第7話 二重のラバースーツ着ぐるみ

それから間もなくして。

明日は学校が休みということもあり、今夜は長くなると察して由衣はトイレに行っていた。

そしてトイレから戻ると、リビングの床には由衣がこの後着せられる着ぐるみ一式が広げられていた。


(こんなに着るの?大変そう…)


由衣は服を脱ぎながらそれを見て圧倒されてしまう。


いつもの人型の着ぐるみの時はマスクと肌タイツ、衣装、そして由衣を責める大人のおもちゃといったセットになっている。

しかし今日はそれの他に、黒いゴム製のタイツに加え、一部分が赤くなっている黒いゴム製の袋のようなものまである。

衣装も衣装で、まるでSMに出てくるような艶々した黒革のボンテージだ。


呆然と立ち尽くす由衣のもとに「着替えてくる」と言って出ていった香澄が帰ってきた。

その姿を見て由衣はさらに目を大きく見開いてしまう。


「どうかしら…似合ってる?」

「………」


由衣は言葉が出なかった。

香澄は黒革のサイハイブーツに網タイツ、長手袋、そしてハイレグの袖無しのハイネックレオタード…全身を黒革のボンテージでキめているのだ。

その姿はまるでSM嬢のようだ。

流石に鞭などは持っていないが。


香澄自身も気負い過ぎているのか、顔を赤らめてもじもじしている。

だが香澄はスタイルがよく、顔立ちが整っていて大人びているため想像以上にハマっている。

由衣はそんな香澄を上から下まで何回も見た後、素直な気持ちを口に出した。


「すごい似合ってるよ。なんか…SMの女王様みたい」

「ホント!?嬉しい…じゃあ山村さんも着かえましょ?」


由衣の言葉に香澄は随分気をよくしてしまった。


(うわ…香澄ちゃんノリノリだ。言わなきゃかったかも…でも今までこんなことなかったよね)


由衣はこんな奇妙なことで距離が縮まったことを感じてしまう。

いつになくご機嫌の香澄は床から漆黒のゴムタイツを拾い上げ、由衣の足元に腰を下ろし、それを着るように促す。


「右足上げて?いつも着てるラバーの肌タイツと同じ感じに」

「今日はこれも着るの?」

「えぇそうよ。この後いつもの肌タイツも着て、重ね着でね」

「………」


ただでさえラバー生地のタイツは暑苦しいのにそれを二枚も着せられるなど想像もつかない。

しかも今日の香澄は溜まっているせいもあり何をされるかもわからない。

また香澄の左の口角が上がるのを見て由衣は息を飲んだ。


手慣れたもので香澄はスルスルと由衣に黒のラバータイツを着せていく。

背中のチャックを閉じられ、由衣はあっという間に顔以外を黒のラバータイツに覆われてしまった。


(はぁ…はぁ…ちょっとサイズが小さいかも?なんか股とお尻に食い込んでくるって言うか…)


重ね着を考慮されているせいなのか、由衣の体にラバー黒タイツが吸い付くように貼りついてくる。

まだ着たばかりだというのに由衣の額からじんわりと汗が浮き出てくる。

そんな由衣にお構いなしに香澄はあの黒いゴムの袋のようなものを床から拾い上げ、チャックをジ~っと開く。

どうやらそれはラバーの全頭マスクで、あの赤い部分は口の部分にあたるようだ。


「今日はね、これも被ってもらって山村さんにゴム人形になってもらうの」

「ゴム人形…」


ゴム人形と言う響きに由衣の体がビクッ!っと反応した。

それを見た香澄の笑顔がまた少し歪になっていく。

そして香澄は由衣の目の前にその漆黒の全頭マスクをガバ!っと広げ、ゆっくり近づけていく。


「マスクの中にマウスピースが付いてるからね?口開けて?」

「うん…あ~ん…むぐぅ…」


由衣の口の中にゴムのマウスピースがはめられていく。

歯だけでなくなんと舌までぴっちりと覆われてしまった。

呼吸穴がとても小さく口で息をするのはかなり難しそうだ。


「あぐ!あぇ…んぐ!」

「次に鼻にチューブ入れるわね?口だと息しにくいと思うから鼻呼吸を心掛けて」

「うっ…うぅぅ…んっ!」


由衣の鼻の穴に二本の管が差し込まれる。

香澄の言った通りで鼻からなら何とか呼吸がしやすい。


(はぁ…はぁ…口の中がゴムまみれ。鼻の管もちょっと長くてツーンとする…大丈夫かなこれ)


由衣の視界がどんどん黒くなっていく。

目の部分は小さな穴が無数に開いているおかげで外は見える。


由衣が不安でドキドキする中、香澄は由衣の頭をゴムで包み込んでしまい、頭頂部のチャックのスライダーをうなじあたりまで下ろしてしまう。

こうして由衣は口の部分だけが赤い異様な姿…まるで真っ黒なダッチワイフのようにされてしまった。

しかもその口の中は由衣の舌の動きまで厭らしくわかってしまう。


ピチピチの漆黒のゴム人形にされた由衣を見て、香澄は手で口を覆いながら少し鼻息を荒げている。


「はぁ…はぁ…綺麗…すごい似合ってるわ山村さん!少し触ってもいいかしら?」

「うぅ…うぐ…」

「じゃあ…ふぅぅ…」


由衣ゆっくりと頷く。

香澄は大きく息を吐いた後、由衣の背中に回り革の長手袋で覆われた手で由衣のゴム肌をなぞっていく。

太もも、お尻、腰…そして胸まで触ってきた。

由衣はその優しく、厭らしい手つきで思わす声を出してしまう。


「うっ…んっ!ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

「どお?気持ちい?山村さん…」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」


乳首をくにくにと潰されたり、ピン!と弾かれたりする。

由衣はその刺激のせいで息を乱しながら感じさせられてしまう。


(やっ!そんなに弄っちゃだめ…まだ着替えてる途中なのに…ペースがはやいよ)


由衣の恥部からじわ…っと愛液が滲み出てくる。

香澄はもじもじと身をよじる由衣を腕でガッチリ捕まえ、乳首を遊んでいた右手をゆっくりと由衣の真っ赤な口に持ってくる。

そしてなんと赤いラバーに包まれた由衣の舌を二本の指で挟んでしまった。


「おご!?うぐぅぅ!」

「今日はこんなこともできちゃうの。新鮮でしょ?」

「うぅ!うっ!もごっ!」

「暴れちゃダメ。痛くはしないから…ね?受け入れて」

「ふぅ!ふぅ!うっ…!」


香澄は由衣のゴム舌を指で引っ張ったり、こねくり回してくる。

確かに痛くはされないがまるで口内を犯されているようだった。


(はぁ…はぁ…あぇぇ…遊んじゃダメ!はぁ…はぁ…はぁ…)


すでにいっぱいいっぱいの由衣に対して香澄はどんどんと口角を歪に上げていく。

その目は怪しげな光を宿している。


「ふぅぅぅ…今はこれくらいで。夜も長いし、肌タイツも着せていきましょうか?」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…ふぅぅぅ…」


お互いに違う理由で呼吸を荒くしていた。

ゴム人形をしっかり堪能した香澄は由衣から手を離し、ピンクと黒の二本の棒状の物を拾い上げ、由衣の目の前にわざとチラつかせた。

恥部に入れるおもちゃとアナルプラグだ。

そしてニチャ…と微笑み、由衣の足元に腰を下ろす。


「前から入れるわね。いい?」

「うんぅ…ふぅ…ふぅ…」


香澄の問いかけにゆっくりと頷く由衣。

香澄によって由衣の股間部分についているチャックが開けられていく。

中の由衣の恥部から汗とは違うねっとりとした液体が床にトロっと糸を引きながら垂れた。

それを見て香澄は目を大きく見開き、由衣のゴムで包まれた顔をパッ!っと見た。


「え!?」

「ふぅ…ふぅ…」

「もしかして…興奮してる?」

「うぅぅ!」


(違うよ!それはさっき香澄ちゃんがおっぱい弄ったから!違うもん!)


由衣は抗議しようにもゴムで包まれたこの口では何も喋れない。

香澄は何かを納得したようにウンウンと頷きながら嬉しそうな顔をしていた。

完全に勘違いしている。


「まぁ…これなら今日はローションはいらなそうね。入れわよ?」

「ふぅ…ふぅ…うぐっ!」


すでにトロトロにされた由衣のアソコはすんなりとピンク色のおもちゃを受け入れ、あっという間に呑み込んでしまった。

香澄は顔を真っ赤にしながら手に持ったアナルプラグにローションを塗りたくり、由衣の肛門にねじ込んでいく。


「あぅぅ…うぐ!んぅぅ…」

「力を抜いて~緊張しちゃダメ。口を開けて」

「うぅぅ…んむぅ!」


(はぁ…はぁ…やっぱりお尻は…あうぅ!慣れないよ…口開けにくいし…はぁ…はぁ…あっ!)


じゅぶり!っという卑猥な音とともに由衣のお尻はアナルプラグを咥えた。

ビクビクと情けなく体を震わせる由衣の黒いお尻を優しく撫でながら香澄はチャックを閉じてしまう。

こうして由衣は鼻を呼吸用のチューブ、口を赤いマウスピース付きの猿轡、恥部を大人のおもちゃ、肛門をアナルプラグといった卑猥なもので穴という穴を塞がれてしまった。


呼吸を荒げている由衣に構わず香澄はいつも着せている肌色のラバータイツを着せていく。

しかし、すでに黒のラバータイツを着せているということもあってなかなか苦戦しているようだ。


「ふんっ!やっぱり重ね着だと大変ね」

「ふぅ…ふぅ…うっ…」


ラバータイツ間に空気が入らない様に手でしごかれながら着せられていく。

何とか着せ終わり、背中のチャックを腰から頭頂部まで閉められていく。

どんどん二重のタイツが由衣の体を締め上げていく。


(はぁ…はぁ…あつい…ぎゅうぎゅうする。しんどい…)


こうして由衣は肌色のラバータイツまで着せられてしまった。

いつもは顔だけ由衣の顔が見える状態なのだが、今は口が真っ赤で真っ黒なマスクに包まれてしまっていた。

まだ着たばかりだというのに由衣の全身から汗が噴き出す。


手を開いたり閉じたりしている由衣の首に香澄はいつも付けている首輪をつけ、ハート形の錠をパチンと留めた。

そして真っ赤な由衣の下唇を親指でグッ!っとつまむ。

急にそんなことをされたので由衣は思わずひるんでしまう。


「うぅ!?」

「ユイ?今日は自分でマスクを被って?できるわよね?」

「むぅ…」


この首輪をつけると香澄は由衣のことを呼び捨てにし、色々と命令してくる。

ユイにされた由衣はコクリと頷き、床に転がっている着ぐるみのマスクを手に取る。

今日のマスクはアニメ調の顔で、ピンク色の長いツインテールのウィッグが被せられている。

マスクとウィッグ一体型で、後頭部のチャックを開けて被るタイプだ。

由衣はそれを頭の上に持ってきて、ゆっくりとラバータイツで包まれた頭に被せていく。


(はぁ…はぁ…スポンジがきつい…息しずらい)


いつもは猿轡にも呼吸穴がある割と息はしやすい。

しかし今日は真っ黒な全頭マスクに口の中を下まで覆われた上に、鼻に呼吸用の管を入れられているせいで呼吸がしにくい。

マスクの中で由衣の額から脂汗のようなじっとりした汗が噴き出す。


何とかマスクを被り終わると、着ぐるみの小さな視界から香澄がいなくなり、マスクの後頭部のチャックをジ~っとうなじまで下した。

香澄の顔がまた笑顔に似て非なるものになっていく。

そして大きく息を吐いた後、床に広がっているボンテージ衣装を由衣に黙々と着せていく。


黒革のサイハイブーツ、肘まで覆う長手袋、そしてローレグの袖なしハイネックレオタード…香澄と同じような恰好にされていく。

しかし異なるのはブーツのヒールの高さで、香澄のサイハイブーツはハイヒールになっている。

もともと少し身長差がある二人だが、このヒールの高さの違いで香澄のほうがさらに背が高くなる。


そして決定的に違うのは、由衣のボンテージ衣装には首や手首、足首、膝上やウエストなど所々に拘束具のようなベルトが付けられていることだ。

そのベルトがすでに二重のラバータイツで締め上げた由衣の体をさらにギチギチと締め付けてくるのだ。

しかもベルトにはとても小さな錠をかけられてしまい、由衣自身では緩めることができない。


(はぁ…はぁ…苦しい…きつい…ちょっと緩めて)


「うぅ…むぅぅ…うぅ!」

「ん?どうしたのユイ」

「むぐ…」


由衣はベルトを手でつかみ、緩めてもらえるように香澄に訴えかける。

その言葉は全頭マスクのマウスピース付き猿轡によって封じられてしまう。


「うぅ!むぅぅ!」

「……何言ってるかわからないわね?ほっときましょうか」

「むむぅ!」


香澄は由衣が言いたいことを理解したうえで由衣の申し出を却下する。

また香澄の左の口角が歪にビクっと痙攣するのだった。

衣装の締め付けに困惑している由衣の目の前に香澄は新たな器具を見せつけてくる。


(はぁ…はぁ…今度はなに?時計?)


それは消しゴムくらいの大きさの黒いタイマーのようで、一本の短いワイヤーのようなものまで付いていた。

香澄はニコっと由衣に微笑みかけ、それが何なのか聞いてくる。


「これわかるかしら。なんだと思う?」

「ふぅ…ふぅ…むぅむ」


由衣は小さく首を横に振る。

香澄は由衣のピンク髪の頭をなでた後、その機器のボタンを押す。

ピッ!ピッ!っという電子音の後にまた由衣にそれを見せてきた。

先ほどまで00:00だった数字が12:00と変化していた。

香澄は鼻息を荒げながら由衣にまた質問してきた。


「はぁ…はぁ…これでわかるわよね?」

「?………むぅむぅ」


(だからわからないよ?はやく教えて)


由衣が再び首を横に振ったのを見て香澄は目を少し見開き、由衣の背中に回り込んだ。

そして由衣の耳元で小さな声で囁く。


「ふぅぅ…実際に付けてみればわかるわ」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…?」


カチ!ジー……ガチャン!


由衣のうなじの辺りで何かの金属音が鳴った。

その音にビクッ!っと反応してしまう由衣。


(何の音?カチャっていったけど…どこに付けたの?)


由衣は思わず両手を首に回し、それがどこに付けられたか探る。

どうやらうなじあたりに付けられている。

黒いタイマーをガチャガチャ弄っている由衣の手を香澄が優しく掴み、由衣の耳もとでまた小さな声で囁く。


「さっき付けたやつね、鍵なの。それがユイのマスクのチャックと首輪に繋がってるのよ?」

「!!?」


(え!鍵!?)


香澄の言う通り、あれは鍵だった。

これで由衣は香澄の許可がない限りこの着ぐるみも、ボンテージ衣装も脱げなくなってしまった。

由衣は項垂れながら香澄に掴まれた手をゆっくりと下におろす。


(鍵か…まぁ…いつも付けられてるけど、なんであんな形してるの?)


着ぐるみプレイをさせられているときは由衣はいつも香澄に鍵をかけられて脱げなくされている。

慣れというのは怖いもので由衣は香澄の言葉にそこまで動揺はしていない。

どうせプレイが終れば脱がせてもらえる、心の中でそう思っていた。


しかし今日の鍵はいつも付けている物とは性質が異なる。

慣れてしまった由衣に香澄はその事実をまた耳元で囁く。


「あの数字なんだと思う?12ってなってたわよね」

「ふぅ…ふぅ…?」

「もしそれが…時間だったらどうする?」

「!!?」


由衣はパッ!っと振り返り、背後にいる香澄の顔を見る。

頬を真っ赤に染めて目を細め、左の口角を歪に上げた香澄の顔が目に入った。

その顔を見て確信する。

うなじに付けられた鍵の数字の意味を。


(まって!それじゃあ12って…12時間ってこと!?)


ビクビク震える由衣のマスクの顎をクイッと上げ、香澄はニコッと微笑みかける。


「ユイ?明日の朝までその恰好よ?よかったわね…ふふふ♪」

「むぅ!?むぐぅぅ!」


由衣は首を横に大きく振り、マスクを両手でつかんで脱ごうと試みる。

しかしギッチリと由衣の顔を覆っており、びくともしない。

目の前で焦っている着ぐるみ姿の由衣を見せられて香澄はさらに鼻息を荒げてしまう。


部屋の中に由衣の体に無数に付けられた拘束具がジャラジャラ鳴る音とギチッギチッ!っとラバータイツが擦れる音が響き渡った。



「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」


着ぐるみが物理的に脱げないとわかった察した由衣はその場にお尻をペタンとついて座り込んでしまった。


(はぁ…はぁ…どうしよ…半日?そんなに着たことないのに…今が夜の9時だから明日の朝9時まで?やだ…そんなにもたないって)


マスクの中では焦りからドクドク汗が噴き出てしまっている。

今まで最高でも7時間くらいなら着ぐるみを着せられたことはあるが半日はない。

しかもその時はラバー肌タイツ一枚だった。

今日にいたってはその下に真っ黒なラバータイツまで着せられてしまった。

そのうえ香澄は連日の受験で相当溜まっている…何をされるかもわからない。

由衣の鼓動が不安でどんどん速くなっていく。


へたり込んでしまった由衣の横に香澄は立ち、ピンク髪のウィッグをまた優しく撫で始めた。


「ユイ…何して遊びましょっか?まだ時間はたっぷりあるし、とりあえず今の綺麗なあなたの姿、写真にでも撮りたいわね」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」


香澄はテーブルに置いてある携帯を手に取った。

そして右手の革の長手袋だけ外し、携帯のカメラを由衣に向ける。


カシャ!


シャッター音とともにフラッシュがたかれる。

その音と光に由衣は思わずビクッ!っと反応してしまう。


(はぁ…はぁ…撮られた?やだ…撮っちゃダメ…恥ずかしい)


今の由衣は全身をラバータイツで包まれ、しかも黒革のボンテージという実に厭らしい恰好をしている。

素体の胸が大きく、ボンテージのベルトの締め上げもあって余計に破廉恥さを増してしまっている。


女の子座りしながらカメラに顔を背ける由衣に対し、香澄はニヤニヤとしながら次なる命令を出す。


「ユイ?恥ずかしがっちゃだめよ?こっちに顔を向けて?じゃないとこれ、入れちゃうわよ?」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…!!!」


香澄が左手に持っている物、ピンク色の卵形状の機器、それはリモコンバイブのスイッチだ。

香澄は由衣にわかるようにそのボタンに手をかけている。


(まって!!まだ入れないで!)


由衣は大きく首を横に振る。

まだ着たばかりだというのに今それを使われたら体力が持たない。

由衣はビクビクしながら香澄の持つ携帯にマスクで包まれた可愛らしい顔を向けた。


カシャ!


香澄に写真を撮られた。


「よしよし、いい子ねユイは。じゃあ次は…少し俯いて左手を胸に、右手を股間に置いて?」

「!!!」


(それって…!でも…言うこと聞かないとスイッチ入れられちゃう…)


香澄の言う通りにする由衣。

しかしそれは自分で慰めてしまっているようなを恥辱的なポーズだった。

そんな由衣の姿を香澄は携帯に納めていく。

何枚も何枚も。

由衣はマスクの中で顔が真っ赤になってしまった。


(はぁ…はぁ…恥ずかしい…ひとりエッチしてるみたい…)


由衣が肩で息をしているのと同様に、香澄は違う意味で呼吸を荒げていた。


「はぁ…はぁ…ユイ…かわいいわ。動画も撮るからちゃんと動かしてみせて?」

「んぅ!?むぅむ!むぅむぅ!」

「断っちゃうの?いいわよそれでも。そのかわり…わかってるわよね?」

「うっ…」


香澄はまたニヤリと笑ってスイッチのボタンに手をかける。

由衣は首をブンブン横に振り、香澄の言う通りに左手で胸を、右手で股間を弄るフリをする。


(はぁ…はぁ…香澄ちゃん今日飛ばし過ぎてる。どうしよ…どうしよ…)


数日間由衣で遊べていなかった反動なのか、今日の香澄の要求がいつもよりもハイペースでとても淫らだ。

それは香澄の顔にも出てしまっていて、目の前で自慰を強要されたボンテージ着ぐるみの由衣をギラギラと目を輝かせて見つめている。


「んっ…んぅ…うっ…んぅぅ…」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…ふぅぅぅ…」


香澄は自分の声が入らない様に左手で口を押えて動画を撮っている。

しかし荒ぶった鼻息が抑えきれていないようだ。


ピロン!


香澄が動画の停止ボタンを押した。

由衣にもその携帯の音は聞こえており、自慰をしていたフリを止めた。


「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

「ユイ…もう一回撮るわね?今度はちゃんと、本気でやってみせてね?」

「うっ…!」


(はぁ…はぁ…誤魔化せなかった…えぇ…でも…ちゃんとやらないとダメ?くぅ…)


香澄には自慰をしている演技だとバレてしまっていた。

由衣は暫く考えた後、また左手で胸を、右手で胸を刺激し始める。

今度はフリではなく、本当に感じるように。


「ふぅ…ふぅ…んっ!…うむぅ…んんっ!…ふぅ…ふぅ…ぷふぅ…」


舌まで覆われてしまった口の中から漏れる由衣の喘ぎ声。

ギチ…ギチ…とラバータイツと革が擦れる音。

そんな由衣の音を聞かされ、姿を見せられた香澄の顔はどんどん真っ赤になっていく。

もう興奮した吐息も抑えきれない。


(はぁ…はぁ…あん!見られ…ちゃってる…やだ…見ちゃダメ…ダメ…)


由衣も由衣で本気で自慰をしているせいでどんどん気持ちが高まってしまっていた。

二重ラバータイツの中でじっとりと汗をかき、恥部からヌルヌルした液体をじゅわ…じゅわ…と垂れ流している。

しかしその体液は決して外に出ることはない。

着ぐるみとともに密封されてしまう。


(はぁ…はぁ…んっ!…どうしよ…ホントに…気持ちよくなってる…早くとめて…とめて…)


香澄の合図があるまで由衣はこの手を止めることはできない。

だが何重にも衣装を重ね着させられているせいで性感帯への刺激が足らず、イくこともできない。

まさに由衣は生殺し状態にされてしまっていた。

切ない汁だけが恥部から漏れ、タイツに溜まっていく。


ピロン!


香澄が録画の停止ボタンを押した。

そして女の子座りで肩で息をしながら自慰をしている由衣の元へと歩み寄りってきた。

そして由衣と同じようにその場に女の子座りをしてマスクに包まれた由衣の顔をじっと見つめる。


「ふぅ…ふぅ…ふぅ…むぅ?」

「………」


香澄は無言のまま由衣のマスクに覆われた頭に手を伸ばす。

由衣は思わずビクッ!っと肩を震わせる。

しかし香澄が取った行動は、ただただ由衣の頭を優しく撫でるという意外なものだった。


「いい子ねユイは…すごく可愛かったわよ?」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

「その調子で頼むわね?貴女の綺麗な姿…いっぱい撮ってあげるからね」


香澄はニコッと微笑みかけるとまた由衣から離れて携帯のカメラを由衣に向けるのだった。


(はぁ…はぁ…どゆこと?でもなんか嬉しいかも…こんなことさせられてるのに?わけわかんない)


香澄に厳しくされたり優しくされたりして由衣の脳は混乱していた。


その後も色んな体勢で写真や動画を撮られた。

胸を強調したりお尻を突き出したり、雌豹のポーズをとらされたり。

写真を撮られるたびに由衣はマスクの中で顔を真っ赤にしていた。

それと同じくらい香澄も興奮で頬を赤く染め上げていた。



それから4時間後。


「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

「はぁ…はぁ…いいわよユイ…可愛い」


未だに二人は淫らな撮影会をしていた。


季節は冬だが完璧な空調設備のおかげでリビングはかなり温かい。

二重のラバータイツに包まれた由衣は自分の出した体液で全身ベトベトになってしまっていた。


(あついぃ…はぁ…はぁ…じゅる!涎が…ちょっと休ませて…)


マウスピース付き猿轡で閉じられないせいで口周りはべちょべちょだ。

それに自慰を強要されたせいで恥部もヌルヌルになってしまった。

色々なポーズをとらされたせいでその二つの液体はラバータイツ内に広がってしまい、さらに不快さを増してしまっていたのだ。

ぶっ通しで撮影会をしていることもあり由衣の動きが悪くなってきた。

今は香澄に向かって腕を前に組み、胸を寄せるようなポーズを取らされている。


「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

「はぁ…はぁ…ん……ユイ?疲れちゃった?」

「んぅ…」


由衣はラバーで包まれたお腹を大きく動かしていた。

香澄の問いに素直にコクリと頷く。


「少し休みましょっか?私もちょっと撮りすぎて携帯の容量がパンパンなの。データを移してくるわね」

「うぅ…」


香澄は携帯を持ってリビングから出て行ってしまった。

それを確認すると由衣はゆっくり腰を下ろし、床に大の字になった。


(はぁ…はぁ…はぁ…疲れた。携帯がパンパンって何枚撮ったの?まぁ動画も撮ってたし…今何時なんだろ?)


部屋の時計を見る。

もう夜中の1時を回っていた。

普段ならもう二人とも寝ている時間なのに未だに由衣は着ぐるみを着せられている。

それにあと8時間は脱げない設定に鍵をかけられてしまっている。

また由衣に額からドっと汗が噴き出してきた。


(もしかして着ぐるみのまま寝なきゃいけないの?こんなグチョグチョの中で?それはさすがに嫌…それに…)


由衣はラバーで包まれたムッチリとした太ももをギチギチとすり合わせる。

体の奥が熱くなっている。


(はぁ…はぁ…あれから全然おさまらない…どうしよ)


そう、由衣は恥部が疼いてしまっていた。

あの淫らな撮影会、初っ端から香澄の指示によって自慰行為をさせられた。

しかし二重のタイツとボンテージ衣装のせいで上手く自分の感じる場所を刺激できず、絶頂はできなかった。

そんなもやもやした気持ちのまま自慰は終了させられ、色々なポーズをさせられ、撮影された。

体を動かすたびに、すでに中に入れられている前と後ろのおもちゃが由衣をねちねちと刺激してきた。

そのせいでずっと体が、心がエッチになってしまっていたのだ。


(はぁ…はぁ…いつもならもう何回かイかされてる時間なのに…ふぅぅ…)


由衣は大きな溜め息をし、体をゴロンと横向きにする。

そして胸をドキドキさせながら左手と右手をゆっくりとある場所へと沿わせるのだった。



一方香澄はというと、自室のパソコンに携帯を繋げ、先ほど撮った着ぐるみ姿の由衣の写真と動画のデータを移していた。

几帳面に日付ごとに写真をきっちりとフォルダリングしている。

そしてちゃんとデータが移されているかも今確認している。

連日受験の疲れからか、革の長手袋を外し、眠たい目を手でゴシゴシ擦っていた。


(いい…すごくいいわ。これなんて特に!あとで山村さんにもデータをあげましょう。きっと喜ぶわ。ふふふ♪)


由衣にこういった類の性癖はない。

香澄は興奮しすぎて盛大に勘違いしていた。


(いつあげようかしら?明日?いやいや、まとめてる時間がないわ。私はまだ受験があるんだし、さすがにね。今日の遊びは特別、息抜き日ってことで。じゃあ…卒業のタイミングで渡しましょっか?そうしましょ♪)


香澄はニコっと微笑み、由衣にあげる用のフォルダの名前を付けていた。

だがキーボードを軽快に叩いていた手が急にピタッ!っと止まってしまう。


(そしたら山村さんともこんなこと、できなくなっちゃうのね…)


香澄の脳内に由衣と過ごしてきた日々の記憶が映し出される。

着ぐるみ姿の由衣に勉強を教えてもらったこと。

着ぐるみを脱ぎ終わった後の汗まみれの由衣の体を洗ってあげたこと。

一緒に夕食を食べ、残していた大好物を由衣に奪われたこと。

そして由衣を支配しているにもかかわらず、自分のことを友達と言ってくれたこと。


二人の出会いはかなり特殊だった。

どれも歪で普通の友達の関係ではない。

しかし香澄にとってこの二カ月はとても濃密でかけがえのないものになってしまっていた。


(卒業までか…こんなことできるのも…)


おそらく二人は違う大学に進学することになる。

卒業してしまったら由衣との契約も切れてしまう。

香澄は由衣との繋がりそれで終わってしまうと考えていた。


「別れたく…ないな」


思わず口に出てしまっていた。

香澄はギュッと唇をつぐみ、携帯につないでいるケーブルを抜いて再びリビングに向かうのだった。



香澄は再び長手袋を手にはめ、少し俯きながらリビングのドアを開く。


「おまたせユイ。次はなにしましょ…」

「ふぅ…ふぅ…んっ!…ふぅ…うぅん…んぅ!」

「え………山村さん…?」


香澄は今の由衣を見て言葉を失ってしまった。

思わず"ユイ"と呼ぶことさえ忘れてしまうほどに。


由衣は香澄に背を向けて、床に横向きに寝っ転がっている。

しかしそれはただ休んでいるわけではない。

左手を胸に、右手を恥部にあて、ボンテージ衣装をギチギチと鳴らしている。


「………山村さん?」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…んぐ!」


香澄の声にも気づかないほどにその行為を繰り返している。

そう、由衣は本当に自慰をし始めてしまったのだ。


由衣は今までずっと自分を密封している着ぐるみに焦らされてきた。

それに加えて着ぐるみを着せられたときは必ず絶頂させられている。

着ぐるみを着る=淫らな気持ちにさせられる、と由衣の体に染みついてしまったことも相まって余計に悶々としてしまったのだろう。


(はぁ…はぁ…んぅ!たりない…もっと…刺激が…んっ!)


しかし相変わらず重ね着の着ぐるみに阻まれ、達するには至っていないようだ。

部屋の中に由衣の切ない声と衣装がギチギチ擦れる音が響いている。


対して香澄はというと。


(山村さんが…自慰してる。ひとりで…え?今までこんなことなかったのに…どうして)


こんな由衣の姿を見せられ、興奮状態にあった。

香澄は静かに右手の革長手袋を外す。

そして顔を真っ赤にし、目をまん丸にして右手で携帯を構える。

そして指を震わせながら録画ボタンを押してしまった。


ピロリン!


この音にも由衣は気づかない。

香澄は自分の呼吸音が入らない様に左手で必死になって口を押える。

目の前の由衣の動きがどんどん激しくなっていく。


「ふぅ…ふぅ…ふぅ!ふぅぅぅ!むぐ…んぅ!うぅ!」

「はぁ…はぁ…はぁ…」


二人の呼吸はどんどん荒くなっていく。

由衣はまだ香澄の存在に気づいていないため、さらに激しく両手で自分の恥部をグイグイと押し始めた。

それによってすでに膣内に入れられているおもちゃが由衣の好きなポイントに当たるようになった。


(あっ!ここ!いぃ…んあっ!これ!あぁっ!くる…きちゃう!イっちゃう!イく…イぃぃ!)


「むぐぅぅぅぅ!!」


ドバっ!


由衣が背中をグッと丸め、ビクン!と大きく痙攣した。

ラバータイツの中に愛液が大量に漏れ出す。

絶頂してしまったのだ。

しかも香澄の手によるものではなく、自分の意志でしてしまった。


(はぁ!はぁ!はぁ!きもち…んん!いぃ…はぁ…はぁ…)


今までずっと生殺し状態だったこと、初めて着ぐるみ姿で自慰をしたことで快感が倍増されていた。

体をビクビクと小さく震わせ余韻に浸っている。

そして呼吸をしやすいように由衣は体をコロンと回転させ仰向けになった。


(はぁ…はぁ…はぁ…きもちよかった…なんかわたし…変になっちゃったのかな?これ、癖になっちゃうかも…………!!!)


由衣はマスクの中で目を大きく見開いた。

その目には、携帯を自分に向け、顔を真っ赤に染めながらうっとりしている香澄が入ってきたのだ。

心臓が大きく脈打ち、止まりそうになる。


ピロン!


香澄が録画の停止ボタンを押し、携帯をテーブルの上に置いた。

そしてビクビクと震えながら動かなくなってしまった由衣にゆっくり歩み寄り、由衣の横に寝そべった。

由衣の呼吸がどんどん荒くなっていく。


「ふぅ!ふぅ!ふぅ!ふぅ!」

「はぁ…はぁ…はぁ…」


香澄も興奮して呼吸を荒げながらニタニタと笑っている。

しかし何も喋らない。

由衣の脈がどんどん速くなっていく。


(見られちゃった!?携帯にも撮られてた!?はぁ!はぁ!どうしよ…どうしよ!)


あんな汚らわしい姿をよりによってこの変態令嬢の香澄に見られてしまった。

しかも香澄の許可なしに自慰してしまった。

不安で胸がいっぱいになってしまう。


そんなビクビク震える由衣の頭に香澄はそっと手を伸ばす。

由衣は怖くなってビクッと!また体を震わせた。

しかし香澄は由衣のピンク色の髪をいつものように優しくゆっくりと撫でるのだった。


「エッチしてたんだ…ひとりで」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」


由衣は肩で息し、震えながらも素直にコクリと頷く。

香澄はニコッと微笑みかけ、優しい声で由衣に囁く。


「私だけいつも一人で楽しんでたと思ってたけど…ユイも同じ気持ちだったのね。嬉しい」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

「ユイも溜まってたのね、私と一緒で」

「むっ…!」


(違う!私いつもはそんな…!いや、違くないか…自分でしちゃったんだし)


由衣は複雑な気持ちになりながらもまたゆっくりと頷いた。

それを見て香澄は目を大きく開き、唇を震わせながら満面の笑みになった。


「そっか…じゃあ今度は私がユイを気持ちよくしてあげる」

「!!!」


由衣はその言葉にパッ!っと香澄の方を見る。

香澄はいつものように左の口角を痙攣させながら歪んだ笑顔を浮かべていた。


(だめ!さっきイったばっかりなのに!香澄ちゃんにされたら!)


由衣は首を横に大きく振って拒絶した。

しかしそれを香澄は許さない。


「拒否できるの私に?この首輪…ユイになってるときは私の言うこと聞くのよね?そういう約束だものね?」

「うぐっ…」


香澄は由衣の首輪に付けられているハート形の錠を人差し指でチャリチャリいじりながらニタァ…と笑う。

香澄の言う通り、人権を買われている由衣はその言葉には逆らえない。

由衣はビクビク震えながらコクリと頷く。

ユイになっている以上、由衣に拒否権などないのだ。


「いい子ねユイは。いっぱい…いっぱい気持ちよくしてあげるからね?」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…うぐっ…」


香澄がまたニコッと優しく微笑みかけ、由衣の頭を撫でる。

しかしその目は怪しい光を宿していた。

由衣はこのあと何をされるかわからない不安から心臓が跳ねるほど脈打ち、全身からじわ…っと脂汗をかくのだった。



香澄は立ち上がると、床に仰向けになっている由衣の足を少し広げ、その間に腰を下ろした。

そしてボンテージ衣装に包まれた由衣の恥部をじっと見つめてくる。


(やだ!そんなとこ見ないで…)


由衣はマスクの中で顔を真っ赤にし、両手で恥部を隠してしまう。

しかし、香澄はその手を優しく掴み、のけてしまう。


「ダメ、今から動かないでね?私がいいって言うまで」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…ふぅぅ…」


香澄の言葉に由衣はゴクリと唾を飲みこんだ。

きっと厭らしいことをするに決まっているからだ。

香澄は無言で左手の長手袋を外していく。

これで香澄は両手とも素手になった。


(はぁ…はぁ…なにするの?せめて何か言って…香澄ちゃん)


香澄の手がボンテージ衣装の股間のチャックを開けていく。

その下の肌色ラバータイツの股間チャックまで開けてしまった。

真っ黒なラバータイツが顔を覗かせた。

そして香澄もゴクリと唾を飲みこみ、手を震わせながら黒いラバータイツの股間のチャックのつまみに手をかけた。


(まって!その下はダメ!ダメダメ!)


「むぅぅ!!!」


由衣は首を横にブンブン振りながら香澄の手をガシッと掴んでしまう。

その瞬間に香澄は由衣の顔を見た。


「動いちゃダメって…言ったわよね?約束破るの?」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…うぅ…」


香澄の顔が少し怖くなっている。

こんな顔は今まで見たことがない。

由衣は怯えてしまい、香澄の手をスッと放す。

すると香澄の顔がまた穏やか…いや、厭らしい顔になっていった。


「開けるわね?大丈夫、痛くはしないから…ね?」

「うぐぅ…」


香澄は由衣の最後の股間のチャックをジ~っと開けてしまった。


トロォ…


その瞬間に由衣の恥部から粘度の高い液体が溢れ出てくる。

むせ返るような女の匂いとゴムの匂い。

二人一緒になって顔が真っ赤になってしまう。


(やだ…見ちゃダメ…ダメ…)


由衣はグチョグチョの恥部を隠したいのだが、香澄の命令で隠すことができない。

ビクビク震えながら全頭マスクのマウスピース付き猿轡を噛みしめることしかできない。


一方香澄はというと。


(はぁ…はぁ…すごい匂い…ドロドロ…山村さんの…自分でエッチした…愛液)


顔を、耳まで真っ赤にして目と口を閉じられなくなってしまった。

いつも見ている由衣のベトベトの恥部。

しかし今日はその照りも匂いも別物に感じてしまっている。

そんな興奮状態のまま、震える手で由衣の恥部にそっと人差し指、中指、親指を入れていく。


「むぅぅぅ!ふぅ!ふぅ!ふぅ!」


由衣の体がビクッ!っと震えた。

目いっぱい肩で息をしている。

そんな姿を見せられ、香澄はどんどん興奮させられてしまう。


「はぁ…はぁ…ふぅぅ…いったんおもちゃを抜くわ」

「ふぅ!ふぅ!ふぅ…うぐ…」


香澄は由衣の中にさらに指をぬるりと入れていく。

由衣はその度にビク!っと体を震わせ、目と口をギュッと閉じる。

そして


にゅるん!「んぐぅぅう!!」


由衣がビクビク!っと体を大きく震わせる。

声を出さない様に我慢していたが全く無意味だった。

由衣の中ならぬるぬるになったおもちゃが抜かれた。


「ふぅ!ふぅ!ふぅ!ふぅ!」

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」


香澄はその手に持っているベタベタになったピンク色のおもちゃをそっと床の上に置き、また由衣の恥部に右手をスッっとあてる。

由衣はお尻をブル!っと震わせた。


「うぐぅ!」

「はぁ…はぁ…いつもこんなもので絶頂させてたけど、今日は私の手で…イかせてあげるね?」

「!!!」


(香澄ちゃんの手で!?まって!ダメ!そんなことされたら!)


今日の香澄はかなり興奮状態にある。

どんなに滅茶苦茶にされるかわからない。

由衣は心臓が跳ね上がりそうなくらいバクバクいわせていた。


香澄も香澄でかなり緊張していた。

いつもはおもちゃによる振動か、着ぐるみ越しに刺激することでしか由衣を絶頂させたことしかない。

由衣の前任者のメイドの高木にもその方法を取っていた。


自分でもなぜこのような行動をとってしまったのかわからないほど判断力が落ちている。

これは数日間由衣で遊べなかったうっぷんと、由衣の一人エッチを見せられたから…またはそれ以外の感情からくるものかもしれない。


(はぁ…はぁ…だいじょうぶ。同じ女の子なんだもの、ちゃんと気持ちよくできるわ…ふぅぅ…)


香澄は大きく深呼吸し、意を決したように由衣の中に人差し指と中指をいれていく。


ヌプ…


「うぅん!」


由衣の体またビクッ!っと跳ねる。

香澄はマスクに包まれた由衣の顔を見ながら少しづつ…少しづつ指を中に侵入させる。

そして自分が自慰をするとき一番感じるところをツゥ…っと優しくなぞった。


「んぅぅ!ふぅ!ふぅ!んぐ…」

「…………」


(山村さんもここ…感じるのね?ふぅぅぅ…)


香澄は優しく、緩やかに中をくちゅくちゅとかき回していく。

由衣は閉じられないむっちりした太ももをギチギチ鳴らしながら香澄の愛撫に耐えている。


(はぁ…はぁ…そこだめ!やばい…もうきそう…あぁん!)


由衣が想像していたのに反して香澄の手は優しく、かつ的確に由衣のポイントをついてくる。

自慰してしまったことも相まって敏感になっていたため、その少しの刺激で達してしまいそうになる。

閉じられない口と恥部からねっとりした粘液がどんどん溢れてしまう。


「ふぅ!ふぅ!ふぅ!…んっ…うぅん!」

「ユイ、きもちい?ここ…すごい反応がいい。もう少し力入れても…いいよね?」

「!!?」


香澄は口をギュッとつぐみ、由衣の中を指でグッ!と押し込んだ。

その瞬間に由衣のラバーに包まれた体がビタン!っと跳ねる。


(んぁぁ!あっ!だめ!ほんとに…だめぇ!そこ…だめぇ!)


香澄は由衣のその反応を見て、さらに由衣の中をぐちゅっ!ぐちゅっ!っと音が鳴るように責め立てる。


「むぅ!むぅむ!うぅぅ…んぐぅ!」

「はぁ…はぁ…ユイ?もう…イきそう?」

「うぅぅ!」


香澄は床に仰向けになっている由衣に体を重ね、右手で恥部を、左手を由衣の顔を覆っているマスクに沿わせる。

そしてマスクの覗き穴から見えもしない黒いゴム人形の由衣の顔を見つめてくる。

いつものように左の口角をビクビクと痙攣させながら。

由衣は顔が二重のマスクで包まれれいるにもかかわらず、自分のだらしない顔が見られていると錯覚し、心まで淫らになっていく。


(はぁ!はぁ!見ないで…あぁん!やだ…ホントにいっちゃう…イっちゃう!)


香澄が由衣の中をさらにグニッ!っと押し込んだ。


「んむぅぅぅぅう!!!」


ドバっ!


由衣の恥部からドロぉ…っと愛液が溢れ出てきた。

背中を弓なりにし、ゴム肌をビチビチと痙攣させる。

絶頂させられてしまったのだ。

おもちゃではなく、香澄の生の手によって。


肩で息し、ビクビク体を震わせる由衣の体を香澄は動かない様にそっと体を重ねて押さえつける。

その顔はまるで自分が達したかのように淫らな顔になっていた。


「ふぅ!ふぅ!ふぅぅ…うぐっ!…ふぅ!ふぅ…ふぅ…」

「はぁ…はぁ…はぁ…すごく…すごくかわいい…綺麗よ…ユイ…ユイ…」

「んぅぅ…ふぅ…ふぅ…むぁ…あぇ…」


香澄は右手でいまだに由衣の中を優しく、ゆっくりと愛撫している。

由衣はそんな小さな刺激でも連続して、緩やかな小さな波を向かえていた。


(あっ…あぁ!きもち…いい…んっ!はぁ…はぁ…あぁ!)


香澄に滅茶苦茶にされると思っていた由衣はその優しい手に体を委ねてしまっていた。

いつもの強制的に与えられる機械的な刺激ではなく、香澄の愛のある刺激で。


由衣の呼吸が落ち着くと、香澄はまた由衣を優しく責め立てた。

そんなやりとりが何回も何回も続いた。

床が由衣の愛液でどんどん汚れていく。

香澄の恥部からもねっとりとした液体が網タイツに包まれた太ももに伝っていた。

もう深夜だというのに部屋の中は二人の淫らな声と雌の匂いでいっぱいになっていた。


そして二人はいつの間にか、こんな淫らな恰好のまま眠りに落ちてしまった。



あれから時は過ぎて…


(はぁ…はぁ…うぅ…あつい…)


由衣は目を覚ました。

もちろん着ぐるみ中で。

マスク越しにも部屋に充満した雌の匂いが鼻に入ってきた。


(………臭い…全身ベトベト…)


ずっとラバーに密封されているせいで全身が自分の汚い汗に覆われている。

気だるい体をなんとか起こし、その場に女の子座りした。

動くだけでグチュ…っという嫌な音と全身をヌル…っとした体液で撫でられる感覚に襲われる。


(うぅ、ヌルっとして気持ち悪い…もう脱ぎたい。ん?うわぁ!)


由衣は床を見て驚いてしまう。

そこにはヌルヌルした液体の小さな水たまりができていたからだ。


(これ汗!?いや、もしかして私のエッチな…こんなに出たの!?)


由衣の想像通り、これは香澄の手によって何回もイかされてできた愛液の水たまりだった。

由衣は昨日の夜のことを思い出し、マスクの中で目をまん丸にし、顔を真っ赤にさせる。


(わたし香澄ちゃんに何回もイかされて。でも…すごいよかったな…香澄ちゃんの手…やだ!何考えてるの!女の子同士だよ!)


由衣はマスクで包まれた顔を革の手袋で覆い隠し、体を丸くして恥ずかしがっていた。


(うぅぅ…恥ずかしい。あんなに気持ちよかったの初めてだし…あれ?そういえば香澄ちゃんは?)


狭い視界の中できょろきょろと見まわす。

由衣の真横で床に横になっていた。

とても穏やかできれいな顔で寝ているが、所々由衣の体液で汚れてしまっており、右手はねっとりと満遍なく液体まみれになっていた。


(寝てる。今何時なの?)


由衣は部屋の時計を見る。

もう午前の11時になってしまっていた。


(11時!?あっ、じゃあもう鍵取れるよね?)


由衣はうなじの辺りをごそごそ触る。

しかし12時間に設定した鍵はもうそこにはなく、床に転がっていた。

そして床でまだ寝ている香澄の体をゆすって起こそうとする。


「ふぅ…ふぅ…はふいひゃん…はふいひゃん!おひへ!」

「うっ…うぅ…んぅ…」


香澄はゆっくりと目を開けた。

かなり眠そうだ。


「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

「………あれ…わたし寝ちゃって…え?いま何時!?」


香澄は部屋の時計を見るやいなやガバッ!とその場に立ち上がった。

そして部屋にある冷蔵庫の方に走っていくと、ペットボトル飲料を取り出し、由衣の元に駆け寄り、腰を下ろす。

かなり焦っているようだ。


「ごめんなさい!今脱がせるから!」

「んぅ?むぅぅ?」


由衣は浴室の方を指さした。

いつもならそこで着ぐるみを脱がせるからだ。

しかし香澄は由衣の合図に気づかず、マスクのチャックを開け由衣から引きはがす。

肌タイフードに包まれ、アツアツになったゴム人形の頭が出てきた。

そして肌タイのチャックをうなじまで下し、真っ黒な全頭マスクのチャックを開け、ゆっくりと由衣から引きはがす。


「むぁぁぁ…あぐ!がは!ゲホッ!ゲホッ!ぷふ!はぁ…はぁ…ふぅぅ…」


マスクを外すとき、由衣の口から大量の涎が床にビチャ!っと垂れ落ちる。

鼻からダラダラ鼻水を垂らし、顔中体液まみれだ。

ボリュームのあるふわふわの黒髪もべったりと頭にくっついてしまっている。

由衣の汗とゴムの匂いが部屋の中に広がっていく。


「ふぅぅ…涼しい…」

「山村さん!これ飲んで?はやく!」

「ん?むぐ!」


香澄は半ば強引に手に持っていたペットボトル飲料を由衣の口に入れてきた。

しかし急にそんなことをされ、由衣は口に含んだ飲料を床に吐き出してしまう。


「ゲホッ!ゲホッ!ちょっと…まって!急には飲めない!」

「えっ!?あっ…ごめんなさい………」

「すぅぅぅ…ふぅぅぅ…すぅぅぅ…ふぅぅぅ…OK。ちょうだい」

「はい…」


由衣は香澄から飲料を譲り受けると、ゴクゴクと一気に飲み干してしまった。

そんな様子を香澄は俯き、眉をハの字にしながら見ている。

昨日の夜と違ってその顔はまるで元気がない。

いつもなら着ぐるみを脱がすときも鼻息を荒げて顔を真っ赤にしているのだが。

よく見ると香澄の目の下には真っ黒なクマをできている。


「………香澄ちゃん?なんか…元気ない?」

「…………」

「………え!?」


香澄は口をギュっと閉じ、目からポロポロと涙をこぼしていた。

由衣は急に香澄が泣き出してしまったことに驚いてしまい、香澄の肩をゆする。


「どうしたの!?どこか痛いの?大丈夫!?」

「違うわ…どこも痛くない…そうじゃなくって…」

「?じゃあどうして…」


香澄は顔を上げ、ぐちぐちょになった由衣の顔を見つめる。

そして唇を震わせながらゆっくりと口を開く。


「わたし最低だわ…いくら貴女を買ったからって、半日以上もこんな着ぐるみに閉じこめて…しかも自分で決めた時間も守らずに」

「それは…」


思い当たる節がありすぎて由衣も反応に困ってしまう。

香澄の話は続く。


「それに欲求不満だからって、貴女をあんな…私の手で滅茶苦茶にして…自分勝手すぎるわ…本当に…ごめんなさい」


香澄は由衣に頭を下げた。

香澄の大粒の涙が床に流れ落ちた。

そんな香澄の泣き顔を見せられた由衣は色々と考えさせられてしまった。


(どうしよ。まぁ色々と大変だったけど、特に体も大丈夫だし別に痛いこともされてないし。それに…)


由衣は香澄に愛撫された時のことを思い出す。

動くなとは命令されたが、香澄の手はとても優しかった。

二重のラバータイツを着せられ、顔をマスクで覆われて、同じ年の女の子にイかされる。

そんな異常な状態にもかかわらず、とても気持ちよかったのだ。

自分では得られない快楽だったのだ。


由衣は、恥を承知でそのことを香澄に伝えることにした。


「でも気持ちよかったよ?」

「………え?」


香澄がパッ!っと由衣に顔を向ける。

そこにはいつも由衣の笑顔があった。

顔を真っ赤にし、恥じらってはいるが。


「昨日のアレ、すごいよかったよ?次に着るときもあんなふうにして欲しいな。おもちゃじゃなくて…ね?」

「う……うぅ……うっ」

「え!?」


香澄は由衣の言葉を聞き、さらに泣き出してしまった。

そんな香澄を由衣はラバーの両手でギュッ!っと抱きしめる。


「香澄ちゃん、もう泣かないで?」

「そんなこと言ってくれるなんて…思わなくって…」

「もぉ…」

「ごめんなさい…ありがとう…由衣…」


香澄もラバーに包まれた由衣の体をギュッと抱きしめる。

アツアツに蒸された由衣の体温がラバー越しに伝わってくる。

その熱にによって香澄の心も温かくなっていくのだった。

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