溶ける怪

 夜半、家路を辿っていると、ペタペタと蛙のような足音がついてくる事に気が付いた。不気味な音に思わず駆け足になった瞬間、しかしそれはふつりと途切れる。振り返る。少し後ろに広がる濁った水溜りが、街灯に白々しく照らされている。──どうやらお化けも、夏の暑さには氷のように溶けるらしい。

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