第32話 痴漢冤罪の証拠ゲット(優愛編)

 一縷は38度の熱を出して、学校を休んでいた。学校でのストレス、自宅におけるぞんざいな扱い、新しい環境に対するストレスなどが累積していると検討はつく。


 祐大と打ち合わせした、場所にやってくる。録音を済ませれば、一縷の冤罪を晴らすことができる。


 スマホを取り出すと、録音機能をスタートさせる。証拠をつかんだら、インターネットで流してやる。


「私から逃げるのはどうしてなの?」


「痴漢冤罪を流すような女と、一緒にいられるわけないだろ。おまえといたら、地獄逝きまっしぐらだ」


「あれは真実だよ。私は痴漢されたの」


 祐大は堂々と対応する。


「それなら警察に届けろ。できないってことは、真実ではないとみなしていい」


 葛音は痛いところを突かれたのか、口をつぐんだままだった。


「冤罪をでっちあげて、元カレを悪者に仕立てるなんて。どんなに邪魔になっても、そこまではやらないぞ」


 男は警戒しているのか、距離を少しずつ広げていく。


「幸せになるためだったら、どんな手段も用いる。私のポリシーだよ」


 最初からにらんでいたとおり、痴漢は冤罪だった。葛音は邪魔者を始末するために、嘘を流したようだ。 


「そ、そんなことのために、痴漢冤罪のデマを広めたのか」


 葛音は録音されていることも知らないのか、決定的な言葉を口にする。


「そ、そうだよ。邪魔者はすべて消えてもらわないと・・・・・・」


 祐大の視線を受け取ると、優愛は指で〇マークを作った。葛音は彼氏に夢中なのか、こちらに一ミリも気づいていなかった。


「祐大、これからもずっと一緒だね」

 

 葛音が抱きしめようとすると、男は完全拒絶。女の嫌われ方は、頂点を凌駕している。


 ここに居続けると、話を録音したことがばれる。葛音に気づかれないうちに、別のところに移動する。

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