第34話 冤罪が晴れた?

 優愛の家族の献身的な看病のおかげで、熱は一日で下がった。


 一縷のところに、血の気たっぷりの男たちがやってきた。


「痴漢犯罪者のくせに、心さんと仲良くするなんて許せない」


「そうだ、そうだ。俺たちによこせ・・・・・・」


 一縷と男たちのところに、優愛がやってきた。


「あんたたち、何をしているのかしら・・・・・・」


 優愛の瞳は、男たちの数倍の殺気を漂わせていた。


「心さん、えっと、あの・・・・・・」


「痴漢については、冤罪であることが判明した。you tubeなどで証拠の音声を聞けるよ」


 優愛はyou tubeなどに、痴漢冤罪の証拠となる音声を流していた。


「え、えんざい・・・・・・」


「そうだよ。一縷の元カノは邪魔者を排除するために、痴漢をでっちあげたみたいなの。信じられないというなら、本物を聞かせてあげてもいいけど」


 優愛は録音したテープを、学校内で流した。話には付き合っている、男の音声も含まれていた。


「どう、これでも信じられないのかしら?」


 優愛、クラスメイトのところに、祐大がやってきた。


「葛音は目的を達成するために、痴漢冤罪をでっちあげたんだ。自分の利益のためなら、手段も辞さない女といえよう」


「私の大切な人を傷つけたら、どうなるかわかっているわよね」


 男たちを前にして、堂々としていられる女性。心臓に100メートルくらいの、長い毛をまとっているのかなと思えた。


「一縷は家族に殺されそうになったから、私の家で生活してるの。二人は同じ部屋で寝ているんだよ」


 私生活の一部を堂々と暴露するとは。


「お、おなじへ・・・・・や」


「そうだよ。同じ部屋で生活しているよ。同じ部屋で着替えたり、オイルを塗ったり、お風呂に入ったり、胸マッサージしたりしたよね」


 同意を求められ、首を縦に振るしかなかった。


「一緒に着替え・・・・・・」


「オイル塗り・・・・・・」


「胸マッサージ・・・・・・」


「お風呂・・・・・・」


 男たちの最低な視線が、優愛にたっぷりと注がれた。


「心さん、僕たち・・・・・・」


 優愛は最後まで聞く前に、話を完全遮断する。


「一縷以外の男とは、話をする気もないから。必要以上に接近してこないようにしてね。痴漢をしたときには、あの男と同じ運命をたどるよ」


 痴漢をした男は、自主退学に追い込まれた。たった一度の性欲で、未来は大きく狂った。


「一縷の机の上に、死ね、殺すとか書いていたよね。教師に報告して、厳罰を下してもらうからね。あんたたちの未来は、お先真っ暗だね。自業自得なので、何の同情もしませんけど・・・・・・」


 心当たりのある生徒たちは、顔色が大きく変わった。処分におびえているさまは、自分が被害者になったかのようである。


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