田舎の学校事情①


 田舎移住を悩む非常に大きな問題に、子どもの学校事情というものがある。

 

 ただでさえ多くの人にとって子どもの転校は一大事だ。

 

 子どもは当然の事ながら、親にとっても非常に悩ましい問題である。

 

 今からここで書く内容は、かなり地域差があることは覚えておいて欲しい。

 

 県や府での差は言わずもがな、県内の校区でも大きく差が出ることは、子育て世代の皆様ならご存知だと思う。

 

 なので、今から書くメリットをそのまま信じて、移住後にやっぱりダメだった……

 

 これだけにはならないように、十分留意して頂きたい。

 

 では始めていこう。

 

 

 学校事情で気なる点は人それぞれだとは思うが、大きく分ければ以下の三点になるように思う。

 

 1、進学率

 

 2、治安

 

 3、送り迎え

 

 進学率に関して言えば、私は田舎に軍配が上がると思っている。

 

 都市部には、幼少期から塾に通い、べらぼうに勉強が出来るツワモノが山ほどいる。


 都会で塾講師をしていた頃から、自分よりも「お勉強ができる子」を沢山見てきた。

 

 進学校に進んでも、塾通い、予備校通いが必須、そういう中でしのぎを削りながら数少ない推薦枠を取り合ったり、高校の定員を取り合うのだから、ある時点で勝負は見えていると言っても過言ではない。

 

 語弊を恐れず言うなら、親の資金力が物を言う世界だ。

 

 塾なしで一位をとる天才も中にはいるが、そういう特異点は考えから外したほうが良い。

 

 

 田舎ではこの熾烈な塾競争がない。

 

 あるにはあるが、はっきり言って都会の比ではない。

 

 塾に行かず、学校の勉強だけでも、真面目にやっていれば十分校区内の進学校に進むことが出来る。

 

 これには生徒数の少なさが関係している。

 

 先生の目が届きやすく、十分な勉強をする機会を得ることが出来るからだ。

 

 補講や個別のケアが行き届いている印象が強い。

 

 もちろん、それを真面目に受けるか受けないかは、子ども本人と親の教育に関わっているのだが……

 

 

 もう一つの塾に行かずに済む大きな要因が治安だ。

 

 学級崩壊の酷さが、いい意味で都会の比ではない。

 

 授業が授業として成り立っているのである。

 

 私が育った都会の地域は学級崩壊が常態化してるような所だった。

 

 授業を聞くものなどほとんどいない。

 

 不良が授業を妨害し、授業を聞きたくないものがそれを煽る。

 

 結果、真面目な生徒はおおかた塾で勉強する。

 

 授業中は塾の宿題をする時間だった。

 

 こういう極端な学級崩壊を、移住先では見たことも聞いたこともない。

 

 不良と呼ばれる子どもも、いわゆる元気のいい勉強嫌いな子どもという場合が多い。

 


 では肝心の進学率はどうか?

 

 先ほど少し触れたが、田舎には推薦枠が都会より豊富にあるように思われる。

 

 私の通った高校は進学校だったが、国公立大学の推薦枠など聞いたことがなかった。

 

 しかし田舎の進学校には、不思議なルートがたくさんある。

 

 真面目に勉強して、提出物を出す人間が、損しない構造が出来ていて驚いた。

 

 先生と緊密に相談を重ねれば、様々な提案を受けることが出来るのが、田舎の進学率の一番の強みのように思う。

 

 そして就職に関しても、地元企業とのパイプが強い。

 

 工業系なら電力会社や整備関係の会社などに就くことがしやすい。田舎は人手を要している。

 

 私は都会の受験や進学、就職を見た時、莫大な教育関係の費用や労力の割に、享受できるメリットが少ないように思っている。

 

 田舎では、少なくとも労力と結果の乖離が少ない。そう感じている。

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