【5話・後編】授業の中で芽吹く約束
席に着くと、
「
その言葉に、一瞬心臓が縮むのを感じた。人と関わることに対する不安と恐怖が胸に広がる。過去の経験がフラッシュバックし、心の中で警鐘が鳴り響く。
「他の人の方が教えるの上手だよ」
私はそう答えた。自分が役に立てるとは思えなかったし、彼女との関わりを避けたいという思いが強かった。
しかし、
「いや、
彼女の真剣な眼差しが私を射抜く。その瞳の中には、純粋なお願いと信頼が感じられた。それでも、私の心は過去の傷に囚われていた。関わりたくない、また傷つくのが怖いという思いが頭をよぎる。
ふと、
「どうして私なの?」
と少し驚いて尋ねると、
「
その言葉に少し戸惑いながらも、断る勇気が出ず、しぶしぶ了承してしまった。心の奥底には、関わりたくないという気持ちと、断れなかったことへの重たい気分が広がっていた。
「ありがとう、
☂ ☂ ☂ ☂ ☂
放課後、図書室で
静かな図書室の中で聞こえるのは、ページをめくる音と時折の筆談の音だけ。時折筆談を交わして微笑み合うその時間が、私にとって何よりも大切なひとときだった。
(朝から夕方まで、
と心の中で呟いた。とても居心地が良く、穏やかな時間が流れていく。しかし、ふと疑問が胸に浮かぶ。
心を読んでみようと思ったけど、躊躇してしまう。見るのが怖い。この関係が崩れるのが怖い。中学生の時、親友だと思っていた人やクラスメイトたちから拒絶された過去がフラッシュバックする。
目を見てしまったら心を読んでしまうのが怖くて、視線をそらしてしまう自分がいた。
この幸せな時間がいつまで続くのだろうかと、胸の奥で小さな不安が影を落としていた。
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次回、第6話:雨のち花
孤独な昼休み、心結は柚月の誘いを断り、不安を募らせる。
午後の授業後、二人だけの静かな教室で、柚月から問い詰められる心結。
柚月の真剣な気持ちに押され、心の奥底にある思いを打ち明ける瞬間が訪れる。
果たして、涙の中で芽生える新たな友情と、心に灯る希望とは──。
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