第19話 タオル一枚の優愛さん

 優愛の部屋に入ると、タオル一枚だけを巻いた女の子が立っていた。


「一縷君、私の部屋にようこそ」


「優愛さん、どうして・・・・・・」


「自分の部屋で過ごすときは、タオル一枚で生活しているの。こうしていると、嫌なことを忘れられるんだ」


 タオル一枚になって、嫌なことを忘れようとする女性。学校では見られない、別の一面を持っている。


「優愛さん、その姿でいいの?」


「うん。いいよ♡。裸を見たいのであれば、タオルをぶんどっていいからね。一縷君は優しいから、できないとは思うけど・・・・・・」


 タオルをぶんどって、裸を見てみたい。男の忠実な欲望にあらがうことはできなかった。


 タオルをぶんどると、美少女の体があらわになった。制服を着用していたときよりも、数十倍、数百倍も美しかった。


 タオルを取られた優愛は、動揺する様子は見られなかった。


「思っていたよりも、大胆な部分を持っているみたいだね」

 

 優愛の裸を見ているうちに、おおいなる罪悪感にかられる。


「優愛さん、ごめん・・・・・・」


 優愛はまんざらでもない様子で、


「何度も同じことをやらせてみようかな」


 といってのける。タオルをぶんどられたことは、一ミリも気にしていないらしい。


「タオルをぶんどったのだから、こちらに視線を向けるように。いうとおりにしないと、拗ねてやるんだから・・・・・・」


 クールな一面ばかりを見せてきた女性は、別人さながらの可愛さを持っている。


「優愛さん、かわいい・・・・・・」


 うっかりと漏らした本音に、優愛は顔を大いに赤らめる。


「一縷のバカ・・・・・・」


 優愛は寒いのか、小さな咳をする。


「一縷、タオルを巻いてほしんだけど・・・・・・」


「自分で・・・・・・」


「タオルをぶんどったのは、一縷でしょう。後始末は自分でつけるようにしてね」


 満面の笑みの裏に隠された、強烈な威圧感。本気で怒っているよりも、おぞましさを感じた。


「優愛さん、タオルはどうまけばいいの?」


「ゆあだよ。今後は呼び捨てにしないと、返事をしないからね」

 

 同居一日目から呼び捨て要求。新しい生活は、想像以上のハードさを伴っている。


「優愛さ、優愛、どうしたらいいの?」


 優愛と呼ばれた美少女は、白い歯を見せる。


「タオルで体をしっかりと覆うようにしてね。隙間風が入ると、すごく寒くなるから」


 女子高生のタオル巻きは初めての体験だけど、やるしかなかった。自己流でタオルを巻いていく。


「優愛、できたけど・・・・・・」


 優愛はタオルの感触を確かめる。


「一縷、バストとおしりのあたりが緩いよ。手でしっかりと押さえつけるように」


「さすがに、それは・・・・・・」


「タオルをぶんどったんだから、後始末をきっちりとつけるように・・・・・・」


「わかった・・・・・・」


 タオルの調整をしていると、掌に柔らかい感触。大いに興奮してしまい、鼻息は荒くなった。


「一縷、目が露骨にいやらしんですけど。頭の中はH10000パーセントになっているでしょう」


「あまりにも柔らかくて・・・・・・」


 初めて触れたところは、マシュマロのように柔らさを伴っている。


「一縷、バストのところの最終確認をするように・・・・・・」


「わかった、わかった・・・・・・」


 柔らかい個所に触れた瞬間、心に邪心が宿った。優愛は男のけがれた心をすぐに見抜いた。


「一縷は正直だね・・・・・・」


「優愛・・・・・・」


「おしりのところの最終確認もするように・・・・・・」


「わ、わかった」


 こちらについても、興奮を隠せなかった。


「一縷、かわいいね」


 優愛はいつにもない上機嫌で、鼻歌を歌い始める。


「タオルを落っことしたときは、一縷に巻いてもらおうかな」


 優愛がタオルを緩めようとしたので、あわててストップをかける。


「優愛、やめて・・・・・・」


 優愛はストップをかけられ、不服そうな表情を見せる。


「一縷のけちんぼ・・・・・・」


「短時間で何回もやったら、メンタルポイントが0になってしまいます。」


「一縷、心臓にたっぷりと毛を生やしたほうがよさそうだね。そうしないと、これからを乗り越えていけないよ」

 

 学校のこと、二人きりで過ごすこと、どちらも当てはまっているような気がした。 

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