55.不自然の力

「それでは後半戦を開始する前に、もう一度確認をします。前半戦が配信者チームボールでの開始だったので、後半戦は四天王チームボールでの開始。ゲーム開始は四天王チームがボールに触れた時点から。開始より前に、配信者チームはセンターサークルに入場できません。いいですね?」

「ん」

「ワーッハハハ! 無論だ!」


上位チャット:要するに、だいたいサッカーと同じ

上位チャット:穴はないように聞こえるが……

上位チャット:さて、エルフさんはどういう策を練ったのか

上位チャット:お、今度は逆神様がレッドの前で圧力を掛けるのか

上位チャット:反対にエルフさんが自陣後方に向かった


「ワーッハハハ! 何を企んだかは知らんが、無駄だ! ブラック! グリーン! トライアングルフォーメーションだ! 敵陣の左右目いっぱいに展開しろ!」

「「ヤーッ!」」


 後半戦開始と同時に、ブラックとグリーンがセンターラインを突破。配信者チームフィールドに侵入する。

 俺はその二人のうち、ミソラがガードしてない右側を上がってきたグリーンをマーク。左側のブラックがノーマークの状態になった。


上位チャット:エルフさんと逆神様の位置が逆になっただけ?

上位チャット:他に違いはないように見える

上位チャット:もしや、全力で走って両方マークをするつもり?


「ワーッハハハ! 無駄な抵抗よ! ブラック! 余裕を持ってパスするぞ! Dの五へ急げ!」


上位チャット:パス出した!

上位チャット:エルフさんよりかなり前!

上位チャット:これは追い付けない……んん?

上位チャット:エルフさん?

上位チャット:動かないの?

上位チャット:フェンス際で何を


「えい」


上位チャット:え

上位チャット:ちょ

上位チャット:何、今の音!?

上位チャット:ボールも変な反射してる!

上位チャット:なんで!?


 俺は、目の前に転がってきたボールを確保。後は軽く転がして、悠々ゴールさせた。


「ち、ちびっ子よ! 何をしたのだ!?」

「俺が取れるところに反射するように、金網を波立たせただけだぞ」


上位チャット:……金網って波立つものでしたっけ?

上位チャット:どうやって?


「スケスケ肉じゅばんの中から金網に接触して、瞬間的に、こう」


上位チャット:遠くの一箇所だけ、凄い波立った……

上位チャット:あ、なーんだ……っておいw

上位チャット:なるほどー。それなら、フェンスに触れていいなら簡単だーってなるかい!

上位チャット:気功の達人かな?

上位チャット:フェンス壊れない?


「ちゃんと、すぐに打ち消して、コートの状態も維持したぞ」


上位チャット:ドヤ顔エルフ

上位チャット:確かに、要件は満たしているなぁ

上位チャット:維持しなくていいって言ってたら、フェンス倒してたんだろうか

上位チャット:恐ろしい……これがエルフの力……自然の力……!

上位チャット:むしろ、不自然な力です


「わ、ワーッハハハ! ロングパスがなくなったとて、まだ逆転のチャンスはあるはず! 行くぞ!」

「「ヤーッ!」」


上位チャット:なさそう

上位チャット:ないですね

上位チャット:ない


「ミソラ、ボールに触れることができたら、どこでもいいからフェンスに転がしてくれ」

「え、はい。わかりました」


上位チャット:あ、落ちが読める

上位チャット:フォフォフォ、我の出番かのう?

上位チャット:あー、また未来見えちゃう見えちゃう。スケスケ。えっち。エルフ

上位チャット:予言者大量発生


「エルフさん、取れました! 転がします!」

「ワーッハハハ! どこに転がしている! ちびっ子は遥か向こうだぞ!」

「そいや」

「なぁああああっ!?」


上位チャット:うーわ……吸い寄せられてるみたい

上位チャット:フェンスに当たると、エルフさんのところに転がってく

上位チャット:ほぼ怪奇現象

上位チャット:面妖な……

上位チャット:ああっ! また使い損じた!

上位チャット:お前がどの板の住人かわかった


「どんどん攻めるぞ」


上位チャット:またぞろひどいことになるぞ

上位チャット:ああっ!

上位チャット:サイコロ振ったら、またぞろ目だった

上位チャット:ああああっ!

上位チャット:お前ら、試合見ろw


        ◇◆◇


 ピピピピピッ! ピピピピピッ!


「試合終了です。四対一。配信者チームの勝利です」

「勝った」


上位チャット:はい

上位チャット:知ってた

上位チャット:おめでとうございます


「ワーッハハハ! ちびっ子たちよ、なかなかやるではないか! ……フェンス固定しようかなぁ」


上位チャット:あの芸当ができるのはエルフさんだけです

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