第29話 オイル塗り

 優愛は裸の状態で、うつぶせになった。


「一縷、体にオイル塗ってほしいんだけど。順番はどうでもいいけど、すべての個所に塗るようにしてね・・・・・・」


 優愛はオイルがここだといわんばかりに、レジ袋を人差し指で示していた。


 最大の難関は2つ。一つ目はおしりのまわり、二つ目は胸の周辺。理性をコントロール機能は失われ、暴走する危険性は大だ。


「優愛、メンタルポイントが・・・・・・」


 優愛は鼓膜をふさぎたくなるくらいの、大きな声を出した。


「えーーーーーーーー。オイル塗りをやってくれないの。痴漢された傷を癒してほしいんですけど・・・・・・」


 痴漢された苦しみを癒やすか。重要な任務を与えられたことで、少しだけやる気になった。


「わ、わかった・・・・・・」


「わ、わかればいいの・・・・・・」


 学校で痴漢されたからか、声から元気が失われていた。


*30分後


 優愛の全身にオイルを塗ったことで、メンタルポイントは完全に吸い尽くされた。


「一縷、ありがとう。あなたのおかげで、痴漢の傷を軽減できそうだよ」


 少しだけ明るくなった声のトーン。ほんのちょっぴりだとしても、傷を癒やせたのかなと思った。


「お役に立てたのなら何より・・・・・・」


 バスト83、ウエスト58、ヒップ82のスペシャルボディにもう一度触れたい、性欲まみれの男はそのようなことを考えていた。

 

「一縷、野獣さながらの目を向けているね。直に触れたいなら、いくらでも触れていいからね」


「優愛・・・・・・」


 オイル塗りで疲れたのか、大きなあくびを繰り返した。


「一縷、膝枕しようか?」


「お、お願いします・・・・・・」


「一縷は正直者だね。ご褒美として、裸の状態で膝枕してあげるね」


「タオルはまいていただけると・・・・・・」


 裸の状態の膝枕は、脳に対する刺激があまりに強すぎる。横になったまま、魂だけ抜かれても不思議はない。


 優愛は口元に手を当てたまま、大きな息を吐いた。


「まあいいか」


 優愛の膝枕の上に頭をのせた直後だった。これまで抑えられていた、性欲が完全に爆発することとなった。


「一縷のスケベ、ド変態、究極H野郎、性欲の塊」


 こちらをちゃかしている女性は、はじけんばかりの笑顔になっていた。


「優愛・・・・・・」


「一縷のおかげで、完全復活できそうだよ。本当にありがとう」


 リミッターの外れた男は、二つの柔らかい部分に一直線に手を伸ばす。さっきと同じはずなのに、少しだけ柔らかくなったような気がした。


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