第二章ですわ
第14話 アビス様とデートですわ
きっかけは今日の朝食の時のことだった。念願のアビス様至近距離での食事にいつもにも増しておいしく感じるお料理を口に運んでいる時、ふといつもの食卓に並ぶ魔界イチゴを見て「人間界のものと少し違うんですよね」と私が呟いたのがキッカケ。
「ほう、具体的にどう違うのだ?」
「魔界イチゴより鮮やかな赤、小粒、酸味が多くて、多量のジャムなどには地上のイチゴの方が適しているかもしれませんわね」
「是非食してみたい、ソフィア、今日はとことん付き合ってもらおうか!」
「えっ?」
「おデートかウサ。気を付けて言って来るウサよ」
私達がイチゴで盛り上がる横でも、マイペースにモグモグしているラビ。パン籠に手を伸ばし続けているのを見ると、今日の食卓はパンが特にお気に入り?
「というかラビ、貴様が何故いる」
「ウサウサウサ~♪」
知らん顔で私のとなりでイチゴジャムをたっぷり乗せたパンをかじるラビ。
「申し訳ございません、アビス様。私が来てもいいと言ってしまったのです」
キラキラした目で「一回くらいアビス様のお食事体験してみたいウサ~」って昨晩訴えるからつい……! 二人きり~はいつも体験してるし、こうして間近でお顔見れるようになっただけで幸せだし。
「アビス様はもちろんですが、ラビにも普段、アビス様がご不在の時などは傍にいてもらって色々お世話になってるので……先にご相談すべきでしたわ」
「い、いや、俺様は寛大な男だからな、ウサギ一匹どうってことない。監視もウサギなら怖くないだろうという俺様の目論見が当たっていたという、俺様の見る目があるという事にも繋がるしな!」
ああ、そんな意味が。確かに話してみれば良い方達ばかりだったけれど。初見でフカフカプニプニウサギと仲良くなったから、個性豊かな魔族の方々と仲良くなるワンクッションになってくれたのかも。
ラビ自体もお城の方々に対して顔が広いから、自然と私も輪に入れてもらえたってところが絶対あるし。
「アビス様にもラビにも感謝しなくちゃいけませんわね」
なんて言っても、当のラビは、口の周りをイチゴジャムまみれにしてパンを食べるのに忙しいけれど。
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