157.炎太郎と接触

「炎太郎」

「おう、エルフさんじゃねえか」


 アイテムを探して船の最下層まで降りたところで、俺は炎太郎と遭遇した。


上位チャット:初遭遇

上位チャット:【朗報】ヒゲ生きてた

上位チャット:り残しかな?


「なんだか、また俺様がヒゲの付属品扱いされてる気がするんだが」


上位チャット:正解!

上位チャット:まあ、今はグラサンクマなんですが

上位チャット:対戦中だから炎太郎にはエルフチャット欄が見えないのが残念


「炎太郎は人狼か?」

「違うぜ。そういう噂でもあったのか?」

「ない」


上位チャット:人間を疑うエルフ

上位チャット:エルフらしい!

上位チャット:人間(クマ)じゃなければなぁ

上位チャット:エルフさんはエルフらしくなったというのに、炎太郎は……


「なんだか、また俺様が無茶苦茶言われてる気がするんだが!?」

「炎太郎はどっちから来たんだ?」

「ん? あー……俺様は船の中央部の階段から最下層まで降りて、そこから船尾を目指してここまで来たな」

「じゃあ、最下層はアイテムないのか?」

「あ、いや、俺様は船の構造を把握するのを優先して適当にしかアイテム取ってねぇから、結構残ってると思うぜ」


上位チャット:どう思います、奥様?

上位チャット:取って付けたような理由ザマスね

上位チャット:誰かを殺してたんじゃないザマスの?

上位チャット:怪しいザマス、怪しいザマス

上位チャット:お前らの中の奥様像が一番怪しいザマス


「炎太郎は人狼か?」

「俺様は違うって言わなかったか?」

「炎太郎はクマ」

「違うからな!?」


上位チャット:大声を張り上げる炎太郎……これは怪しいですよ!

上位チャット:ツッコミなんだよなぁ

上位チャット:でも、これ以上は水掛け論か

上位チャット:証拠としてはそこまでは強くないもんね


「エルフさんは怪しいやつ見てないか?」

「炎太郎」

「俺様以外で頼む」


上位チャット:草


「まだ炎太郎以外と会ってない」

「俺様もだ」


上位チャット:情報は出尽くしたかな?

上位チャット:少ないな

上位チャット:初日だしこんなもんでしょ

上位チャット:エルフさん、これからどうするの?


「炎太郎の取りこぼしを拾う」

「あー、エルフさん。アイテム集めも大事だが、人を探すのも大事だぜ?」

「そうなのか?」

「人に会わなけりゃ得られない情報は多いんだぜ」


上位チャット:それは確かにそう

上位チャット:アイテムを集めるゲームではあるけれど、それ以上に人狼を見つけるゲームだからなぁ

上位チャット:という情報をエルフさんに与えることによって、自らを村人陣営に見せようとしている人狼陣営説

上位チャット:そういう考え方もあるのか


「むぅ」


上位チャット:おくち尖らせエルフ

上位チャット:勝手の違いに戸惑ってらっしゃる

上位チャット:そういえば、効率プレイが最適解じゃないゲームって初めてか?

上位チャット:『落ちりて』では駆け引きもあったよ

上位チャット:最終的に「全員掛かってこい」したけどなw


「俺以外、全員倒せば勝ち?」


上位チャット:いかん、「全員掛かってこい」したがってるぞ

上位チャット:村人陣営には倒す方法がないです

上位チャット:できないんだってば


「《鉄製ダンボール》の人」

「え? あ、はーい。エルフさん、何ですか?」

「俺、人狼やる」

「やると言われましても」


上位チャット:とうとうルールを変え始めたw

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る