鍵盤の海

 彼女のほっそりとした指が、鍵盤の上を軽やかに踊っている。白鍵は水、黒鍵は魚、一曲奏でるごとに部屋の中は海になり、川になり、湖になり、そしてまた海になる。他の人の演奏を見てもこうはならない。首を傾げる僕に、彼女は穏やかに笑った。「だってこうすれば、あなたも音楽が聴けるでしょう」

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幻想葉書〜あなたの手のひらに泡沫の夢を〜 黒種草 @niger_kurotane

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