であり、四葉清は中学三年生なのに副社長の二人であり、後は全員『神奈』だけど、芸能人は僕の知らない人ばかりで、すごく少なかった。本格的に潰れそうなプロジェクトであった。そんな僕はオレンジ色のカワセミに生まれ変わってから一ヶ月後、中馬家で毎日幸せに暮らしていた。

 それから四ヶ月後の冬、四葉家に前田良孝と僕の従兄弟である神奈がおいでになる。良孝は午前中に来ていた。「ピンポーン」とドアベルの音が鳴り響く中、神奈夫婦は男性用の青い服を着た赤ちゃんを抱えながら家にいらっしゃった。

「前田良孝、お邪魔しまーす。」

「いらっしゃいませ、神奈さん。」

男性と良孝は互いにお辞儀をした。赤ちゃんを抱えた女性は僕の所に置いた。

「神奈さん、いらっしゃいませ。」

「お邪魔します、僕の名前は神奈楽天。君が例のカワセミの四葉ウィングくん?」

「四葉じゃないよ、前田、前田ウィング、よろしくね。」

楽天は僕にお辞儀した時点で僕は少し首を傾げた。

〈ん?この男の子、どうして僕と会話できたのかな。生まれ変わったから?〉

僕は心の中で思った。

 楽天が訪問してからの夜、僕はテレビをつけた。

「君の年越しはうどんですか、そばですか?投票よろしくお願いします。」

年末の着物を着た男性が笑顔で出ていたCMが放送されたすぐにランキング花畑が始まった。

「今年最後のランキング花畑は行きたい観光地と星占いとアニメとお菓子ランキング、イッツフラワー、ランキング花畑。」

〈気になるのは気になるけど、今年の僕はカワセミの赤ちゃんだったしな、人間として生まれ変わりたかった。あ~人間になりたいな。〉

心の中でつぶやいた僕はオレンジ色の羽に包まれながらキャメル色の髪で青髪の瞳がある男の子の赤ちゃんになった。

 一方その頃、テレビでは緑色のメス猫のニャーちゃんが質問した。

「勇一くん、勇一くん、なんの本を読んでいるの?」「あっ、ニャーちゃん。これはタイムという有名な観光雑誌。」

照れ屋の火野勇一がニャーちゃんに教えた。「へぇーそうなんだ。そんなわけで、気になるランキングはこちら、イッツフラワー!」

「正月に行きたい観光ランキング!第3位香港、第2位栃木県日光市、そして堂々の第1位は、京都府。やっぱり京都は日本文化の中心ですからね。」

ニャーちゃんがかわいく観光ランキングを紹介した瞬間、僕はつぶやいた。

〈そうか、観光ランキング第1位は京都府か。〉

「やっぱり陸上選手の針川音速はりかわソニックはかっこいいなぁ。」

勇一の妄想にニャーちゃんがやってきた。

「勇一くん、勇一くん、なんの妄想してんの?もしかして、私とのベットキス?」

ニャーちゃんの声に勇一は「あっ、ニャーちゃん、実は俺、陸上の針川音速はりかわソニック選手の青髪の部分に憧れていて。」と顔を赤くしながら言った。

針川音速はりかわソニックね、なるほど、でも、やっぱり、勇一くんは今の髪の方がかっこいいと思うよ。針川音速はりかわソニックより。」

「そうだよね、ニャーちゃん、と、いう、わ、け、で、今月の、星占いランキング1位はこの星です。イッツフラワー!」

ニャーちゃんの褒め言葉に勇一は緊張してしまった。

「今月の星占いランキング1位の星は、し・し・座・♡、勇一と同じだね、テへぇ♡」

ニャーちゃんのかわいい声に僕は〈しし座ねぇ、なるほど、僕は勇一と一緒の星座なのか〉と心の中でまたつぶやいた。

「ニャーちゃん、来ないな、僕のおすすめのアニメを一緒に鑑賞したかったのに。」

勇一の寂しそうな顔にニャーちゃんがやってきた。

「どうしたの、勇一くん?そんな、寂しそうな顔をしないの。」

「あ、ニャーちゃん、僕ね、君と一緒に僕の好きなのアニメを鑑賞しようかなって、考えていただけ。」

「そうか、じゃあ、イッツフラワーしようか、みんなの好きなアニメランキングを。」

「そうだね、ニャーちゃん。」

「今年流行ったアニメランキング、イッツフラワー!」

二人は大きな声で言った。

「みんなの好きなアニメランキング!第6位はM、第5位はYP5、第4位はN、第3位はK、第2位はT、そして堂々の第1位は、ライトノベルラブコメディアニメ、T!」

ニャーちゃんの声に僕は前世の記憶を思い出した。

〈もし、僕が死んでいなかったら、どこかで休日ができたら藤と二人きりで初デートの場所行きたいなぁ。〉

「勇一くん!」

「どうしたの?ニャーちゃん。」

「友達連れて来たけど紹介してもいい?」

「ニャーちゃんの友達?」

ニャーちゃんは勇一の左隣に行った。

「ニャンちゃん!この部屋だよ!」

ニャーちゃんは大きな声でニャンちゃんを呼んだ。すると黒くて少し赤い部分がある猫が勇一の右隣に来た。

「こんにちは、ニャンちゃん。」

勇一が挨拶すると、ニャンちゃんは下を向いた。

「ニャーちゃん、こんな男を持っているなんて、許さない、殺す。」ニャンちゃんが勇一を見た時、ニャーちゃんを脅迫した。

「ニャンちゃん、今の言葉、何、なんでニャーちゃんへの脅迫なの?」

勇一が質問をすると、ニャンちゃんは泣いた。

「だって私、彼氏、いないの。」

「そうか、じゃあキスしよう。」

「チュ!」

ニャンちゃんと勇一がファーストキスをした瞬間、テレビは何者かにか消された。

「ウィング、そんなエロランキング番組を見るなら、寝ろ。」

「清さん、僕は前田ウィングじゃなくて、前田翼ですよ。」

「そうか、そんじゃおやすみ。」

僕と清は会話をしてぐっすり寝た。

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