第3話 潜入調査
「け、警察!?」
「な、なんだ!?」
そこには、男が三人いて手を挙げた。そして前橋彩が驚いた顔をしている。合計四人の人間がいる。俺は本物の拳銃ではなく、モデルガンを手に奴らを脅す。
「えっ?衛さん?」
「彩。この馬鹿。お前、サツに付けられたのか!!」
「よし、そのまま動くなよ」
辺りを見渡して部屋の隅から隅までウロウロする。小さな部屋に置時計が置いてある。置時計は海外産の物で安物だ。狭くて汚い小さな事務所。豪華とは言えないこの空間。建物自体も違法建築のように見える。借りているのだろう。家賃は訳ありで格安といったところか。金回りは、あまり良くない事が分かる。
建築の知識と時計の知識が活きた。どうやらここは、本部ではなく、おそらく支部の下っ端といったところだろう。ここは架空請求詐欺グループの末端の事務所で間違いないだろう。もう奴らのテリトリーだ。ここからカズの立てた作戦通りにいく。
「ふふっ、あはは。はははははは」
俺は笑ってみせた。
「な、なんだ。てめえ。何がおかしいんだ」
男のうちの一人が動揺しながら叫ぶ。
「危ういな。いや、危ういよ」
「な、何がだ」
「こうも簡単に尾行されてアジトを突き止められたのでは、この架空請求詐欺グループも危ういって言ってるんだよ。捕まるぞ、お前ら。お前らはなってない。俺が仲間になってやるよ」
「な、何を訳分からねえこと言ってんだよ」
「俺も架空請求グループに加えろって言っているんだよ。警察に通報されたくなければな」
「あ? お前、警察じゃないのか? ふざけるな。いきなり来たどこの馬の骨とも分からない奴を信用できるか」
「じゃあいいんだぞ。本当に警察に通報しても」
「おい、どうするんだよ。ノリ」
「心配するな。警察じゃねえってことは、あの銃は本物じゃない」
「この野郎。脅かしやがって。お前、ここから生きて出られると思うなよ」
「俺は爆弾を仕掛けた。俺が一時間で戻らなければ警察に言うように知り合いに言ってある」
「コイツ……」
「さあどうするんだ? 俺を仲間に入れてくれるのか?」
「くっ……。これは俺らの失態。野呂瀬さんには相談できない。俺らで解決するしかねえ。じゃないと俺らが消されちまう。いいだろう。お前も仲間になれ」
「賢い選択だな。俺を仲間にすると、大儲けできるぞ」
「まあお前は頭もキレそうだしな。歓迎してやる」
ノリと呼ばれたこのグループのリーダー格の男が言う。
「じゃあ交渉成立だな」
こうして俺は、架空請求詐欺グループの一員になることができた。ここから潜入調査を開始する。
架空請求詐欺グループの末端は、四人で構成されていた。一人目はリーダー格の男であるノリと呼ばれている男。本名かどうかは分からないが、石田則光というらしい。それから他に男が二人。岩野という小太りの男と目が細いキツネ目の山岸という男だ。この二人は、石田則光の友人で、石田則光に良い金儲けがあると乗せられて、架空請求詐欺グループに入ったらしい。そして前橋彩。唯一の女だ。前橋彩が美人局となり、男を誘惑して実際に男に会ったりする役目をしている。
「ということで、俺らの自己紹介は終わりだ。お前も自己紹介しろ」
「辻林衛。職業はフリーター。ギャンブルと風俗通いで金がなくなって借金がある。手っ取り早く借金を返せる方法がないかと考えていた時に、架空請求詐欺のメールが来たから尾行して仲間に入れてもらおうと思った」
ここまでは、カズとの練習通りだ。なぜ架空請求詐欺をやりたいのかという動機を作っておく。怪しまれないようなエピソードを考えてきた。
「ギャンブルに風俗かよ。お前、クズだな」
「クズだと? お前らには言われたくない」
「あ? なんだと?」
山根がキレる。
「おい、お前。口の利き方には気を付けろよ。いいか、ここでは俺らが先輩なんだ。俺らに仕事を教えてもらう立場だろ?」
石田則光も見るからに怒っている。
「だったら?」
「だったらそこはすみませんだろうが!!」
そう言って、俺は石田則光に顔面を殴られた。
「ぐっ……」
腹が立つがやり返してはいけない。ここでやり返して全員捕まえるのは簡単だが、そんなことをしていては、この先のトカゲの頭は潰せない。ここは我慢だ。
「すみません……」
「ははは。そうだ。分かればいいんだ」
「ふっ、だっせ」
「ビビッてるな。案外ヘタレだな」
岩野と山岸も笑う。前橋彩も面白そうに見ている。
「さてと教育も済んだことだし、仕事だ。お前ら。今日もしっかりとバカな奴らからむしり取れるだけむしり取るぞ」
「おう」
そう言って、それぞれが椅子に座り、電話をかけたり、メールを打ったりして、騙せそうなターゲットを探していく。俺はただボーッと立ち止まっていた。
「あの……俺は何をすれば……?」
「あ? 今忙しいんだよ。んなこと自分で考えろ」
自分で考えろなんて言われても、架空請求詐欺の仕事を警察官である俺ができるはずがない。三人の男達は、電話やらメールやら忙しそうにしている。前橋彩は、キッチンにいた。
「あ、あの……何しているんですか?」
「ご飯作ってるんだよ。料理は私の担当だから。こいつらに任せてもろくな料理ができやしない。だからいつも私が作ってるんだよ」
「大変ですね。あの、俺手伝います」
「あんた料理できるの?」
「あ、はい。一人暮らしをしてますから。一応、自炊くらいは」
「へえ、そうなんだ。偉いね。じゃあ手伝ってよ。今日はカレー作るからさ。あんた野菜切ってくれる?」
「はい」
前橋彩の料理を手伝う。少しずつこいつらの信頼を勝ち取っていき、証拠を押さえる。そして架空請求詐欺グループのリーダーを必ず捕まえてみせる。それまでは我慢だ。
「あんた手際いいね。さすが自炊してるって言うだけのことはあるよ」
「いえ、こんなの。大したことないですよ」
「あいつらに聞かせてやりたいよ。あんたの方が余程役に立つよ」
「彩さん、味付けはどうしますか?辛口のルーで大丈夫ですか?」
「私、中辛。あんたやっぱり気が利くね。あいつらなら自分達の事しか考えない自己中な奴らばかりだからさ」
「せっかくですから美味しく食べて欲しいですからね」
「私、あんたの事気にいっちゃったな。ねえ、夜になったら私の部屋においで。良い事してあげる」
「へ?」
「おいおい、マジかよ。これはラッキースケベな展開だな。ここはお前。はい、喜んでって言えよ」
隣で黙って見ていたカズが初めて口を開ける。どう考えても警戒するべきだと思うんだが、ここで断ってしまっては、せっかく取り入るチャンスが無駄になってしまう。
「はい、喜んで」
「もっと鼻の下伸ばして言えよ」
うるせえ。と心の中で思いつつ、内心ドキドキしていた。
そして夜になった。雑居ビルの中には、キッチンを併設した事務所と部屋が他に三つあり、二つは男部屋。一つは前橋彩専用の女部屋が用意されていた。石田則光に聞いた話によると、他の架空請求詐欺グループの部屋構成も似たような感じになっていて、事務所とキッチンが同じ部屋にあり、他に部屋が三つあるビルを持っているようだ。だが表向きは、文房具を取り扱う店の事務所という設定にしているらしい。
前橋彩の部屋に行った。ドアをノックする。
「誰?」
「辻林です」
「ああ。入りな」
「失礼します」
部屋に入ると、前橋彩が椅子に座っていた。
「うふふ。来たわね。じゃあ脱いでくれる?」
「えっ……?」
「おっ、マジか。マジでラッキースケベな展開じゃないか」
横からカズが楽しそうにはしゃぐ。
「ぬ、脱ぐ? な、なぜですか?」
「決まってるじゃない。良い事してあげるから」
「おい、ラッキーな展開じゃないか。ほら、早く脱げよ。チャンスだろ」
仕方がない。ここは腹をくくるしかない。俺は着ている服を脱いだ。
「へえ。良い体してるんだね。何かスポーツやってたの?」
「が、学生時代に柔道を……」
「そうなんだ。ふーん」
そう言うと、前橋彩は俺の体を手で触ってきた。
「ひゃっ……」
「うふふ。緊張してるの?」
そう言って俺の胸に手を当てて、心臓の鼓動の音を聞かれる。
「い、いや。さ、触られたから……」
「うふふ。たっぷり可愛がってあげる」
そう言うと前橋彩は、俺のパンツの中に手を入れてきた。そして俺の性器を手で握り、ゆっくりと上下に動かし始めた。
「うああっ……ああっ……」
「風俗通いしてたのに、慣れてないの?」
「うっ……ううっ……ああっ……」
「本当は風俗通いしてたなんて嘘じゃないの?」
「ううっ……ああっ……う、嘘じゃ……ない……です……」
「うふふ、ドMなんだね。ねえ、正直に答えて。もっと良い事してあげるから」
そう言って小悪魔な笑顔で見つめられながら、俺は果ててしまいそうになった。しかしここで果ててしまって、欲望に身を任せてしまうと、俺は道を踏み外してしまう。そんな気がした。多くの人達が協力してくれたおかげで、ここまで潜入できたというのに。果ててたまるか。俺は耐えた。
「うっ……ううっ……くあっ……や、やめてくだ……さい……」
「ふーん。耐えるんだ。じゃあもっと激しくしちゃおうかな」
そういって上下に動かすスピードを速めた。
「うああ……ああっ……あっ……ああっ……」
「ねえ。本当の事言っちゃいなよ。本当はあんた何者なの?」
「お……俺は……」
「ほら、言わないとやめてあげないよ」
続けて欲しいという欲望と、やめて欲しいという冷静さの間で俺は葛藤していた。
「おっ、俺は……」
ああ、もうこのまま正直に話してしまうか。俺は警察官で、お前らを捕まえに来たって。そうすればご褒美をもらえる。気持ち良くしてもらえる。いや、ダメだ。そんな誘惑に乗ってたまるか。
「お、俺は……お坊……さん……」
「お坊さん?」
「お坊……さん……になり……たいんだ……。だ、だから……煩悩に……負けるわけには……いかないんだ……」
「じゃあ本当に警察官じゃないの? 私達を捕まえるために来たわけじゃないの?」
そう言って、動かす手を早める。
「うあああっ……ああっ……ううっ……うああっ……。ち、違う……。俺は……お坊さんに……なり……たいっ……フリーターです……」
「本当に?」
「ほ、本当です……」
「ふーん。でも尾行とか妙に上手かったじゃない? 私、全然気づかなかったんだけど。いつも気を付けているんだけどなー。嘘じゃない?」
そう言って、前橋彩は上下に動かす手を止めない。
「あっ……ううっ……。あっ……彩さん……。あなたはっ……こんなことをして……生きてて……楽しいですか?」
「何? お坊さんみたく説教?」
「うっ……ああっ……。本当は……嫌なんじゃないですか? ううっ……。何か……事情があるんじゃ……ないですか?」
「うるさい。あんたには関係ないでしょ」
「困ったことが……ある……なら……警察に相談して……くだっ……さいっ」
「うるさいわね。警察になんて行けるわけないじゃない」
「迷子の……迷子の……子猫ちゃん……。あなたのおうちは……どこですか……?」
「何?耐えすぎて頭おかしくなっちゃった?」
「彩さん……。あなたの本当の……名前は……?」
「質問してるのは私でしょ。あんたの質問には答えない」
「うっ……ああっ……迷子の……迷子の……子猫ちゃん……。あなたのおうちはどこですか……?」
俺はひたすら歌い続けた。歌って気を紛らわせた。何を聞かれても、どんな仕打ちを受けても犬のおまわりさんを歌い続けた。
「……だめね。口を割らないわね」
そう言って動かす手を止めた。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
俺は息が上がっていた。心臓の音がバクバクと音を立てていた。危なかった。もう少しで果ててしまうところだった。欲望を解放してしまうところだった。
「もういいわ。あんた部屋に戻りなさい」
そう言って、俺は部屋に戻らされた。
そして翌日。前橋彩は、何事もなかったかのように接してきた。今朝も前橋彩の作る食事の手伝いをした。
「おい、お前。お前を料理人として雇った訳じゃないんだぞ。仕事教えてやるから仕事しろ」
石田則光が言う。
「仕事ですか?」
「そうだ。電話をかけるんだよ。かけ子だよ。かけ子」
かけ子。架空請求詐欺で実際に電話をかける人間の事を言う。警察官の俺にそれをやれというのか。どうする?
「おいおい、どうするんだよ」
横からカズが口を出してくる。俺は頭をフル回転させながらも、怪しまれないように電話を手に取る。
「ほら、これがカモのリストだ。ここに片っ端から電話をかけろ」
そう言って山岸からリストを渡される。
「わかりました」
そう言って、電話のボタンを押して電話をかける。
「はい、もしもし」
「あ、お婆ちゃん? 俺だよ、俺俺」
「博信かい?」
「そうだよ。博信だよ。実はさ、仕事で使う会社のお金を盗まれちゃってさ。すぐにお金が必要なんだけど、ちょっと立て替えてもらえないかな?」
「まあ、そりゃ大変だね。いくら必要なんだい?」
「いくら用意できる?」
「二百万円くらいならなんとかなるけど」
「じゃあ二百万円なんとか頼むよ。これからさ、今から言う銀行口座に振り込んでよ」
「わかったよ」
「うん。じゃあよろしく」
電話を切った。
「お、やるじゃねえか」
「架空請求だけじゃなく、オレオレ詐欺もやるんですね」
「当たり前だ。色々やる。こんなのは数打ち当たれだ」
「すみません。俺、ちょっとトイレへ……」
「おう。すぐ戻ってこいよ。仕事は沢山あるんだからな」
石田則光との会話を手短に終わらせ、俺はトイレへと行って鍵をかけた。
「ふう。やっと落ち着いた」
「トイレはお前の安息の地だもんな。それでどうする気だ? 警察官がオレオレ詐欺しちゃっていいのかよ」
「そんなの良くないに決まっているだろう。手を打つさ」
俺はポケットに入れていたスマホから電話をかけた。
「もしもし大泉さん。至急、今から言う住所に警察官を向かわせてください。オレオレ詐欺です。お金を渡さないようにお婆さんに伝えて下さい」
俺は大泉さんに連絡を取った。大泉さんは、すぐに現場に警察官を手配して、お婆さんがお金を手渡すのを防いだ。
「おい、どうなってんだ。いつまで経っても、婆さんから金振り込まれねえぞ」
「もしかして詐欺って気づいたのかも」
「くそー、惜しかったな。仕方ねえ。次だ、次。どんどん電話かけろ」
こうして俺は、一件のオレオレ詐欺を防いだ。俺は一件電話をかけては、トイレに向かって警察官を呼ぶように大泉さんに知らせてというのを繰り返した。
「おい、辻林」
「な、何ですか?」
「お前、一件一件丁寧に長い時間かけて電話するのは悪くない。だがな、どうして一件終わるとすぐにトイレ行くんだ」
やはりそう言われるか。
「えっと……下痢なんです」
「何だと?」
「俺、ずっと原因不明の下痢に悩まされているんです」
「何か悪いものでも食ったのか?」
「そういう体質なんです。いつも腹を下していて」
「ふざけるな。そんな馬鹿な話あるか。お前、まさか自分が詐欺師になって悪人になるのが嫌で、トイレで警察に電話かけたりしてるんじゃないだろうな?」
「してません」
「本当か? ならスマホを出せ」
スマホはいつ調べられても良いように、毎回発着信の履歴は消していた。電話帳の登録者名も名前だけで、警察関係者だと分からないようにしておいた。
「……ふん。どうやら電話は、かけていないようだな」
「下痢で必死なんです。電話かけてる場合じゃないですよ」
「じゃあなんで、お前がかけた番号の騙せそうな奴は、誰一人引っかからないんだよ? ああ?」
「知りませんよ」
「知りませんじゃねえだろうが。お前を雇うのもタダじゃねえんだよ。しっかりと給料分働け」
「すみません」
「すみませんじゃねえよ、無能が」
「でも本当に下痢で……」
苦しい言い訳だとは、思った。だがトイレに頻繁に籠る理由は、常に下痢という以外思いつかなかった。それから一件電話をかけては、トイレに行って大泉さんに電話をかけて警察官を呼んでを繰り返して、なんとか一日を乗り切った。
その調子で乗り切ること、一週間。石田則光は、ついに堪忍袋の緒が切れた。
「……おい、お前。どういうことだよ。あれだけ長い時間、丁寧に電話かけておいて、一件も回収できませんでしたって。なあ、辻林よ。もう一週間だぞ」
「すみません」
「すみませんじゃねえんだよ。お前な、偉そうに俺に任せておけとか言っておいて、何ひとつできねえじゃねえか。てめぇはトイレ行って下痢してるだけじゃねえか。どうなってんだよ。てめぇ、本当にやる気あるのか?」
「あ、あります」
「あるならどうしてできないんだよ? あ?」
「俺が至らないせいです……」
「だったらできるように努力しろよ。どうやったらできるようになるか考えろよ。そんなもん、仕事するなら常識だろ」
「はい。すみません」
「結果出せない奴が給料もらえると思ってるのか?」
「うっ……ううっ……」
情けない。なんでこんなクズに責められなければならないんだ。しかも仕事できないなら給料出せないとか、正論を言われて悔しい。
「おい、てめえ。泣いてんじゃねえよ」
「泣いてませんよ」
「じゃあなんだよ、その涙はよ」
情けなくて泣いてしまったが、泣いてないと強がった。
「ったく、しょうがねえ奴だな。泣くほど悔しいなら努力しろよ」
「はい……」
翌日。俺は変わらず一件の被害も出さないように、トイレに行って電話してを繰り返した。流石に限界だった。不審に思った永田則光が、トイレのドアの前に立ち、様子を見に来る気配がした。
「おい、今なんかトイレから話し声が聞こえたような気がしたが、お前やっぱり電話してるだろ」
「……してません」
「じゃあなんだよ、今の声は」
「……尻が痛いんです」
「ああ? 尻が痛いだと」
「俺、切れ痔なんです。座ってると辛いんですよ。最近では、もう立ってるだけでも痛くて」
「そりゃお前……。毎日、こんなにトイレに行ってたらな」
「じゃあなんで話し声が聞こえるんだ」
「俺、トイレで独り言を言う癖があるんです」
「何だよ、気持ちの悪い奴だな。ブツブツ言いながらクソしてんじゃねえよ」
もう俺のキャラクターは、最底辺だった。
「早く済ませて出て来いよ。今日こそ一件電話取らないと、お前クビだからな」
「はい……」
石田則光がトイレから離れていく気配がした。
「おいおい、どうするんだよ。今日詐欺しなきゃクビなんだろ? まあ一件くらい詐欺しちゃってもいいんじゃないか? 大きな闇を捕まえる為の小さな犠牲だ」
トイレの中で、カズが提案してくる。
「だめだ。警察官が詐欺なんてできない。まだ手はある」
「どうするんだよ」
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