【4話・後編】ノートに綴る星空と水槽
続いて、私は、
「
とノートに書いた。彼は少し考えてからペンを走らせ、
「俺の好きなことはね……」
と書き出したところで、ふと彼の趣味を当ててみたいという気持ちが湧き上がった。声を出せない焦りで、私は
手が触れ合った瞬間、
「ご、ごめん……」
私は照れくさそうに手を引っ込めたが、すぐに
「私が当ててあげる!」
と書き、息を弾ませながら彼の目を見つめた。その視線の奥に映る静かな光は、まるで夜空に輝く星々のようで、その瞬間、私の心に無数の星が散りばめられたような気がした。
「星を……見ることが趣味?」
「そうだよ。どうしてわかったの?」
「秘密♡」
私は少し得意げに微笑んだ。彼の瞳が一瞬だけ揺れたのが見えて、私の心が温かくなった。
「星を見るのが好きなのは、広大な星空を見ると落ち着くからなんだ」
「私も魚の動きを見ていると、心が落ち着くの。」
「……私たちって、似ているね」
その後も筆談を続けながら、お互いの趣味や興味について語り合った。
図書室の閉館時間が近づき、ノートを閉じて帰り支度を始めた。外はすっかり暗くなっていた。静かに図書室を出て、帰り道を歩き始めた。
「今日はありがとう、
「こ、こちらこそ……ありがとう。」
「また、お話ししたいな」
「お、俺も……」
静かな夜道を並んで歩く私たち。
「また明日ね、
「ま、また明日、あ……
家の前で別れる時、振り返って
家に着くと、玄関でちょうどお母さんと顔を合わせた。
「ごめんね、遅くなっちゃった。
「うん、今帰ったところ。図書室でね、本読んでたの。」
「嬉しそうね。なにかいいことあったの?あとで話聞かせて。ご飯作っちゃわなきゃ。」
母の笑顔が、私の心にも伝わってきた。
部屋に戻り、今日書いたノートのページを開く。そこに記された文字たちが、私たちの秘密の会話を思い出させる。ページをめくりながら、
ノートには、彼の丁寧な字が並び、彼の性格が反映されているように感じた。ひとつひとつの言葉が、まるで宝石のように輝いて見える。私も彼にこんなに心を開けるなんて、想像もしていなかった。
(こんなに素敵な時間を過ごせたなんて、夢みたい)
ページの最後には、私たちの約束が書かれていた。
「今度、おうちに見に来てよ」
その一行を見て、再び胸が高鳴る。彼が本当に家に来る日が待ち遠しく、楽しみで仕方がなかった。
(
ノートを閉じ、ベッドに横たわりながら、今日の出来事を振り返る。彼と過ごした時間が、私の心に大きな変化をもたらしてくれた。心の中に広がる温かさが、これからの毎日をもっと輝かせてくれる気がした。
静かな夜の中で、彼のことを思いながら、私は幸せな気持ちで眠りについた。
⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆
次回、第5話:授業の中で芽吹く約束
朝霞颯太と一緒に歩く登校時間、そして、授業の中で芽生える小さな勇気。
そんな日常の中で、クラスメイトの柚月からの頼み事が心結の気持ちに大きな変化をもたらす。
放課後、図書館でのひとときに訪れる過去の記憶。
心結に訪れる新たな展開とは──。
⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆⛆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます