第12話 コスパのいい弁当を作る(○○編)

 朝5時に起きて、弁当作りにいそしんでいた。


「優愛、今日はすごく早いわね」


「弁当作りをするために、一時間ほど早起きしたんだ」


 生活リズムを買えたたために、瞼にちょっとばかりの重さを感じる。


「優愛、お弁当がすごく大きいわね」


「一縷君は、とんでもなくおなかをすかしているだろうから、しっかりと食べてもらいたいの」


 一縷は帰宅してから、何も口にしていないはず。大量のご飯で、おなかを満たしてもらいたい。


「水分はどうするの?」


 ご飯よりも重要なのは水分。これなくしては、人間はあっという間に干からびる。


「ペットボトルを5本ほど持っていくよ。お茶などを沸かす余裕はないから、水にするつもり」


 ペットボトル一本ずつに、水を入れていく。


「ペットボトル5本は重すぎるよ。3本くらいにしておきなさい」


「そ、そうかな・・・・・・」


「一縷君が家にやってきてから、たっぷりと水分補給してもらえばいいよ。重いものを持ち続けたら、ヘルニアを発症するわ」


「わ、わかったよ・・・・・・」


 から揚げを上げていると、おかあさんは優しい目を向けてきた。


「一縷君のことが、大好きなんだね」


「うん、大好きだよ」


「優愛が前向きになれてよかった」


 5年前の出来事があってから、感情を殺すようになった。数多くの人から、ロボットさながらだといわれたこともある。それでも、自分を変えることはしなかった。

 

「おかあさん、恋愛感情は秘密にしておいてね」


「タオル一枚で過ごした時点で、すぐに気づかれると思うけど・・・・・・」


「一縷君は今回の件で、異性に対しておっくうになっている。タオル一枚で過ごしても、当分は気づかないんじゃないかな・・・・・・」


「好き」と伝えた瞬間、すべてのものが砕け散っていくかもしれない。純粋な幸せを少しでもいいから、味わっていられるといいな。

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