160.仲間アピール

「ヨーキか」


上位チャット:そうなりましたね

上位チャット:幼女吊りか

上位チャット:エルフに自信ニキ社長の証言を信用した格好だな

上位チャット:まあ、証言が具体的だったから順当?


 俺     →ヨーキ

 キリシたん →ヨーキ

 炎太郎   →ヨーキ

 占、ミソラ →ヨーキ

 占、スタッフ→自信ニキ

 自信ニキ  →ヨーキ

 ヨーキ   →自信ニキ


 投票は、自称占い師両名と容疑者両名がそれぞれ互いに投じ、残りの俺・キリシたん・炎太郎が揃ってヨーキに投じたことで、ヨーキに決定した。


「ワシは無実なのじゃー。ぬわぁーなのじゃー」


上位チャット:さようなら幼女フォーエバー幼女

上位チャット:俺たちは晩ごはんくらいまで君の勇姿を忘れない

上位チャット:短い

上位チャット:で、この後はどうなるんだ?


「はい、解説でーす。投票フェーズが終わったら、二日目の探索フェーズに入ります。それぞれの個室からスタートなので、人狼の出待ちで終わるってことはないですよ」


上位チャット:部屋割当はランダムかな?

上位チャット:案内板によると、完全ランダムじゃなくてそこそこ距離が開いてるらしい


「わからないことがあれば、ゲーム中に聞く感じでお願いしまーす。準備はいいですかー?」

「おう」

「では、再開っ!」


上位チャット:ちゃんとお返事するエルフさん

上位チャット:えらい

上位チャット:さて、霊媒結果はどうか?


        ◇◆◇


『CO霊媒師よ。あたしから霊媒結果を報告するわ』

「お」


 二日目開始から七分が過ぎたあたり。俺が食料庫でアイテムを集めていると、伝声管で連絡が来た。


上位チャット:キリシたんだ!

上位チャット:霊媒師らしいこと言ってー

上位チャット:「あなたは悪霊に取り憑かれています。ですが、この壺を買うと……今なら、なんともう一個付いてくる!」

上位チャット:悪霊を解決しろ

上位チャット:草


酒呑幼子しゅてんようじ先輩は白。よって、ドレミソラ先輩はニセ占い師。リク先輩……と呼んでいいのかしら? リク先輩に黒出しされた社長は人狼よ。気を付けなさい』


上位チャット:げ、エルフに自信ニキ社長の証言、嘘かよ!

上位チャット:まんまと騙されたわ

上位チャット:というか、逆神様はニセ占い師なのに黒出ししたのか

上位チャット:度胸あるなぁ

上位チャット:エルフさん、最初に村人って言ってたけど本当に村人なのかな?

上位チャット:村人だとすると、大分役職が絞れて……


「よう、エルフさん。会いたかったぜ」

「炎太郎」


 チャット欄がまとまらぬうちに、炎太郎とまた遭遇した。


上位チャット:まずーい!

上位チャット:エルフさん逃げてぇええええ!

上位チャット:え、どうして?

上位チャット:死んだ幼女とキョーカちゃんが村人だと仮定すると、残りの村人はエルフさんしかいないの!

上位チャット:それって要するにつまりもしかして


「炎太郎は人狼?」

「いかにも、俺様は人狼だったんだぜ! ガーッハハハハ!」

「そうか」

「げえっ!? し、しまった!」


 先の予想通りなのか、食料庫は食料アイテムがたくさん落ちていた。それこそ、積み上げられるほどに。

 だから、俺はその食料アイテム――が入っていたアイテムボックスを、炎太郎との間に崩したのだ。


上位チャット:おお!

上位チャット:うまい!

上位チャット:余裕こいてエルフさんを倒し損ねた人狼がいると聞いてw


 俺は炎太郎に背を向けて駆け出した。別の出入り口から食料庫を飛び出し、炎太郎とは反対側に向けて走る走る。

 長い廊下には、船室はあれど分かれ道がない。だが、階段までたどり着けば、道はたくさんある。炎太郎をいて逃げおおせるはず――


「キリシたん」


 廊下にキリシたんが立っていた。


上位チャット:今、エルフさん追われてるんです!

上位チャット:炎太郎がクマなんです! いや違った人狼なんです!

上位チャット:だから、キリシたんも逃げてー!

上位チャット:お

上位チャット:ん

上位チャット:え?

上位チャット:エルフさん?

上位チャット:なんで、立ち止まったの?


「誰だ?」

「……ふむ。存外、騙せないものだね」

「エルフに自信ニキ」


 キリシたんのアバターから発せられたのはエルフに自信ニキの声だった。


上位チャット:人狼社長がいるぅーーーー

上位チャット:アバター交換アイテムかこれ!

上位チャット:はさまれたぁああああ

上位チャット:横! 横に逃げるんだ!


「逃げ場がない」


 俺は横手の船室に転がり込んだ。が、そこは出入り口がひとつしかない狭い部屋で、アイテムさえもなかった。


上位チャット:あああああ

上位チャット:詰んだぁああああ

上位チャット:これはもう、どうにもならんね


「エルフさん、もしよければ、なぜ私が大名おおなキリシではないと気付いたか教えてもらえないかね?」

「アイテムも取らずに俺を待っていたから」

「なるほど……。合流を急いだにしても不自然であったか」


 ここはまだ食料庫にほど近い。廊下であろうとアイテムは多数散らばっている。


「エルフに自信ニキ、俺もひとつ聞いていいか?」

「何かね?」

「ヨーキに段差で攻撃避けられたのは、本当?」

「もちろん、嘘だ」


上位チャット:一応、低いところに逃げ込むエルフさん

上位チャット:助からないと思います


「がおー」


上位チャット:一応、仲間アピールするエルフさん

上位チャット:助からないと思います


 逃げる手もなく、俺はエルフに自信ニキにがぶりといかれてしまったのだった。


【エルフさん視聴者視点】

エルフ      →死亡

霊、キリシたん  →序盤に炎太郎目撃と証言

炎太郎      →自称人狼

偽占、ミソラ   →●幼女

占、リク     →●社長

キョーカ     →死亡

人狼、社長

幼女       →死亡

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