56.グレートなんとからない
「プリン」
「エルフさん、美味しそうですねっ!」
上位チャット:でけぇ!
上位チャット:でかい!
上位チャット:二人で分けても茶碗半分くらいあるな
上位チャット:千円は高いと思ったけど、この大きさなのか
場所はコート脇の休憩所。大きな和傘を模した屋根の下に、テーブルとイスが備え付けられた五畳ほどのスペースがあった。
俺とミソラはそこで勝利のご褒美である、ホテル内喫茶店の名物プリンをつついた。
「わ、凄い美味しいですっ! 卵の味が濃厚で、カラメルの甘みの中にゴマがほんのり利いていて、風味と食感を豊かにしてくれていますよ!」
上位チャット:逆神様は食レポも慣れたもんですね
上位チャット:美味しそうにも食べてくれるし、聞いてて安心感ある
上位チャット:で、我らがエルフさんは……
「うまい」
上位チャット:エルフさんも食レポに慣れたもんですね
上位チャット:慣れただけなんだよなぁ
上位チャット:草
上位チャット:もうちょっと違う食レポもしてください
「醤油ある?」
上位チャット:エルフさんw
上位チャット:待って待って待って
上位チャット:何やろうとしてるかわかったけど、その食レポはやらないでw
上位チャット:醤油掛けてもウニにはなりませんよ!
「ならないのか」
上位チャット:ふぅ……危ねぇところだったぜ
上位チャット:エルフさんは本当に油断ならないな!
上位チャット:※スポンサーが付いてる配信です
「ん?」
上位チャット:エルフさん?
上位チャット:どしたの?
「何、あれ?」
俺は視線の先にカメラを向けてやる。
中央の窪みに向かって大小様々な坂や階段がある広場。その前で、車輪の付いた板をくるくると回しているレッドがいた。
上位チャット:スケボー
上位チャット:スケートボードだな
上位チャット:へー、ストリート系のスケボー競技場もあるのか
「あれがスケボーか」
上位チャット:おや、知らなかったの?
上位チャット:珍しいな
「不良の乗り物だって聞いてた」
上位チャット:あー……古い認識だけど
上位チャット:迷惑なことしてる人は確かにいるなぁ
上位チャット:風評で被害を受けるのは真面目にやってる人たち
上位チャット:困ったもんです
上位チャット:競技を楽しめる場所が少ないせいもあるんだろうけど
「あれで暴走するんだろ?」
上位チャット:違う
上位チャット:混ざってるw
上位チャット:エンジン付いてないんで!
「じゃあ、どういう道具なんだ?」
上位チャット:上に乗って滑る道具です
上位チャット:地面に近いから、同じ速さでも自転車のときよりずっと速く感じられる
上位チャット:斜面でスピードに乗ると気持ちいいんだ、これが
「やりたい」
上位チャット:プリン掻き込むなw
上位チャット:あーもー、せめて、お茶飲んでから行きなさい
上位チャット:晩ごはんまでには帰ってくるのよ
「レッドー、スケボーやらせてー」
上位チャット:小学生かw
上位チャット:エルフさんw
上位チャット:※スポンサーが付いてる配信です
「む、ワーッハハハ! ちびっ子よ、次なる対決のフィールドへよくぞ参った! プリンは美味しかったか?」
「うん」
「よし!」
上位チャット:いいのかぁ
上位チャット:まあ、スポンサー側がそれでいいなら……
「ワーッハハハ! だが、《グレートローラーボードイリュージョン》は難しいぞ。果たして、ちびっ子にこれができるかな!」
レッドは助走を付けると、スケボーに両足を乗せ、膝を使って――
「飛んだ」
上位チャット:おおー
上位チャット:ボードごと手すりに乗った
上位チャット:下まで降りて、板一回転させてキャッチ
上位チャット:鮮やか
上位チャット:オリンピックで見た覚えがあるやつだ!
上位チャット:でも、グレートなんとかは覚えがないですねぇ
「ワーッハハハ! 見たかね、我がトリックの冴えを! まあ、《グレートローラーボードイリュージョン》は初心者でも技量差が埋まるルールを採用して――」
「覚えた」
上位チャット:あっ
上位チャット:ジャンプした
上位チャット:手すりに乗った
上位チャット:下まで降りて、板一回転させてキャッチ
上位チャット:そこまで真似るんかいw
上位チャット:ゲームじゃなくてもコピーできるんだな
「次は何をするんだ?」
「ワーッハハハ! 次は《ウルトラカートレーシングフォーエバー》だ! ちびっ子よ、付いてくるがいい!」
「おう!」
上位チャット:逃げた
上位チャット:逃げたぞw
上位チャット:なかったことにした
上位チャット:グレートなんとかはどうしたw
上位チャット:スケボーしろw
上位チャット:草生える
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