幻想葉書〜あなたの手のひらに泡沫の夢を〜

黒種草

01〜10話

雨の飴

 降り続く雨に手を伸ばすと、指を濡らした雫は瞬く間に薄水色の水晶へと変じた。僕は手の平に転がった結晶を口に放り込む。ほんの少し塩辛い。この雫は、きっと誰かの涙だったに違いない。僕がそう言うと、彼女は道端の椿の雫を掬い上げて口に運ぶ。甘い飴を食べるなら花の雫が一番よと、彼女は笑った。

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