第2章 ドラゴンと令嬢を仲間にし、戦火の中へ
第13話 ジョブ神殿に向かって
さてさて、何とかエルダードラゴンも仲間にしたし、またスキルのドラゴンチャームを発動させよう──周りのドラゴンの視線が怖いからね。
って、あれ? どうやってスキルを発動すれば……。
【問います。個体名ピーター・ペンドラゴンが今まで一時的に解除していたユニークスキル、ドラゴンチャームを再度発動させますか?】
もちろんYESです!
おお、周りからの視線が甘く蕩けるようになった。やっぱこれ魅了されてるのか?
そして──肝心のエルダードラゴンはと言うと……。
「ぴ、ピーター様! ピーター様! 私のような下賎なドラゴンが、貴方様のお仲間になっても宜しいのでしょうか?」
な、なんか……ウザいと言うか、絡みずらい……。
【伝えます。個体名エルダードラゴンだけに、ドラゴンチャームを発動させないようにすることも可能ですが、発動を解除しますか?】
え? そんな便利機能があるの? じゃあYES!
「むむ? 何だか甘い夢を見ていたような……ピーター様! 私は眠っていたのだろうか? 思い出せぬのだ」
「まあ、眠っているって言えば眠ってたかもな」
はあ、何とか前のエルダードラゴンに戻ったか。しかし、エルダードラゴン……なんか名前が長いな。
エルダードラゴンか。エルダー、ドラゴン、そうだ! エルにしよう!
「なあエルダードラゴン。お前の名前長いから今日から僕がお前を呼ぶ時に、エルって呼んでもいいか?」
「構わんぞ! 仲間だからな! では今日から私のことをエルと呼んでくれ!」
おっ! 結構素直だな。気高い種族だから、嫌だ嫌だと言って断られるかと思ったが。喧嘩にならずによかった、よかった。
と言うか、そろそろジョブにつかないと。
このままず〜っと、ステータスにジョブ無し記載は悲しすぎる。
と言うか、ドラゴンの里にもジョブ神殿ってあるのかな?
皆ドラゴンだからジョブチェンジの必要性もなさそうだが。
「なあエル。この里ってさ、ジョブ神殿とかあったりするの?」
「ん? もちろんあるぞ。もう2000年以上使われてないがな。ここのジョブ神殿で加護を授かり、勇者にジョブチェンジしたやつがいたのを薄っすらと覚えている」
あるのか、良かった。でも2000年以上昔って……。もしかして、このドラゴンの里でのジョブチェンジが勇者だけってことはないだろうな?
【伝えます。土地名、ドラゴンの里のジョブ神殿は、全てのジョブにチェンジ可能です】
マジか! それなら良かった。
「ところでピータ様。もしや勇者のジョブにチェンジしようと思っているのか? いや、まあ私は止めないが、勇者になるとユニークスキルのヒューマンチャームで大変なことになるぞ?」
「いや、勇者になんか興味ないよ。それに僕の適性ジョブはギャンブラーらしいから、ギャンブラーになろうと思ってる」
「そ、そうか。それなら良かった──あっ! いや、何でもないぞ!」
エルの奴、何を慌てているのだろう?
【説明します。個体名エルダードラゴンは、過去に勇者と呼ばれるものと一緒に魔王討伐の旅に出て、その時に勇者のユニークスキル、ヒューマンチャームで人間に好かれ過ぎて、それ以来、人間嫌いになりました】
そう言うこと。だからあんなに、僕にも最初冷たい態度を取っていたのか。
あれは見下すと言うよりも、毛嫌いに近かったもんな〜。
きっとエルの中で人間がトラウマになっているのだろう。
……って! エルって勇者と一緒に魔王討伐したのかよ!
そっちの方が重要じゃん!
何だか仲間にしたら、気さくな奴だと思ってたが──まさか魔王を勇者と一緒に倒したなんて……。
人に歴史あり……ドラゴンにはもっと歴史ありだな。
しかもエルの場合、そう言う凄いことをドヤ顔で語る性格でもなさそうだし。
おっと、いけないいけない、ジョブ神殿に行くんだった。
「エル! この里の詳しい場所が解らないから、ジョブ神殿まで連れて行ってくれないか?」
「お安いご用だともピーター様! さあ私の背中に乗ってくれ」
そう言うと、エルは地面にしゃがみこみ臥龍のポーズになり、僕はそのまま、軽々とジャンプして、エルの背に乗った。
こんなに軽々とジャンプできるのも、異常なまでのステータス向上のおかげだろう。
「では。ジョブ神殿に行くぞ! 因みにドラゴンの里でのジョブチェンジは無料だぞ!」
マジかよラッキー! しかも……うおおおおお!! 飛んでるよ、ドラゴンに乗って飛んでる。なんか感動だな。
しかし上から見たドラゴンの里って、エンシェンドラゴンが言ってた通り、本当にプラチナ鉱石の山なんだな。
後で少しプラチナの結晶を貰っても……。
【説明します。ドラゴンの里でプラチナ鉱石の結晶を自由に扱えるのは、個体名、エンシェントドラゴンとエルダードラゴンだけです】
そうなのか! エルにも権限があるんだ。じゃあ後で少し貰えるか訊いてみるか、商人ギルドで高く売れそうだし……ふふふ。
「着いたぞ! ピーター様!」
エルの言葉に我に変えると、古びた小さな神殿がポツンと里の隅にあった。
まるで、何かに隠れているような神殿だが、やはり神殿だけあって厳かな雰囲気がある。
そして、エルは神殿の前まで到着すると、また地面に降り立ち、僕はジャンプしてエルの背から降りた。
「なあエル? お前も一緒に来るか?」
「いや、私は外で待っている」
「そっか。あっ! ところでお願いがあるんだけど、僕が神殿に入っている時に、少しだけ、プラチナ鉱石の結晶を貰いたいんだけど……大丈夫?」
エルは自信満々に言った。「お安いご用だと」。
よし、これで資金も増えるな、ジョブチェンジもやっとだよ。これぞ一石二鳥ってやつか。
「では、私はプラチナ鉱石の結晶を取りに行ってくるぞ!」
そのままエルは両翼を広げ、羽ばたいて言った。
じゃあ今度は僕の番だ。少し緊張するけど、いざ神殿に!
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