84.エルフ対セイレーン
「満点」
上位チャット:ぉおおおおお!
上位チャット:満点ですよ! 満点!
上位チャット:すげぇ、エルフさんに続いてキョーカちゃんまで!
上位チャット:出るもんなんだなぁ……
上位チャット:歌に感動はしたけど、点数で出るとビビる
上位チャット:これで、エルフさんは満点出さないと負けかぁ、厳しいな
上位チャット:二度あることは三度ある……気がする!
二回戦後攻。キョーカの歌は九八.六を記録。二回戦での勝利を決める。
そして、最終戦先攻。キョーカは満点を叩き出したのだった。
「な、キョーカは歌、上手だろ?」
上位チャット:自慢気エルフさん可愛い
上位チャット:くそっ、耳ピコピコさせやがって……最高です!
上位チャット:はーーーーー可愛いーーーーー
上位チャット:いかん! お耳大好き民に過剰なお耳を与えてはいかんぞ!
上位チャット:歌の話をしろw
上位チャット:すんげぇ上手でした
上位チャット:胸がキュッとしました
上位チャット:思わず涙出ました
上位チャット:まさかと思ったけど、どうやら本当にキョーカちゃんがセイレーンらしいな……
上位チャット:満点出なかった二回戦はまだしも、最終戦は出されちゃったもんなぁ
上位チャット:ちなみに、エルフさん、今の歌の真似は……?
「無理」
上位チャット:ですよねー
上位チャット:『これを愛と呼ぶのなら』も高低目いっぱい使う曲だからなー
上位チャット:セイレーンが作った曲は半分くらいそんな感じだよね
「キョーカが作ったのか?」
「ただいま、お兄ちゃ……え? 何を?」
上位チャット:エルフさんw
上位チャット:やっぱり、身内にも通じないんだなw
上位チャット:歌った曲の話ですよー
「あ、うん。『英雄散華』も『これを愛と呼ぶのなら』も、わたしが作ったよ」
「キョーカは凄いな」
「ありがとう。でも、凄いのは編曲家さんだよ」
「そうなのか?」
「わたしが作ったのはメロディーだけだから。伴奏なしで歌っただけのものを曲にしてくれたのは全部編曲家さんだもの」
上位チャット:へぇー、メロディーだけでも作曲者になれるんだ
上位チャット:よくあることだよ
上位チャット:知らなかった
「締切日に『英雄散華』の歌詞が決まってなかった部分は、鼻歌で送ったりもしたなぁ……。あはは」
上位チャット:なにそれめっちゃ聞きたい
上位チャット:ガタッ!
上位チャット:はーーーーー可愛いーーーーーー
上位チャット:いかん! 鼻歌大好き民に過剰な鼻歌を与えてはいかんぞ!
上位チャット:まだ与えてないです
「ん。決めた」
上位チャット:え?
上位チャット:何を?
「歌う曲」
上位チャット:おおっ
上位チャット:決まったのか
上位チャット:童謡とかCMソングとか?
「そういうのは二番以降の正しい歌い方を知らない」
上位チャット:あー
上位チャット:七〇点八〇点出せって話じゃないもんな
上位チャット:歌詞も怪しい曲で満点には挑みたくねぇわw
上位チャット:じゃあ、何を歌うの?
「キョーカの曲」
「えっ?」
上位チャット:……いや、歌えないんじゃないの?
上位チャット:音出ないんでしょ?
上位チャット:何か入力してる
上位チャット:作曲家検索でキョーカちゃん選んだみたい
上位チャット:マジでセイレーンの曲行くの?
「よし、これにしよう」
並んだ
上位チャット:!
上位チャット:違うイントロだ!
上位チャット:英雄散華でもこれを愛と呼ぶのならでもないぞ!
上位チャット:何だこれ!?
上位チャット:えっと、名前はあーえーうー
上位チャット:なーにーぬーねーのー
上位チャット:出てこないなら無理に喋んなw
「『明日を歩こう』……」
キョーカが呆然と曲名を呟いた。
「ん。覚えのある歌詞だな。これなら行ける」
イントロ中。表示されたのは、俺の知っている歌詞そのものだった。
「……あなたは、どうして、この曲が歌える音域の曲だってわかったの?」
恐れるような目を向けるキョーカに、俺は軽く答えてやる。
「――キョーカがこの曲作ったころは、まだそんなに低い音出せなかっただろ?」
「本当に、お兄ちゃん……なの?」
「キョーカ」
「は、はいっ!」
「
そう笑って、俺はステージの真ん中でマイクを握り締めた。
【お知らせ】
本日7月22日は作中1話目の開始日です。エルフさんの日です。せっかくなので☆ください。以上です。
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