33.テイマー

「障害物多いな」


上位チャット:障害物ないと戦略性なくなっちゃうからね

上位チャット:これ、ランダム配置?

上位チャット:決定時で複数の配置から抽選されるタイプの疑似ランダム。このゲームの乱数はどれも独立してるタイプだから、プロなら電源入れてから開始までを揃えることで簡単に同じステージを選ぶことができる

上位チャット:プロ(賞金が出る大会はない)


 手札は五枚、┃┛┃┫━。俺のターンになると、新たに┛が加わって、使用する手札の決定を求められた。

 俺の発電所から伸びる電線につながるように配置すると、コンピュータのターンになった。

 八ターン繰り返すと、俺は最寄りの都市に電線をつなげることができた。


「エルフ、流れはわかった?」

「思ったより難しい」


上位チャット:おや

上位チャット:意外な言葉

上位チャット:エルフさん、パズルは苦手か?


 今の手札は┛┃┛┃┛。都市への最短経路を選んだせいもあって、手札の偏りが激しい。

 コンピュータもそれを察したのか、次の都市への経路を塞ぐように線路を伸ばしている。随分と遠回りさせられそうだ。


「こういうのはタイミングが物を言うのよ」

「タイミング」

「そう。何も考えずにカードを引いて配置してたらダメってこと」

「タイミングか……」


上位チャット:手札が偏るとできることが減っちゃうからね

上位チャット:このゲームはコンピュータプレイヤーもそれを理解してるから、偏ると露骨に攻め攻めになる

上位チャット:へー、本当に賢いコンピュータだな


「ふむ」

「やっていけばできるようになるわよ」

「それもそうだな。もう少し掛かりそうだ」


上位チャット:本当にエルフさんにしては苦手そうな言葉

上位チャット:よかった……エルフさんも人間だったんだ……

上位チャット:合ってるけど間違ってる


 さらに、七ターンが経過。状況はかなりコンピュータ優位に傾いた。が、


「できるようになった」


上位チャット:え?

上位チャット:ん?

上位チャット:何が?


 今の手札は┫┛┛┃┛。ここから、┛を引いて、┫を使う。

 次のターン。┛┛┃┛┛から、もう一丁┛を引いて┃を使う。手札は┛┛┛┛┛になる。完成だ。


上位チャット:え、どうしたいの?

上位チャット:あーあー、染まっちゃった

上位チャット:コンピュータ「露骨に攻めまーすw」


 ━を引く。コンピュータが攻めてきた隙間を利用して、いい感じに経路が通る。

 お次は┏。攻めるコンピュータは、逆に大回りを強要されることが決定した。

 そして、┃。これで、もうこのコンピュータは当分、前線まで戻れない。


「よし」


上位チャット:……あの、エルフさん?

上位チャット:もしかして、狙ってカード引いてる?


「タイミングが物を言うんだろ?」


上位チャット:違う、そういう意味じゃない

上位チャット:スロットの目押しくらいならやるかと思ったけど、これは予想外w

上位チャット:エルフさんの手札を見て、賢く攻めっ気を持っちゃったコンピュータがガンガン迷走していくw

上位チャット:これはひどい

上位チャット:またエルフさんがゲーム壊してるw

上位チャット:やはり、エルフさんはエルフだった

上位チャット:合ってるけど間違ってる


「勝った」

「エルフとなら勝てるんじゃないかと思ったけど、本当に勝てるとちょっとヒくわね」


上位チャット:キリシたんw

上位チャット:エルフ力TASだったもんなぁ

上位チャット:草


「勝っちゃまずかったか?」

「いいえ。欲しかった実績も解除できたし、もう大満足よ!」


上位チャット:策士がおる!

上位チャット:エルフ使いキリシたん

上位チャット:エルフテイマー!

上位チャット:プロくーん、生きてるー?

上位チャット:くっ……殺せ!

上位チャット:ズンバラリ!

上位チャット:ズバッ!

上位チャット:ぐさっ!

上位チャット:ざくざく!

上位チャット:少しはためらえw


「よし、次のゲームやろうぜ!」

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