猫の訪い

 店の扉を開けると、すぐ脇の壁際に一匹の黒猫が座っていた。滑らかな夜の毛皮を持つ美しい猫だった。この辺りではついぞ見たことがない顔だったので、「お前はどこから来たのか」と問いかけると、猫は遥か高空を降り仰ぐ。白鯨がゆったりと青空を横切っていく。私は一つ頷いて、彼を店の中に招いた。

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