127.南国トロピカル

「じゃあ、またな」


上位チャット:待てい!

上位チャット:終わらせぬぞ!

上位チャット:今日という今日はその狼藉ろうぜき、止めてみせようぞ!

上位チャット:エルフが逃げるぞ! 出合え出合え!

上位チャット:時代劇かな?

上位チャット:ゑるふ


「待ってもいいが、戻ってくるまでやることないぞ?」


上位チャット:そこはエルフに自信ニキ社長と遊ぶとか

上位チャット:事務所って言ってもゲームのひとつやふたつあるだろうし


「遊ぶか?」

「魅力的な提案だが、あいにくと私は仕事が詰まっていて自由にならない」


上位チャット:エルフに自信ニキが勝ったら、エルフさんのお耳を好きにしていいぞ!

上位チャット:配信者を売る視聴者の鑑

上位チャット:それは鑑なのか?


「瀬貝くん」

「無理です」


上位チャット:手のひらを返すエルフに自信ニキ

上位チャット:そして、即NG出す秘書

上位チャット:エルフさんが触っていいって言った時は耐えたのにw

上位チャット:触る以外に何をしたいのか気になる

上位チャット:赤上げて白上げて、赤下げないで白上げない

上位チャット:やってみたいw


「しかし、そこまで急ぎの仕事は」

「至急、《鉄製ダンボール》の《2.5D》コラボ案件について、社長が担当されているタレント全員に参加の可否を確かめてください」

「……何とかならないかね?」

「なりません。仮にフェス前の撮影を考えるならば、一時間でも惜しいですから」


上位チャット:【悲報】エルフに自信ニキ、ここでお別れ宣告

上位チャット:ていうか、フェス前ってかなり強行軍では?

上位チャット:ちゃんとセッティングできるの?


「問題ありません。箱の仕事は『所属タレントの環境を整えること』ですので」

「……瀬貝くん」


上位チャット:めちゃんこ苦い顔してて草

上位チャット:エルフに自信ニキ社長、自分の言葉がブーメランしてぶっ刺さるの巻

上位チャット:勝負あったな


「エルフさん、済まないが私は仕事で本当にままならないようだ」

「ん。お疲れ」

「ありがとう。収録ブースにゲーム機があるから、社内の撮影も含めて好きにしてくれて構わない」

「それでは失礼します」


 社長と秘書は挨拶もそこそこに足早に応接室を出ていった。


上位チャット:監視役がいなくなったエルフ

上位チャット:つまり、これは!

上位チャット:2.5D社内探検、はーじまーるよー

上位チャット:エルフさんと駄弁るだけでもよかったけど、V事務所がどうなってるかは興味ある

上位チャット:行っちゃう? 行っちゃう?


「探検するぞ」


上位チャット:いえー

上位チャット:はい、隊長

上位チャット:行くぞ行くぞ行くぞ


「突撃だー」


 手近な部屋をオープン!


上位チャット:トイレやんけ!


 部屋をオープン!


上位チャット:シャワー室!


 オープン!


上位チャット:台所


「なんで?」


上位チャット:水回りは集中するものだから

上位チャット:言いながら、冷蔵庫開けるの草

上位チャット:お、逆神様のコラボ缶たくさん入ってるじゃん

上位チャット:何味?


「南国トロピカル味噌汁味」


上位チャット:残るわけだw

上位チャット:逆神様のスタッフが監修したギリギリ飲み物だぞ

上位チャット:推しと同じ体験をしたいと言ったけど、逆神様コラボ缶のハズレ味は俺も冷蔵庫で眠り続けてます

上位チャット:お、持っていくの?


「あとで飲んでみたい」


上位チャット:チャレンジャーエルフ

上位チャット:この精神は見習いたい

上位チャット:俺のハズレ缶をあげるよ!

上位チャット:俺のでもいいぞ!

上位チャット:俺のを飲め!

上位チャット:逆神様推しから罰ゲームありの遊びに誘われたら気を付けろ! やつらはいつでも消費する機会を伺っている!

上位チャット:勧誘の手口かな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る