第43話 異世界人生の大望

 父の領地にある喫茶店で三人の王子から爆弾発言を受けた後。


 三人には僕の【ネット通販】を使って贈り物をさせてもらおう。


 控えていた新聞社がやって来てその光景を写真に収めていた。


 三男でまだ幼いルッツにゲーム機を贈ると、愛くるしい笑顔でお礼を言う。


「ありがとうございますオーウェン様」

「どういたしましてルッツ王子」


 ルッツ王子と一枚目の写真。

 このことで僕が趣味で出しているゲーム屋の売り上げが大幅に増加する一枚だ。


 ラスカル様には紅茶パーティーセットを贈ろう。

 鞄とセットの、いつでもどこでも開ける茶会という名目のアウトドアグッズだ。


「ありがとうオーウェン殿」


 どういたしまして、二枚目の写真もゲットだぜ。


 問題は赤王子のイーグル様だが、何をご所望だろう?


「俺は最新鋭のゲーム機が欲しいな」

「ええと、だとするとこれなんかどうですか?」


 イーグル王子にチョイスしたのは最新鋭のゲーム機、だけではなく。

 最新鋭のゲーム機で遊んで暮らせることのできる別荘だった。


 この領地に王子の別荘をおいておけば、父子共に知名度が上がる。

 悪い意味ではなく、良い意味での知名度ね?


 別荘用の立地もあることにはある。

 場所はこの喫茶店から少し離れた山林道の一角などどうだろう。


 お値段5000万ポイントと、金貨五千枚相当で安くはないが。

 こういった場面ではっきするのが月に一枚ランダムで発行されるクーポンだ。


 件の最新鋭の別荘を購入し、山林道の一角に出すと。

 三人の王子達は驚いていた。


 末っ子のルッツ王子は「しゅごい」と度肝を抜かし。

 イーグル王子は高笑いしている。


「噂にたがわぬユニークスキルだなオーウェン殿、正直羨ましい」


 お褒めにあずかり誠光栄に存じます。


 一先ず王子たちはこの別荘に泊まっていただく運びになった。

 アルベルトに三人の警護を任せ。


 僕の警護には緊急的にハクレンを呼集した。

 ハクレンにメールを送ると転移魔法を使い、すぐにやって来る。


「私がいなくて寂しかった?」

「何を言ってるんですか、まずは父に報告しにいくのでよろしくお願いします」

「……つれないね」


 ◇ ◇ ◇


 父が待つ実家に戻り、三人のお悩みを打ち明けた。

 そしたら父は貴族ならではの派閥問題について話し始める。


「三人の王子の後援はそれぞれ違った派閥になっている、これは一大事だぞ」

「具体的にお聞きしたいのですが、どの派閥が一番まともですか」


 たずねると、父はにっこりと笑う。

 父が笑う時は悪だくみ的な意思を秘めているので要注意だ。


「無論、私も所属している大公爵のパウロ様の派閥がいちばんだとも」

「そう言えば今までお父さんの夢についてお聞きしたことがありませんでしたね」

「私の夢? 現状はかつての想像の斜め上の結果が出ているからな」


 斜め上、のねぇ?


「可能であれば私やお母さんの跡をお前に継いで欲しい、それ以上は望まない」


 僕はこの時――あることを秘めていた。


 三人の王子がそろって王位継承権を放棄したいとの話から膨らんだ計画だ。


 僕を始めとする冒険者ギルドのさらなる発展に必要なことでもある。


 その計画とは――僕が納める冒険者の国をつくる、といったもので。


 僕の異世界人生の大きな目標の一つでもあった。




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