或る日のイケメン!

崔 梨遙(再)

1話完結:800字

 あれは……いつのことだったか? もう10年以上も前のお話。



 弾き語りをしていたら、女性2人組から話しかけられた。僕より幾つか年下だった。美人でスタイルの良い亜希と、美人ではないが人の良さが顔に表れて好感の持てる麻紀。話が盛り上がったら、


「合コンのセッティングをしてほしい」


と頼まれた。弾き語りのお兄ちゃんに合コンのセッティングを頼むか? 聞けば、2人とも某大企業の社員だった。結局、僕は押しに負けて引き受けてしまった。


 ということで、僕が某大企業にいた時のイケメン先輩を呼び出すことが出来た。もう1人、イケメンを呼び出したかったが、その時は1人しか呼び出せなかった。


 それで、女性陣に聞いた。


「イケメン1人でもええかな?」


OKということだったので、亜希、麻紀、先輩、僕の4人で合コンを実施した。その場は盛り上がった。亜希も麻紀も、先輩がイケメン(しかも大企業の社員)だったので上機嫌だった。


 で、先輩は亜希とデートすることになった。亜希からは、


「崔さん、私、デートにいってきます。ありがとうございました」


とメールがあった。麻紀に申し訳無いので、改めて麻紀に1人紹介しようと思って麻紀に電話したら着信拒否にされていた。


「ああ、自分が上手くいかなかったから僕と縁を切ったのね~」


と思った。せっかく1人紹介しようと思ったのに。


 そして、亜希は先輩とデートはしたが、恋人なるまでには至らなかったらしい。ということで、亜希にもう1人くらい紹介しようかなぁと思って亜希に電話したら亜希にも着信拒否された。亜希も麻紀も、メールを送っても拒否になっていた。


「ああ、世の中ってこういうものなのか~」



 と思った。合コンのセッティングをするなどした僕の頑張りは認めてくれないのね。なんか、寂しかった。僕が麻紀と付き合えば良かったのだと思われるかもしれないが、その時、僕には彼女がいたから付き合えなかったのだ。



 結果を出さないと認めて貰えないということを痛感した。みんな、薄情だ。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

或る日のイケメン! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る