第12話 メゾン・ド・ヒーロー

 僕のユニークスキルは進化し、新たにプレミアモードなるものが付いた。

 その影響で30年ローンの家の隣に東京で見るようなビルが建ってしまった。


 どうあがいても両親は驚くし、僕が原因だと突き止めるだろうし。


 その前にビルの中を確認しておくか。


 師匠、サクレン、ユーリの四人で入口の自動ドアを通った。

 師匠は勝手に開いた、すげぇとリアクションがいい。


 自動ドアを通り中を確認すると一見、マンションだった。


 十二階建てで、一階はロビーとなっているが他の階は住宅のような造りだ。

 エアコン、冷蔵庫、お風呂、水洗トイレ、床暖房、洗濯機、キッチンが完備してあった。


 拡張された倉庫機能はマンションの地下にそなわっていて。

 地下へは内部のエレベーター越しか自動ドアの横にある大きな搬入口伝えでいける。


 あらかたマンションの構造を確認した後、入口へと戻った。


 建物の看板には『メゾン・ド・ヒーロー』と書かれてあり、洒落が利いていて。


 急に背後から父さんの声がした。


「父さんな、父から自分の領地を任された時、こんなことになるなんて夢にも思ってなかった」


「僕もこうなるとは思ってなかったです」


「この領地はもうオーウェンに任せようか?」


「滅相もありません、僕にはまだ領地管理なんて無理です」


「だよなー」


 二人でマンションを見上げて、どないしよと言った空気をそれぞれ出していた。

 そこに母さんも合流する。


「使い道がないのなら、私のギルドでこの建物使おうかな」


「いいんじゃないですか」


「私のギルドももうオーウェンに任せちゃう?」


「気が早いですよ、僕に母さんの代わりは務まりません」


 両親は僕のユニークスキルに圧倒されていたようだった。


 ◇ ◇ ◇


 さて、今回建ってしまったマンションは母さんのギルメンが入居することになった。

 僕の特権でユーリの一家もマンションに引っ越してもらった。


 ついでに師匠や兄姉弟子の二人も同室だが引っ越して頂いた。


 マンションに最初に入居したのは獣人のニーナで。


「こんな贅沢な暮らし覚えたら抜け出せなくなるなー」


 喜々として日本の暮らしの沼を物語っていた。

 母さんがニーナに手のひらを差し出して。


「賃貸料は金貨10枚ね?」

「なら賃金をあげてね?」


 などの応酬をしていた。

 賃貸料金を貰うなんて、母さんは発想からして商人だ。


 その応酬を目にしつつログインしてネット通販を開く。

 プレミアモードに入ってから購入できる品が増えていた。


 例えば住宅、一棟にあたり最低でも2000万ポイントは要る。

 スキルが進化したのは嬉しくはあるが、しばらくは様子見したかった。


 あと地味に嬉しい機能も追加されていた。

 それは購入した商品のお届け先を指定できる機能だ。


 プレミアモードに加入したことで僕は【ネット通販】のたくさんの恩恵を受け始めた。


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