第20話 優愛のおかあさんと話をする
コップに水道水を入れようとしていると、優愛の母に声をかけられた。
「山小鳥遊君、優愛は学校でどうしているの?」
優愛のおかあさんに、率直なイメージを伝える。
「僕と話すまでは、誰とも口をきいていませんでした。何物も寄せ付けないイメージです」
○○のおかあさんの表情を見て、嘘をいえばよかったと後悔した。
「そうなんだ・・・・・・」
「優愛さんに声をかけられるまでは、一言も話したことはありませんでした」
冤罪をでっちあげられてから、○○は急接近を図ってきた。彼女の心の中で、動機になるものがあったのは確実だ。
「山小鳥遊君、優愛の部屋の様子はどうなの。まさかとは思うけど・・・・・・」
「部屋の中にいるときは、タオル一枚です。最初に見たとき、心臓がストップするかと思いました」
優愛のおかあさんは大きなため息をついた。
「男の前ではやめるように警告しておいたのに、意味をなさなかったみたいだね」
「優愛はタオル一枚が普通なんですか」
優愛のおかあさんはコクリとうなずいた。
「そうだね。自分の部屋にいるときは、タオル一枚で生活することがほとんどみたいだね。覗かないようにいわれているから、どんな巻き方をしているのかは知らないけど」
胸、〇○○はきっちりと覆っている。隠すべきところだけは、きっちりと隠している。
「体調不良を引き起こすから、母としてはやめてほしいんだけど・・・・・・」
寒い時期になればなるほど、病気になる率は高まっていく。日ごろからの予防は非常に重要だ。
「タオル一枚で生活されると、目のやりどころにすごく困ってしまいます」
優愛のおかあさんから、予想していなかった言葉が飛び出す。
「タオル一枚で過ごしているなら、堂々と見てやればいいんだよ。下手に視線を逸らすと、優愛の気分を害することになるよ」
「そ、そんなものですか・・・・・・」
「あんなに傷ついた子が、男の前でタオル一枚で過ごす。100パーセントを超える、信頼度を持っているとみなしていいよ」
「そ、そうですか・・・・・・」
優愛のおかあさんは、コップの水を口に含んだ。
「大切な人でなかったら、見殺しにしていたはず。命を助けたのは、絶対に殺したくなかったからだよ」
優愛のおかあさんは、深々と頭を下げる。
「優愛のことをよろしくお願いします」
返事をしようとする前に、強烈な眠気に襲われる。その後については、あまりおぼえていなかった。
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