癒し

 奈美ちゃんは、もしかしたら元カレに妊娠のこと言ってないのかな?

 

 

 …

 

 

「あのさ、奈美ちゃんは…あのことモトカレさん以外に誰かに相談した?」

 と聞いてみた。

 

 すると、

「ううん。モトカレにしか言ってないよ?なんで?」

 と、キョトンとしていた。

 

 

 …やっぱりか。

 友達だけってなると…

 親にも言ってないやつか…。

 

 

 でも、そろそろ言わなきゃダメな時まできてるよね…。

 

 

 てか、奈美ちゃん…今日はまったく、お腹さすってないな。

 

 気持ち悪くも無さそうだな。

 

 

「奈美ちゃん、今日はお腹大丈夫そうだね」

 

 オレは奈美ちゃんのお腹をじっと見てしまった。

 

「もー…、あんまりお腹みないでよー。恥ずかしいから」

 

 と、お腹をポンってした。

 

 

「ちょっ、奈美ちゃん…だめだよ。また産まれそうになっちゃうからね⁉︎」

 と慌てた。

 

 すると奈美ちゃんは、

「今日は、大丈夫だよぅ」

 と笑った。

 

 

 今日は大丈夫なのか。

 

 お腹が張ってたりするとよくないっていうけど今日は、この前と違ってだいぶいいみたいだ。

 

 まぁ、この前はたくさん食べてからオレの部屋にきたから、それもよくなかったのかもしれないな。

 

 食べすぎて、お腹の張りを誘発してしまったのかもしれない。

 

 

 お腹が調子いいとベランダにも行かなくていいみたいだ。

 

 この前は、オレとの同じ空間がイヤなのかとか、息抜きしたいのかとか思ったけど、ほんとに今日は安定しているらしいな。

 

 

 顔色だっていい。

 

 

 オレが奈美ちゃんチェックしていたら奈美ちゃんが、

「あんまり…みられると恥ずかしいよ?」

 と照れ顔をした。  

 

 

 かわいい〜‼︎

 

 

 なんか奈美ちゃんって小動物みたいですんごいかわいいんだよね。

 

 

 なのでついオレは、

「奈美ちゃんは、とにかくかわいいよね」

 と、またもガン見した。

 

 そしたら、奈美ちゃんってばまた、

「さっきの続き…したいな」

 なんていうんですよ…。

 

 

 オレもしたい‼︎でも、今じゃないから……とにかく今は奈美ちゃんとお腹の子を優先だ‼︎と、オレの心臓と脳内を必死に黙らせた。

 

 

「奈美ちゃん。オレ…ほんとは、すんごいしたいけど…やっぱり奈美ちゃんの負担になるようなことできないや」

 

 と、押さえ切った‼︎

 

 

 そしたら、奈美ちゃん…が

「ありがとう。ならさ、イチャイチャくらいならいいよね?」

 と、オレに抱きついた。

 

 

 ‼︎

 

 奈美ちゃん…

 

 嬉しいけど…これはオレにしたら拷問に近いです…ね。

 

 なんの罰ゲームですか?ってくらいに身も心も大変なことになっておりますよ⁉︎

 

 

 なんでそんなことするん……

 

 

 オレは耐え切れるのか⁉︎

 この拷問的なことをオレは…オレは…

 

 

 …

 

 

 おいおい、オレ‼︎

 

 落ち着け‼︎

 

 そうだよ‼︎

 

 奈美ちゃんは、ハグとかして落ち着きたいんじゃないか⁉︎

 

 そうか‼︎

 

 妊娠中は、何かと心が不安定っていうもんな‼︎

 

 オレがムラムラしてどうにかなっている場合じゃないんだ。

 

 

 今は、そうじゃなくて…とにかく奈美ちゃんが安心できるように優しくしてあげたらいいんだよな。

 

 

 ってことで、奈美ちゃんを優しく包み込んでハグをした。

 

 

 あったかい。

 

 

 …

 

 

 …

 

 そういえば、オレって今奈美ちゃんをハグしてるけど、実はお腹の赤ちゃんも癒されたりしてるのかな?

 

 

「どう?奈美ちゃん。少しは、癒された?」

 

 オレの質問に奈美ちゃんは、まさかの…

 

「チューして?」

 と言い出した。

 

 

 ‼︎

 

 それは…オレが覚醒してしまいかねないよ⁇

 

 

 大丈夫か?オレよ…

 

 

 …

 

 

 いやいや、これも癒しの一環ですよ。

 

 

 

 ってわけで、キスをさせていただきましたよ。

 

 

 やっぱり最高です‼︎

 

 でも、これは癒しのボランティアみたいなものですからね?と、何回も脳内で自分を説得させて落ち着かせていた。

 

 

 奈美ちゃんだって、その…あんまり興奮状態になってしまったら、危ないもんね。

 

 

 

 キスをして、ハグをまたして…癒しのコースをオレなりに満喫した。

 

 

 あ、ところで…名前。

 

 奈美ちゃんって赤ちゃんの名前考えてたりするのかな⁇

 

 

「あのさ、奈美ちゃん。」

「ん?」

 

「名前…」

 

「え?どうしたの急に。あなたの名前は、壮太くんだよ?」

 と、笑った。

 

 

 …

 

 

「いや、違くて…」

「え、わたし?奈美だけど…」

 と、キョトンとした。

 

 

 …

 

「そうじゃなくて、赤ちゃんの名前」

 

「えー、待って壮太。キスしたくらいじゃ赤ちゃんできないよ?」

 と、びっくりしていた。

 

 

 いやいや…そんなのわかってるけど…

 

 

 …

 

 

 お腹の子は、あなたに名前決める権利ありませんってこと?

 

 もしかして、奈美ちゃんって…一人で産むつもりなのかな?

 

 

 産まれたらオレ…音信不通とかにされちゃう⁉︎

 

 奈美ちゃん…オレの前から消えちゃう⁇

 

 奈美ちゃん‼︎

 

 オレが父親になるから‼︎

 

 

 なんとかして奈美ちゃんを説得せねばと、父親として認めてもらえるよう必死に考えた。

 

 

 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る