第116話 闇の悪魔軍団と、火の悪魔軍団
う〜む。1億1000万匹のアークデーモンは、治安維持と増税の為に使えないからな……。
僕が今、何を考えているのかと言うと、テネブリスに数億匹のアークデーモンを従えさせて、悪魔軍団を作る事である。
もちろん戦争に向けて戦力を増やす為だ。
「先ほどから、何か思案されてるようですが、どうなさいましたか? ピーター様」
「その事なんだけど、テネブリスに数億匹のアークデーモンを従えさせて、戦争の時に悪魔軍団の長として、戦ってもらおうと思ってるんだよ」
それを言うと、テネブリスは喜色満面で話した。
「嗚呼、ピーター様。私は余りの喜びで卒倒しそうです」
「大袈裟だなぁ。悪魔の中でテネブリスが一番強いんだし、統率力もあるんだから、色々考えたけど──テネブリスが適任かと思ってね」
「ピーター様が、そこまで私の事を……。このテネブリス、幸甚の至りでございます」
なんか凄く喜んでるから逆に助かった。
断られたら僕が数億匹のアークデーモンを、従えなくちゃならない所だったからな。
そんな事になったら、凄く面倒だ。
「所でさ、僕はテネブリスに3億匹ぐらいのアークデーモンを従えさせて、悪魔軍団を作ろうと思ってるんだけど。テネブリスはどれぐらいアークデーモンを従えたいか教えてよ」
それを言うと、流石のテネブリスも驚愕していた。
「さ、3億匹ですか……」
「足りない?」
「いえ。充分過ぎる程かと」
「んじゃあ問題ないね」
僕とテネブリスが会話をしていると、フランマが割って入ってきた。
「おい! ピーター! テメーはテネブリスだけに、アークデーモンを従わせるのか? 俺にも従わせろよ!」
「え? フランマにもお願い出来るの? じゃあ二人にアークデーモンを従わせるよ。フランマも3億匹でいい?」
「おう、当たり前だ! 3億匹のアークデーモンか! 悪くねーな!」
んじゃ、テネブリスの悪魔軍団と、フランマの悪魔軍団で──合計6億匹か。まあ、三年前の僕だったら無理だったけど、魔力量が200倍になってるから、大丈夫だろう。
「よーし! じゃあ今から6億匹のアークデーモンを召喚するから、お前らは後ろに下がっててくれ!」
「ピーター様? 私は決して、ピーター様の力を疑ってる訳ではありませんが。流石にアークデーモン6億匹の召喚は、ピーター様の体に負担が……」
テネブリスが心配して声をかけてきた。だが、大丈夫だ。僕は無理な事は、はっきり無理って言うタイプだから、6億匹のアークデーモンを召喚したとしても、僕の体には負担は無い。
「心配してくれてありがとな、テネブリス。だけど僕を信じろ」
「解りました。では、ピーター様の後方で待機しています」
さて、テネブリスもフランマも後ろに行ったか。
6億匹の召喚か──どんだけ大きな召喚陣になることやら。
まあ、早く終わらすとしようかね。
6億匹のアークデーモンよ現れろ。
────ん? 失敗したか?
しかし失敗ではなかった。余りの数に、時間が少しかかったのだ。
前に僕が念じた時は、黒く不気味に光る召喚陣が現れたが──今回は僕の周囲が漆黒に包まれ、夜になったと錯覚するほどの暗闇に呑まれた。
そして想定を上回る大規模な超巨大召喚陣が浮かび上がった──が、モンテスの街の中まで超巨大召喚陣が侵食している。
ヤバいヤバい! おい! 6億匹のアークデーモン! 後で魔力をたくさん与えてやるから、少し待ってろ!
すると、暗闇と召喚陣が消えた。
ふぅ……危ない所だった。
でも悪魔との取り引きは絶対だから、後で召喚した後に大量の魔力を与えるのか……。でも何とか帰ってくれたぞ。
「どうなさいましたか? ピーター様。やはり体にご負担が?」
「いや違うんだ。召喚する場所を間違ってた。前は北の大山脈だっただろ? ここは街の近くの外だから、6億匹も召喚したら、皆が驚くじゃん。だから転移魔法陣で、北の大山脈に行くぞ」
「なるほど。申し訳ありません。このテネブリス、嬉しさの余り、その事を忘れていました。どうかお許しを」
「別にテネブリスが悪い訳じゃないよ。とにかく北の大山脈まで行こう」
そして、僕はすぐに北の大山脈までの転移魔法陣を作り、僕とテネブリスとフランマは、北の大山脈まで転移した。
よし。これだけ広ければ大丈夫だ。
「悪いね二人とも、じゃあまた、僕の後ろに下がってて」
僕が言うと、テネブリスとフランマが後ろに下がった。
さてさて、それじゃあ、やりますか!
6億匹のアークデーモンよ、再び現れろ。
あ、やっぱり夜みたいに暗黒に包まれたな。
召喚陣は──まだか……。
おお! 出たぞ! 暗闇に包まれた空間内に、不気味に輝く黒い光り。
その黒い光りが、大地を侵食し想像を絶する超巨大召喚陣が浮かび上がった。
さらに黒煙が立ち昇るのだが、その尋常ならざる黒煙は、きのこ雲となり黒煙で上空が漆黒に染め上げられる。
なんだこれ。真っ暗で何も見えないぞ。
そして、少しずつ黒煙が薄くなり、やっと暗闇が消えたかと思うと、無数という言葉を超えた、無限とも思えるアークデーモンが超巨大召喚陣から現れた。
すると、テネブリスとフランマが声も出ず、現実離れした光景を前にして、ただ拍手だけをしている。
と言うか、やっぱり、いつ見ても慣れないな。この鬼のような顔は。
だが、紛れもなく、前に見たアークデーモンだ。
額からは後ろ向きに生えた二本の角に、肉体と同じ程の大きな翼。
長身でスリムな人間のような姿に、肉体は筋肉質で鋼のような硬度を誇り。
両手両足には鋭い爪が生えており、下半身はドラゴンのような鱗を纏っている。
先が鋭く尖った、細いドラゴンの尻尾もちゃんと生えていた。
いや〜成功したぞ。てか、本当に6億匹いるのかな?
【伝えます。個体名ピーター・ペンドラゴンが悪魔召喚で召喚した、アークデーモンの数は6億匹です】
おお! ちゃんと成功したのか! てか、そんなに魔力の消費は無かった感じがしたぞ。
まあいいや。そんな事よりも、まず命令をしないと。
僕は一匹のアークデーモンに命令した。
「魔力は後でちゃんと与えるから、先に命令を聞いてくれ。まず、自分より弱い者を襲わないこと。特に害意が無い人間や亜人は絶対に襲わないこと。ただし、敵意がある者は殺さずに捕縛しろ。それと、お前らの主人は僕だが、これからは、お前らの目の前にいる、二人の悪魔の指示に従うこと。二人の悪魔の名前はテネブリスとフランマだ。最後にさっきの命令は平時の際の命令だ。有事の際の命令は二人の悪魔の命令に必ず従うこと。以上」
すると、一匹のアークデーモンが瞬時に6億匹のアークデーモンに、今の命令を共有させた。
『解りました。これからはテネブリス様とフランマ様の、ご命令に従います。では、元ご主人様。お約束通り、魔力を頂戴したく存じます』
「解った!」
僕は召喚した時と同じ量の魔力を、6億匹のアークデーモンに与えた。
『確かに大量の魔力を頂きました。誠に有難うございます』
うーむ、デーモンロードとかに進化するかもと思ったけど、変化無しか。流石に魔力不足なのかな? まあ、消費した魔力は召喚の時と、今与えた魔力を合わせても、30パーセントぐらいなんだけど。
あれ? なんか、アークデーモンの体が……どんどん大きくなってるんだけど……。
【伝えます。個体名ピーター・ペンドラゴンから魔力を与えられた、6億匹のアークデーモンの肉体が二倍の大きさになり、肉体の硬度が金剛石と同じになりました。加えて、6億匹のアークデーモンの全ステータスが10倍になりました】
おい……デーモンロードには進化しなかったけど、少しの魔力量しか与えなかったのに、凄いことになってるぞ……。
大きさが二倍で、体が金剛石で、全ステータスが10倍って……。
まあ、強くなったのはいいことだけど……。
「す、素晴らしい流石はピーター様。まさか6億匹のアークデーモンを召喚なさるなんて」
「こ、こんだけのアークデーモンを見るのは初めてだ……。やるじゃねーか! ピーター!」
なんとか召喚の方は、終わったか。
それじゃあ、僕が考えてた悪魔軍団の名前を二人に伝えないと。
「二人に話しがあるんだけど。テネブリスとフランマには、それぞれ3億匹のアークデーモンを従えた、悪魔軍団の長になってもらう。んで、その悪魔軍団の名前も決めたんだ。テネブリスが率いる軍団名が、ダークネスで。フランマが率いる軍団名をブレイズにした。名前の不満とかある?」
「私はピーター様が決めた事には、何の不服もございません。このテネブリス。ピーター様から頂いた3億匹のアークデーモンの長として、ダークネスの軍団名を有り難く頂戴いたします」
「俺も3億匹のアークデーモンをもらったんだ。文句なんざねーよ。3億匹のアークデーモンの軍団、ブレイズの長として──って、所で今更だけどよ、なんで俺を召喚したんだ?」
あっ、言うの忘れてた。
「ごめんごめん。実はこれから大きな戦争が始まりそうで、強い仲間が欲しかったんだ。それで、フランマを召喚したってわけ。ついでに、戦争の時に3億匹のアークデーモンの軍団、ブレイズの長として戦って欲しいんだ」
その話を聞いたフランマは、生き生きとした表情で答えた。
「そういう事なら任せろ! 戦争か、いいじゃねーか! 大暴れしてやるぜ! それから3億匹のアークデーモンの軍団、ブレイズの長も任せろ!」
「おお! 頼もしいね! じゃあ任せた。戦争の時は活躍してくれ」
「解ったぜ! ピーター! 大活躍してやる!」
はぁ……これで、悪魔軍団も作れた。しかも最初は、テネブリスだけの3億匹の軍団のはずが、フランマにも3億匹の軍団の長を任せたから、合計で6億匹になった。
これはかなりの戦力になる。しかも、アークデーモンも魔力を与えたら、かなり強化したし。
取り敢えず、悪魔たちの方はこれで大丈夫だな。
次は──やっぱアイツらを強くさせないと。
そう、ミストスの街も合わせると、30万人になる吸血鬼軍団である。
コイツらを今よりも強くさせなくては!
その前に、早くゴハンを食べなくては……。
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