60.胃は受け付けない


「なにゆえ」


上位チャット:自明なんだよなぁ

上位チャット:正座で反省させられるエルフさん

上位チャット:胸に下がってるホワイトボード読んでみ?


「『もう三メートル以上の高さから飛び降りません。手すりでの滑走も含みます』」


上位チャット:この程度の行動制限で、どうにかなるだろうか?

上位チャット:ならない気がする

上位チャット:でも、危ないことは危ないって教えないと……

上位チャット:お父さんかな?


「なにゆえ」


上位チャット:ちょっと左向いてみようか

上位チャット:左見ろ


「どうしましたか? 今回のご褒美はミソラが大好きなカツ丼ですよ?」

「うっぷ……無理です……」

「鹿児島の最上級の黒豚の中から、さらに今日のために選りすぐった最高に美味しい豚さんですよ?」

「ううぅ……胃が受け付けません……」

「味見をしましたけれど、脂の味が違いますね。噛み締める前に、舌先が肉の断面に触れただけで旨味を感じました。絶品の謳い文句に偽りなしです」

「わぁああん、リクくんがいじめるぅー!」


上位チャット:こんな悲劇を生み出してしまうんですよ!

上位チャット:喜劇では?

上位チャット:食べれないけど食べたくあるだけ、逆神様も強いな

上位チャット:十分も休めば、ぱくぱく食べてそうw


「気を付ける」


上位チャット:教   育   成   功

上位チャット:俺たちの努力が実を結んだ瞬間である

上位チャット:ガハハ、当然だな

上位チャット:ま、余裕でした

上位チャット:こんなんでいいのか?


「ワーッハハハ! ちびっ子の分もできたぞ! 反省できたのなら、たんと食うがいい!」

「いただきます」

「ワーッハハハ! うむ! 礼儀正しい子は大好きである!」


上位チャット:本当に、エルフさんは美味しそうに食べるなぁ

上位チャット:逆神様見てる

上位チャット:めっちゃ見てる

上位チャット:あっ

上位チャット:垂れた

上位チャット:胃は受け付けないけど、よだれは出るんだなw

上位チャット:エルフさん、お味は?


「かなりうまい」


上位チャット:!

上位チャット:いつもとちょっと違う!

上位チャット:え、これめっちゃうまいのでは?

上位チャット:やばい、気になる!

上位チャット:ちょっと待って、通販ある?

上位チャット:通販ページあった!

上位チャット:とりあえず、五食分注文した

上位チャット:試しに、十食だけ

上位チャット:もう売り切れになってんだけど

上位チャット:はえーよ

上位チャット:鹿児島のって言ったよな? 仕入元を探すぞ!


「チャット速いな」


上位チャット:うまいもの食いたいのは人類共通の欲求

上位チャット:あと、エルフさんが好きなものを感じてみたいってのもある

上位チャット:それな

上位チャット:では、こちらのカートで手すりを滑ってください

上位チャット:人間に無理なものは感じたくない

上位チャット:それな


「ワーッハハハ! ちびっ子よ、おかわりはいかがかね!」

「ん」

「ワーッハハハ! 少し待つがいい! すぐ持ってこよう!」


上位チャット:いいなぁ

上位チャット:俺も旅行してうまいもん食いたい

上位チャット:どうせ、旅行してもエルフさん見てる

上位チャット:この数日で、風呂までスマホを持ち歩く癖が付いた

上位チャット:俺、トイレまで持ってくようになった

上位チャット:これが、エルフが生活に浸透した結果です!


「んまい」

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