第14話 さらなるうわさを流したほうがいいのか(葛音編)

 痴漢冤罪のうわさを流しても、一縷は学校に登校していた。登校拒否に追い込むつもりだったのに、現状ではうまくいっていない。


 痴漢冤罪だけでなく、暴力を振るわれたという噂を流してみるのはどうか。一縷は最低最悪の人間という印象を植え付ければ、さすがに登校したいとは思わなくなるはずだ。

 

 デマを吹聴しすぎると、現実味は失われる。クラスメイトに虚言ではないと思われるレベルで、奴の評判を地に落とさねばなるまい。


 一縷の顔を見る。昨日と比べて、かなりやつれている。その姿を見て、優越感に浸っていた。恋愛の邪魔をするから、ひどい目にあうんだ。


 さらに深いダメージを与えれば、自殺につながっていくはず。命を絶たせてしまえば、でっちあげも真実とみなされる。死人に口なしだ。


 一縷のところに、学校一の美少女が接近を図る。痴漢冤罪を流してから、二人の仲は急に近くなった。元カレを排除したいものにとって、厄介な状況といえる。


 あいつの悪いうわさを流して、学校から完全に孤立させるのはどうか。ポーカーフェイスを貫いてはいるものの、中身はそうとは限らない。ダメージを与えれば、学校に登校するのをやめるはず。


 いろいろな試案をめぐらせていると、授業開始のベルが聞こえる。生徒たちはあわただしく、席についていた。

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