田舎の就職事情
実際に田舎に移住するにあたって、日々の生活費を稼ぐことが出来るのか? というのは非常に重要な問題だ。
・そもそも田舎に職はあるのか?
・土木や肉体労働しか職が無いのではないか?
・会社は存在するのか?
などなど、失礼極まりない偏見があるかもしれない。
筆者自身も、割とそんなイメージだった。
しかしながら、決してそんなことは無いと断言しておく。
筆者が生まれ育った土地では、バイトで生計を立てる人間は定職に付いていない「社会不適合者」というレッテルを貼られていた。
しかし移住先に来て、その刷り込まれてきた常識は崩壊することになる。
移住してすぐのころ、私は塾講師のバイトで日銭を稼いでいた。
自給自足を目指しつつも、定職に就いていないことにある種のコンプレックスを抱えていた。
しかしである。
近所のおっさん連中の溜まり場に招待され(あるいは拉致され)、仕事を尋ねられた時のことだ。
おっさんA 「お前仕事は?」
筆者 「塾でバイトを……」
おっさんB 「月収は?」
筆者 「10万ほどかと……」
おっさんA 「ふーん……じゃあいけるな」
おっさん一同 「いけるいける」
筆者 「!?」
衝撃だった。
これでいいのかと……
他にもある。
至って普通の子育て世代のお母さんとの会話だ。
お母さん「子どもが就職した」
筆者「おめでとうございます。どちらに就職を?」
お母さん「〇〇でパートです」
筆者「!?」
お母さん「これで一安心です」
地域差はあると思うが、筆者の移住した田舎ではパート、バイトも定職の内のようだった。
結局、生活するために必要な額を稼げるなら何でも良いのだ。
私はもともと、キャリアや勤務先をそれほど重視するタイプの人間では無かったが、田舎の職に対する柔軟さには度肝を抜かれた。
では実際の移住者はどんな職に就いているのだろうか?
多くの方は、都会でのキャリアを重宝されて役所などの公的な施設に就職している。
林業や製材所関係の会社に就職する方もいる。
海近なら漁業に進む方もいるかと思うが、こちらは直接の関わりが無いので今回は割愛させて頂く。
そして新規就農助成などを足がかりに、所謂「農業」に入っていく方も多い。
しかし体感として、実際に新規就農で五年以上続く方は稀だ。
多くの方は新規就農の助成金を受けられる期間が過ぎると、農業をやめてしまう。
それでも転職に困っている場面を見たことはあまりない。
もちろん、私が住む地域が特殊な可能性もあるが、地域の移住促進課のような窓口が、しっかり職場を斡旋してくれるケースがほとんどではないかと思う。
ここで一つ知っておいてほしいことがある。
ここまで田舎と一括りにして話を進めてきたが、田舎にも「都市部、やや田舎、すごく田舎、秘境……」と言った具合に地域の区分があるということだ。
筆者が住むのは「やや田舎〜すごく田舎」に属するエリアになるかと思う。
田舎の都市部は都会に近い就職率や常識が場を支配している可能性が高い。
それが秘境に近づくに連れて、常識が薄れ、独自ルールが強くなる。
独自ルールは本当に独自なので合う合わないが絶対にある。合えば天国、合わねば地獄になりかねない。
全く知らない土地に移住する場合は、まずは田舎の「地方都市近郊〜やや田舎」あたりに移住するのが、安全かもしれない。
適度に融通が利き、適度にルールの加護がある。
しかしながら田舎の真髄を味わうためには「すごく田舎」に住むのをおすすめしたい。
地方に住む人でも、意外とすごく田舎な生活はしていない。
うちの生活を見て「こんなところに住んでるの!?」と驚く県民の方も結構いる。
田舎にいながら都会的な生活をするのが目的でないなら「やや田舎〜すごく田舎」でスキルを磨き、最終目標に「秘境」を据えるのが良い。
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