57.→はい
「ワーッハハハ! ちびっ子よ! ……ちょっと参考までに聞きたいのだが、自動車やバイクの運転経験はあるか?」
「ないぞ」
「……あと、発車位置にこだわりはあるか?」
「ないぞ」
「よし!」
上位チャット:凄い露骨なポジションで始まりそうw
上位チャット:レッド、勝ちに貪欲だねぇ
上位チャット:こういうのって、配信者を勝たせるもんじゃないの?
上位チャット:いや、これはエルフさんに来た案件じゃなくて逆神様に来た案件でしょ?
上位チャット:あ、そっか、逆神様の悲鳴を狙ってるのか
上位チャット:なるほど、道理で最初からハンデ戦にするわけだ
「ミソラに悲鳴を出させればいいのか?」
上位チャット:……これに「はい」って答えたら、猟奇的なバッドエンドが待ってそう
上位チャット:やめろよ! 絶対に「はい」って答えるなよ!
上位チャット:さすがにやらない
上位チャット:やめよう
上位チャット:これが俺たちの揺るぎなき総意です!
「せっかく、カブトムシ見つけたのに」
上位チャット:俺氏、揺らいできた
上位チャット:はえーよw
上位チャット:体験を分かち合いたい(邪悪な笑み)
上位チャット:やめい
「エルフさん、お待たせしました。何かありましたか?」
「ないぞ」
上位チャット:ないです
上位チャット:何もないです
上位チャット:悪魔が(逆神様の)悲鳴を求めていただけです
上位チャット:
「ワーッハハハ! ちびっ子たちよ! それでは、《ウルトラカートレーシングフォーエバー》の説明に入るぞ!」
「おう」
「あ、はいっ!」
「コースはここ、《湯けむり光線大サーキット》! 左右両方が全長二〇〇メートル、数多の障害物と急な坂がドライバーを苦しめる超ロングコースである!」
上位チャット:……長いか?
上位チャット:坂も緩やかな気がするんだけど
上位チャット:障害物はあるけど、ただのコーンじゃない?
上位チャット:簡単なコースだよね?
上位チャット:左右?
「そして、使うのは――このマシン! ウルトラカートだ!」
上位チャット:え?
上位チャット:これってカートはカートでも……
上位チャット:ショッピングカート?
レッドがめくった布の下にあったのは、スーパーマーケットで見掛けるような、大きなショッピングカートだった。
「大人でも乗せられるサイズだな」
「ワーッハハハ! ちびっ子は勘がいいな! そう! 『《ウルトラカートレーシングフォーエバー》は二人一組になって、ウルトラカートを走らせるアクティビティなのだ!」
上位チャット:ショッピングカートで爆走したいと思ったことはある
上位チャット:スーパー行くたびに思う
上位チャット:こっそり、一歩だけ滑らせたことはある
「コース末端にはエスカレーターが用意されている! これはカートごと乗せられる代物だ! このコースを右コース左コースそれぞれ一周して順位を競う!」
見れば、坂の末端から頂上に向けて、エスカレーターと併設された石段が伸びていた。
上位チャット:なるほど、衝突を避けるために左右別コーススタートか
上位チャット:だから、緩やかな坂でひたすら下っていく形か
上位チャット:あ、わかった。スラローム競技を変化させたんだ
上位チャット:スキーとかスノーボードとかのやつか
「なお、転倒の危険があるので、ちびっ子たちにはヘルメットと肘や膝を守るプロテクターを着けてもらうぞ! 質問はあるか?」
「あの……エルフさんと私の二人で、カートに乗り込むんですよね? どこに乗って、どうやって操縦するんですか?」
「ワーッハハハ! それは実演して見せよう! 征くぞ、ピンク!」
「ヤーッ!」
上位チャット:おお、出番のなかったピンクさんがぁ
上位チャット:満を持してぇ
上位チャット:カートのカゴに収まったァアアア!
上位チャット:いや、やっぱ、どう盛り上げてもアホな絵面だわ
上位チャット:やってみたいけど、間違いなくアホw
数歩の助走の後に、取手を握ってカートを押していたレッドもカート後方に足を預けた。
坂道でカートは徐々に加速し、最初のコーナーに差し掛かる。
「ワーッハハハ! ピンク、右カーブ! いち、にの、さん!」
「ヤーッ!」
上位チャット:おー
上位チャット:へぇ、体重移動でも曲がれるもんだな
上位チャット:バイクみたい
上位チャット:レッドが足もちょっと使ってる?
上位チャット:器用なもんだ
レッドとピンクは息を合わせた体重移動で車体を制御し、平地でもスピードをあまり殺さずに坂の末端まで滑りきった。
「覚えた」
上位チャット:え
上位チャット:えっ
上位チャット:いや、エルフさんは覚えたかもしれないけど
上位チャット:逆神様はどうするの?
「覚えて」
「ええっ!?」
上位チャット:かつてない無茶振り
上位チャット:これは(逆神様が)大変なことになりそうです
上位チャット:だから、
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