第33話 動画サイトに音声を流す(優愛編)

 一縷は姉の部屋で雑炊を食べていた。自分のものでないことに、ちょっとばかりの嫉妬心をおぼえる。


「優愛、おかえりなさい・・・・・・」


 刺激を与えると、風邪の治りは遅くなる。一縷の体調がよくなるまで、タオル一枚を見せるのは、自重したほうがよさそうだ。


「一縷、熱はどうなの?」


 一縷の額に手を当ててみる。熱は下がったのか、あつさは感じなかった。


「36度5分まで下がった。おかあさんの看病のおかげで、楽になったよ」


 土、日に体調不良なら、健全な看病をできたのに。平日に高熱を出したことを、ちょっとだけ疎ましく思った。


 一縷の目の前に、ボイスレコーダーを置いた。


「計画はうまくいったよ。証拠となる音声をつかんできたよ」


 ボイスレコーダーを再生すると、祐大、葛音の会話が流れた。


「優愛、信じてくれてありがとう」


「私は私のために動いただけ。感謝されるようなことはしていないよ。一縷の名誉回復のために、you tube、ニコニコ動画、pixivなどに音声を流すんだ。音声については、そのままで行こうと思っている」


「優愛、そこまでやらなくても・・・・・・」


「一縷は存在を消されそうになったんだよ。これくらいのことは、絶対にやるべきだよ」


 社会的に抹殺されそうになったから、相手を完全に叩き潰しておいたほうがいい。そうしなければ、完全に舐められる。


 タイトルを過激にしなければ、誰も見ようとはしない。思いつく限りで、過激なタイトルをつけた。


「you tube、ニコニコ動画、pixivなどに音声を流したよ。すぐの反応はないだろうけど、徐々に広がっていくはずだよ」


 数時間もすれば、それなりの人数が視聴するはず。大切な人を傷つけた報いを、絶対に受けさせてやるんだから。

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